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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイと勇者たち

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154話

「この国、オンスフルは絶対的に国を治める指導者と呼ばれる人がいないのはご存知だとはおもいますが」


俺は初耳なことに驚いたが、他の人はうんうんとうなずいているところを見ると、そういうことなのだろう。

今のところといっていいのかすらもわからないけれど、セイクリッドではセコが、そしてリベルタスでは王女と王が国を治めていたことを考えると、これが異常なことだということがわかるが、それでも、誰も治める人がいないこというのは、メリットとデメリットが両立している。

それはアイラが、このオンスフルで、活躍したときに起こったことであった、商会で何かものをもらう変わりに俺をパーティーから外して、自分の息がかかった人をパーティーにいれようとしたところからもわかるが、お金を持っている人が、オンスフルを牛耳っているようだ。

それを表すように、ジルは次の話で商会のことを言う。


「この町では、アイラ様たちも出会ったことがあるとは思いますがマルク商会が町をある程度治める存在として君臨していたのです」

「それは、お金でってことでいいのか?」

「はい、この町で一番お金をもっていたのは、そうなりますね。そして、騎士や魔法使いなどを多く擁しているのを貴族と呼び、その貴族を動かすために多くの金を使っているのも商会になります。そして、そのマルク商会なのですが、現れた勇者によって乗っ取られたのです」

「それって、もしかして、火薬を使った飛び道具を使ったやつじゃないのか?」

「もしかして、勇者をご存じなのですか?」

「ああ、俺たちも出会ったことがある」


そこで、俺たちがその勇者と出会ったことを話した。


「やはり、そちらでも勇者は横暴なことを言っていたのですね」

「そうなるな。それで勇者はやっぱりお金を作ってそれで商会を買ったのか?」

「はい、お金、そして商会で売っているものですら基本的なものを簡単に作れてしまったのです」


やっぱりなという感想しかでてこなかった。

あの横暴な男が、やりそうなことだなということくらいだ。

この町でほしいもの、それを簡単に手に入れるためにも必要なものが、大きな商会だったのだろう。

大きな商会さえ手に入れてしまえば、その後についてはほとんどのものも簡単に手に入ると考えたのだろう。


「そうなると、じじいが出ていくのも理解できるな」

「ほう、ちゃんと言っておらんかったがわかるのか?」

「まあな。鍛冶屋を金で追い出されたんだろ」

「そうなるの、ワシも別にあの武器については作ることは反対ではなかった。でも作らなかった理由をお主ならわかるのではないのか?」

「まあな、戦争だろ?」

「やはり、わかるか」

「戦争って?」

「人同士の殺し合いだ」

『!』


俺のその言葉に、ヤミとじじい以外の全員が驚く。

戦争という言葉にあまり聞き覚えがないのだろう。

まあ、俺自身も戦争など物語で読んだ内容でしか知らないが、それでも銃を使ってやることと考えれば、それしかないと思ってしまう。

だって、この世界では魔法がメインで使われている。

それに付随するのがスキルという感じなのに対して、勇者や、セイクリッドを牛耳っていたセコが使っていたのがスキルメインなのだ。

そこに、銃というスキルでしか作れなかったものができた。

銃はアイラやシバルのように普通魔法が使えない人でも、簡単に飛び道具を使った攻撃をできることができるようになれば、戦争なんてものは簡単に行えてしまう。


「でも、そういう相手は人じゃなくて、魔族と行うんじゃないの?」

「アイラの言う通りだと思うけど、そこはどう思うのただし?」

「アイラとミライが言いたいこともわかる。ただ、魔族と戦うよりも人間と戦うことのほうが簡単なんだ、その理由はわかるか?」

「なんだろう?」

「わたくしはわかります」

「バーバル、どういうこと?」

「人同士の戦いは、お互いにどんなことができるのかがわかりますものね。だから戦いもしやすいということなのですね」

「そうだ。もしかして、バーバルは戦いをしたことがあるのか?」

「はい、わたくしの国には魔術大会で、戦闘と研究の発表があります。そこで使われるものは一年のうちに磨かれたそれ個人の新しいものなのですが、そこでは人にのみ害をもたらすものですらもあります」

「まじかよ…そんなものが…」

「はい、探求と研究を行っているのですが、それも度がすぎるとは思いますが…」

「マゴスって、そういう国なのか…」

「はい、だから帰りたくない場所になっていますね」


確かに研究のために手段を選ばないというのは、確かに聞いたことはあるが、それが現実にあるとはな…

俺も行きたくはないな。

魔力がないということがわかれば、何をされるのかがわからないしな。

そんなことを考えていると、次はじじいが口を開く。


「さて、そんなことをしようとしておるというのが、わかったと思うのだがの、お主は、飛び道具の正体が何かわかっておるのか?」

「まあな。じゃないと、あのときに避けれてないからな」

「ほほ、そうか」

「ああ、あれは銃ってものだ。簡単に言えば、鉛玉を火薬を使って勢いよく飛ばすものだな」

「ほほう、それをあんなに小さいものの中で行っているということなのだな」

「まあな。ただ、よくも悪くも本当に使うとなれば多くの銃がいるけどな」

「どうしてかの?鉛玉を飛ばすだけというのであれば、そこまでの技術が必要にはならないと思うのだがの」

「いえ、鉛玉を飛ばすだけの勢いを火薬で出さないといけないのです、反動がものすごいことになるとは思いませんか?」

「なるほどの、そういう原理であれば確かにワシに頼んで大量生産させようとする理由もさらによくわかるというものかの」

「どういうこと?」

「そうだな、魔法と一緒だということを考えればいい」

「魔法も?」

「バーバルならわかるか?」

「いえ、どういうことなのですか?」

「そうだな。数を撃てば当たるというやつだ」

「ええっと、わたくしであれば一人でたくさん撃てますが…」

「いや、全員がバーバルみたいな魔法使いじゃないだろ」

「言われてみれば、そうですね」

「だから普通であれば一発を撃てばいい。それをたくさんの人が横並びにうつと、どうなる?」

「逃げ場がなくなりますね」

「それを、銃という道具で次は行うって感じだな」

「でも、それは魔法が使えれば関係ないのではありませんか?」

「さっきも言ったが、それを魔力を使わないで誰でも使えるってところが重要ってところだな」

「ただしが言いたいのは、簡単に力をもつことで戦争を起こしやすくすることが問題ということでいいのでしょうか?」

「まあ、そういうことだな。とりあえず、オンスフルにいる時間もあまり長いはしない方がいいな」

「そうね。面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだもんね」

「それをお前が言うのか?」

「ただし?そういうことを何回も言わないで」

「わかったから、そういう顔をしないでくれるか?」

「ただしがそういうことばかり言うからでしょ」

「いや、ついな」


そう言うが、ここで俺たちの今後が決まったのはいいことだ。

いつもなし崩し的に、何かが起こってからしか予定を決めていないことを考えると、これでいいのかもしれない。

それに、他の勇者のことが気になるとはいえ、このままというのもいけないしな。

そんなことを考えていたときだった。

再度扉が開く。

そこにいたのは、鍛冶屋の息子であるケイタだ。


「何をしにきた?」

「さっきの話、オレも噛ませてもらうと思ってな」

「ということは、セイクリッドに向かうってことなのか?」

「ああ、オレも行こうかなってな」

「はあ、そうか…」


そうして、俺たちは大所帯になりながらオンスフルから出るべくギルドから出た。


「まあ、こうなるよな」

「なんだ、わかっていてついてきたのか?」

「俺はな」

「ちょっと、どういうこと?」

「いや、わかりやすいひっかけだっただろ」


そう、オンスフルから出るということで、俺たちはケイタの案内で外に向かうことになった。

そこで待ち受けていたのは、騎士や魔法使い。

この町で、どこかで見たことがあるやつらばかりだった。


「まあ、さっきの話を聞いていたからなんとなくな」

「だったら、オレたちがなんでもするってこともわかるだろ?」

「はあ…だったらやるしかないってことだな」

「そういうことだ、爺さん。戻ってくるなら今のうちだぜ」

「何をいっておる。どう考えても、こやつらの方が強い」

「だそうだぞ…」

「この人数差で何を言ってやがる!」

「やるぞ」


その言葉によって、集まっていたやつらは武器を構える。


「結局こうなるのね」

「そうみたいだな」


俺たちも武器を構える。

面倒ごとに巻き込まれる対質なのか、俺たちは戦うことになってしまったのだった。


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