161話
すみません。
更新を再度読み直していたところ、一話更新ができていませんでした。
ちなみにそちらは150話になります。
いつも読んでいただいている方々にはご不便をおかけしますが、よろしければ読んでいただければと思います。
本当に申し訳ございません。
「あなたが、勇者?」
「なんだ?素顔を隠しているやつが、僕になんのようだ?僕は忙しいんだ」
「あら、そうなの?わたしはあなたに会いに来たのだけど」
「ふ、素顔を隠すようなやつに僕は興味がないがな」
その言葉とともに、金の勇者は弾丸を放つ。
それを仮面の女性は避ける。
「ふーん、それは向いている方向にしか弾がとばないのね」
「だからって、簡単に避けられるわけがないだろうが!」
そして、勇者は再度また放つ。
今度は数発。
ただ、それは予測していたのか、ジークがもっていた大剣を前にやることで、仮面の女性に放たれた攻撃を防ぐ。
わかってはいたけれど、今の動きだけですごいということがわかる。
それにしても、ジークがいるってことは間違いなく、仮面の女性もラグナロクとかいう名前のレジスタンスのメンバーということなのだろう。
最初に見ただけである程度の対処法がわかるということは、それだけの戦闘をこなしてきたということなのだろう、
でも、さっきのことで、金の勇者が使う武器がなんなのかがわかった。
それは、こちらに向けられた筒状の何かから弾丸を飛ばす。
いわば飛び道具というものだ。
私が知っているものだったら、弓矢とかなんだろうけど…
あんなものとは全く比較にならないくらいの勢いと、威力ね。
でも、結局は一直線にしか飛ばないものと考えると、あれの直線状に立たなければいいということ。
そして…
「あのときのホーリーバリアの使い方もできるかな?」
それは、アクアで使っていた技である。
バリアを直線ではなく斜めにだすことによって、攻撃をそらすというもの…
さっきまでの攻撃はよくわからなかったから、全方位になっていたけど、もし飛んでくる方向がわかっているのなら、斜めにすることで、バリアの耐久性もあがることだし、使えるといいわね。
そんなことを考えていると、仮面の女性が動く。
すぐに勇者が吹き飛ぶ。
そのままの勢いで、家のほうへ飛んでいき、壁を破壊してとまる。
「あらら?おかしいわね。今の攻撃が見えていないのかしら?」
そう仮面の女性が言うが、その動きが見えたものは息をのみ、見えてないものは何が起こったのかわからなかっただろう。
私たちは、普段からただしというヘンタイでありながらも強い味方であり、その戦闘はかなり激しい。
だから戦闘のスピードが速いというのも、見慣れている。
さっきの仮面の女性が動いて金の勇者に殴りつけるところまでは見えていた。
それで、私が仮面の女性の相手をできるのかはわからないが…
ただ、一撃で金の勇者が吹き飛んでいったせいで、この戦場はざわつきが起こっている。
それはそうだ。
相手からすれば大将が一撃でやられてしまったのだ。
しかもその大将である金の勇者は、私がそう呼んでいるように、ここにいる人たちはただお金で雇われているだけだ。
そんなやつらなので、お金を払ってもらうはずのやつ一人がやられたということがあれば、私の予想通り周りにいた傭兵といえばいいのだろうか、雇われただけの人たちは武器をしまう。
それを見た仮面の女性は言う。
「なんだ、雇い主がやられただけでお前たちは武器をしまうのか?」
「ああ?仕方ないだろ、俺たちは好きでやっているわけじゃねえ。今ので力の差ははっきりしたしな」
「そうね。実力がわかることだけは褒めますけど。あとはとどめをさせればわたしは困りませんからね」
そうして、仮面の女性が歩き始めたときだった。
金の勇者が吹き飛んだ場所に大きな影ができる。
少し嫌な予感がした私は、魔法を唱える。
「我の前に絶対に通さない聖なる壁を作りたまえ、ホーリーバリア」
「オラオラオラァ!」
私が急に魔法を唱えたことで、一瞬の驚きがあったが、そんな声とともに弾丸が飛んでくる。
ダダダダダダダダダダダ…
バリアの魔法を張っているからなんとかな…
「バリア破られます」
「ジーク!」
「は!聖騎士剣術、奥義、ホーリーソード」
ただ、バリアが破られた瞬間には、ジークが私の前に来て、光の剣を放つ。
それによって、飛んできた弾丸たちを叩き切る。
やっぱり、味方にいると心強い強さね。
でも、今の攻撃は…
私がそう思ってそっちを見ると、金の勇者が立っていた。
「痛いなあ。僕はこういうのは苦手なんだよ」
「へえ、今のは完璧だったので、一撃で倒せたと思いましたのに」
「これでも僕は勇者だ。あの程度の攻撃であれば簡単にさばける」
「そうなのね。だったらよかったのかな?」
「なんでだ?」
「わたし、久しぶりの戦いなのよ。だからすぐに殺されてしまうような人が勇者だとつまらないでしょ」
そう言葉にすると仮面の女性は腰から武器をとりだす。
あれは、暗器というものなのだろうか?
そして、金の勇者はというと、再度あるものをだす。
「さっきの!」
「さっきのとはちょっと違うぞ、こいつの方が火力があるからな」
「どういうものかはわかりませんが、どれだけ火力があろうとも、わたしが先にあなたに到達できればかわりませんよ?」
「そのときに、こいつらを金で僕は雇っているんだよ。おい、今度はしっかりと守れよ」
その言葉で、しまっていた武器を周りは取り出す。
お金がまたもらえる可能性があるからここは再度雇い主に従っているということなのだろう。
かといって、それは勝てる可能性があるときだということを金の勇者は知らなかった。
「おい、どういうことだお前ら!僕の、雇い主の命令だぞ」
「ですがね、こっちだってただやられるだけの戦いはさすがに興味はありませんからね」
「はあ!お前らを雇うための金がどれくらいかかったと思っている」
「でも、それはあなたのスキルで作ったものではないのですか?」
「だからなんだ?僕のスキルはソウゾウ。なんでも作れるのだから、それで何をしようが僕の勝手だろう!」
ただ、そんな金の勇者の言葉は周りの人たちには届かない。
逃げ場がなくなった金の勇者はこのまま終わり、そう誰もが思った。
そんなときだった。
「黒火よ、相手を焼き尽くす黒い炎となせ、ブラックファイアー」
その言葉とともに、黒い炎がこの場に降り注ぐ。
「火よ、相手を焼き尽くす炎となせ、ファイアー」
「雷よ、相手を倒す稲妻となせ、サンダー」
すぐに反応したバーバルと、勇者が魔法を放つことで、黒い炎を相殺する。
「あらら、相殺されちゃいましたか」
「だから言っただろ、そんなのより強い魔法を使えと」
「そんなことすれば、一撃で終わっちゃうじゃないですか、それはつまりませんよ。何度も、何度でも這い上がってくる相手を絶望させるのがいいのですから」
「そういう性格が悪いところだけは好きになれんな」
「大丈夫ですよ。すぐになれますからね」
そう言って登場したのは、二振りの剣をもった男と、にやにやと笑みを浮かべた男だ。
先ほどの口ぶりから魔法を放ったのはにやにやと笑ったほうで間違いない。
どういう人たちなのかしら?
私がそう思っていると、勇者が言う。
「お前たちはあのときの?」
「ああ、弱い勇者もいたのか」
二振り剣を持った男と勇者は知り合いなのだろう。
ただ、さっきの攻撃を考えると、もしかしなくても…
「そこの勇者、ほら俺たちの仲間になれよ」
そう言ったのだった。
「は、違うだろ、ぽっと出て、僕がお前たちの仲間になるだと?」
「だって、ピンチを助けたじゃん?」
「こんなものピンチではない、僕のスキルを使えば、簡単にきりぬけられる」
「そうなのか、だったらどうするんだ?」
「そんなもの、こうする!」
そう言うと、金の勇者は金を作り出して、周りにばらまく。
それによって、勝ち目がなかったと思い、雇い主からこちらに寝返りそうになっていたやつらも、先ほどの魔法もあるのだろう。
こちらに向きを変える。
かなりまずい相手が増えたことを知り、私の背中には冷や汗がでる。
ただし、早く来なさいよ。
そう願うが、まだただしは来ない。
ただ、戦闘もまだ終わらない。




