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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと勇者たち

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159話

「くそ、高いところから降りるだけでも大変だな」

「おぬしはなかなか面白いことをしておるな」

「仕方ないだろ、そんな簡単に飛び降りれる高さじゃないだろ?」

「ふむ…」


ヤミは屋根から飛び降りると簡単に地面に着地する。

くそ、こういうところを見るとやはり中身がドラゴンなのだということを再確認させられる。


「ボクも行きます」

「おう…」


シバルも、何故か普通に飛び降りた。

まあ、ドエムスキルということで痛みくらいはスキルで快感へ変更されているのかもしれないけれど。

仕方ない、俺も行くしかないか…

俺もいつものように下着を頭に被る。

そして飛び降りる。


「こういうところで、スキルの大事さというか、異世界にいるってことを再確認するよな」


普通に着地をした俺はそんなことを口にするが、すぐにシバルたちと同じようにアイラたちがいるであろう場所に向かう。

はずだった。


「ここは…」

「おぬしは、何をしておる?」

「いや、ちょっとな…」


そこにあったのは、最初にストッキングを大量に買ったお店だった。

まさか…


「導かれているというのか…」

「おぬしは何を言っておるのじゃ、さっさと合流しないとまずいのではないのか?」

「それはそうだけどな、俺だって今のままじゃ装備が心もとないんだぞ…」

「知らぬは、おぬしの装備なんて女性ものの下着を被ることで完結するのではないのか?」

「そんな簡単な話しじゃないんだ…俺のヘンタイスキルは奥が深いんだ!」

「そんなことを力強い言葉で言うなじゃ!」


そんなことを言われながら、ヤミに頭をはたかれる。

だって仕方ない。

俺には武器が必要なのだから…

ヘンタイとして使うためのな。

今、必要な武器を確保するために、俺はどうしてもこの中に入らないといけない。

扉に手をかけたところで、再度ヤミに頭をはたかれる。


「何を入ろうとしておるのじゃ」

「仕方ないだろ、ここに来たのもそういう運命だったんだ。だから俺には入ることしかできないんだ…」

「何を少し恰好がいい話しにもっていこうとしておるのじゃ、ただのヘンタイ道具を取りにいこうとしておるだけじゃろ」

「確かにそうだ…それでも俺は…」

「ああ、もう…シバル」

「はい、こやつはわらわがなんとかするのじゃ、おぬしはお嬢さんたちと合流するのじゃ」

「わかりました」


そんなことを後ろで会話しているのを感じながらも、俺は被っていた下着を脱ぐと、店内に足を踏み入れた。

後ろにいたヤミもやれやれという感じで入ってくる。

そして、すぐに俺はもっと早く来ておけばよかったと後悔することになった。


「こ、これは…」

「これがどうかしたのかの」

「すごい一品だ」

「何をもってすごいというのかはわからないのじゃが、ただの女性用の靴下ではないのかの…」

「違うこれは…ニーハイだ」


そう、ニーハイ。

俺たちが元いた場所でもたくさんの物好きたちが好んでいたものだ。

その肌触りといい、足を絡まされたらと、何度も妄想をしたことは言うまでもない。

そして、特に多いのは幼女に履かせるというものだ。

ここには見た目は幼女の人間がいる。

なるほどな、これが天命ということなのだろう。

俺はすぐにそれを手に掴むと、ヤミの手を引いた。


「なんじゃ、すごい勢いじゃな」

「いや、ちょっとお前に似合うであろうものを見つけてな」

「なんじゃ、そんなことって、まさかおぬし」

「ああ、ちょっと履いてくれ」


俺は渾身の笑顔でそれを差し出す。

すると、どうだろうか、ヤミは嬉しいのかわなわなと震えて…

いるわけではなく、俺は再度頭をはたかれる。


「絶対にいやじゃ」

「そこをなんとか…」

「何を言っておるのじゃ、嫌というものは嫌じゃ!」

「ちょっとだけでも、ほら、先っぽだけでも…」

「嫌じゃ!というか、なんなのじゃ、その勧誘方法は、余計に履きたいと思わなくなっておるのじゃ」

「く…ここまで言ってもダメなのか?」

「ダメじゃ!」

「そうか…」


俺は仕方ないと思いながらも、しょんぼりしながらニーハイを棚に戻す。

ただ、俺の手は導かれているのかなかなかニーハイから離れることはなかった。

ニーハイ、絶対領域、幼女…

全てを合法的にこなせるのはヤミしかいないというのに…

俺はそんなアホなことを考えながらも、名残惜しみながら、ストッキングを買うために向かう。

後は、ヘンタイスキルで使えそうなものを物色する。

ふむ、スケスケの下着が多いな。

今はこんなものが流行っているというのか、破廉恥だな。

いや、まてよ…

これはいくつか使えるな。

俺は数点それを買う。

後は何が必要かだな。

それ以外については、これといってほしいものがあまりない。

それもそのはずだ。

ヘンタイスキル、店内で使うことができればいいが、できないからな…

お店の中でヘンタイスキルを使うことができれば、ヘンタイとしての新しい武器の使いかたや、ヘンタイとして新しい何かが見えてくるというのはわかっている。

ただ…

さすがの俺も店内で下着を被って買い物をするというのは、ヤバいと思うからだ。

特に女性用の下着…

特にパンツとなればさらに、そのヘンタイ差はかなりのものになるだろう。

確かに、俺はヘンタイスキルを持っている。

だからこそ、それをすることも本望といえば本望なのかもしれない。

ただ、俺は紳士でもいたいのだ。

ヘンタイ紳士。

そうならなければ、今はまだなんとかアイラたちにも許されているヘンタイスキルも、引かれるだけの存在になってしまう可能性がある。

さすがにそうなってしまえば、俺もキツイ。

後は、そんな恰好で買い物をすれば、出禁になるだろう。

出禁になれば、今後ヘンタイスキルを使うための道具を買うこともできなくなるのだ。

さすがにそうなるのはまずい。

だからこそ、いろいろと葛藤をしながらも俺は買い物を済ませるのだった。


「ほれ、行くのじゃ!」


先に出ていたヤミがそう言いながらアイラたちの方へ向かう。

そして、俺も同じようについていくのだった。


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