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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは聖域を犯す

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144話

「どうしたんだ、アイラ…」

「私に聞かないでくれる。ミライがこうしろって言うから、仕方なく…」

「そうなのか…」


俺はミライの方を見ると、何故か親指を立てられた。

まあ確かにアイラの細い足には似合っているからいいのかもしれないけどさ…

そう、アイラがしたことといえば、素足だったところに俺からいつぞやに奪ったストッキングをはいている。

胸は確かに残念ではあるアイラだが、足などに関してはかなり綺麗なので、ドレスを破ったことによって見えていた生足にただでさえドキリとしたが、そこに俺が愛用しているストッキングを履いたということになれば、興奮しないわけにはいかなかった。

ただ、俺が興奮したところで事態が動くとは思えない。

この後どうするのが正解なのかがわからないでいると、アイラは蹴りを俺に放つ。


「おふ…」


いきなりすぎて、さすがに俺はバランスを崩して地面に膝をつく。

そして下からアイラのことを見上げる感じになる。

まあ、下着のせいで見えているのかと言われれば怪しいものではあるが…

そう思っていたとき、下着をアイラによって剥ぎ取られる。


「やっぱりただしだったんだ」

「まあな…」

「ヘンタイな人が最初から助けてくれたから、どんな人なのかたまに考えてたけど、これでようやく納得がいった」

「そうかい…」

「ええ…」


そして俺たちは見つめあう。

この後のことを考えても、目をそらすなんてことはできない。

そんなことをしてしまえば、俺がどんな目にあうのかわからないからだ。

どうしたらいいんだ?

それに、俺のストッキングを履いてきた意味もまだ、わからないし…

そんなときだった。


「がああああ」


その言葉とともに、セコがこっちに向かってくる。

俺は慌てて攻撃を避けるために、ミライにしたようにアイラを抱っこして攻撃をかわす。


「怒ってやがるな…」

「そうみたいね」

「そんなに好かれていたのかよ」

「好きでもない相手に好かれたところで、それは迷惑なだけだけどね」

「それはそうかもな…」

「でしょ」


アイラの言葉に俺は同意する。

そして、アイラを地面におろした。

アイラは隣に立つと、どこか落ち着きなさげだ。

どうしたんだろうか?

まずはセコをなんとかしないといけないよな。

バーバルは先ほどの魔法で魔力を使い果たしたのか、シバルとヤミに体を支えられている。

今戦えるのは、後は俺たちくらいだ。

ミライが何かをするって言っていたから、任せていたが、終わってみれば俺のストッキングを履いているアイラがいるだけって…

俺はミライの方を見ると、何故かため息をつかれた。

なんでだ…


「おい、ミライどういう状況なんだよ」

「うーん、ちょっとじれったいから私がなんとかする」

「どういうことだよ」


俺はそう言いながらも、セコの方を見るが、先ほどの攻撃によって消耗したのだろうか、動くのはかなりゆっくりだ。

先ほどの攻撃をしただけで、かなり息があがっているようだ。

といっても、時間とともに回復はするだろう。

どうやって倒すのが正解なのかがわからない。

そう思っていると、ミライが近づいてきてアイラに何かを言っている。

ニヤニヤと笑うミライと、どこか恥ずかしそうなアイラ…

どういう状況なんだよ、全く。

そんなことを思っていると、近づいてきたアイラによって再度足を蹴られる。


「おふ…」


急な出来事に対して、再度膝をつく。

まだヘンタイスキルが残っているから、なんとか痛くはないが、アイラのほうも俺のヘンタイな恰好を見ているせいなのか、それともセコに対してそれが発動しているのかはわからないが、ケッペキスキルが発動している状態なので、勢いはある。

そんな感じで、俺はどうしてか二度目の地面に足をつけるということをしなくてはいけなくなった。

俺がヘンタイだから怒っているというのか?

わからないまま、この後どうなるのかを再度考えていると、なかなか何も起こらない。

俺がどうすればいいのかわからずに顔をあげたときだった。


「ああ、もうじれったい」


そう言葉にしたミライが俺たちに近づいてきた。

何がじれったいのだろうか?

そう考えたときには、ミライがバランスを崩していた。


「あ…」

「え?」

「まじかよ…」


そして、そのまま俺とアイラを巻き込むようにして、三人でもみくちゃになりながらも倒れる。

ただ、倒れるときに三人の唇が触れ合ったのは…

不幸な事故だとしか言えなかった…

それを見ていたセコが怒り狂う。


「がああああ」

「ヤバいぞ!」


慌てる俺と違い、ミライとアイラは落ち着いていた。


「まあ、計画は違ったけど、成功かな」

「そうだけど、今のって、私もだよね」

「そうなるんじゃないの?」

「私は修道女魔法使えないのに…」

「私と一緒ならやれるでしょ?」

「そうだね」


そんな会話をすると、アイラとミライは手をつないだ。

そして、次の瞬間に起こるのは、魔力の高まりだった。

バーバルのときよりもさらに大きな魔力によって、さすがのセコも俺を狙うのをやめ、足を止める。

すぐにアイラたちを狙うために近づこうとするが、魔力が濃すぎるのか近づくことすらできない。

こうやってみると、セコが操っていた血を魔力にしたみたいだな。

そんなことをのんきに考えていた。


「がああああ」

「ちっ、アイラの方に行けないからって、こっちに来るなよ」


俺はセコの攻撃を受け止める。

先ほどから血を使った攻撃をしてこないところを見ると、先ほどのバーバルの攻撃で、本当にほとんどの血を失ってしまったのだろう。

といっても、俺もヘンタイスキルが完全に発動しているという状況ではない。

だからこそ、血を失っていてもドラキュラとしてのというべきか、魔族としてというべきなのかはわからないが、力で抑え込まれてしまう可能性が高い。


「うおおおおお」

「がああああ」


ただ、そんなことを思っているとアイラとミライを包んでいた魔力が収まっていく。

何かをやってくれる、そう確信した俺はそのままセコを逃がさないように押さえつける。

ヘンタイスキルが切れる前に早くやってくれ…

その俺の思いが通じたのだろうか、アイラとミライの言葉が響く。


「「我の周りに聖なる力によってすべてを浄化する光を、セイクリッド」」


すぐにアイラとミライの繋いだ手から光があふれる。


「ぐ、があああああ」


苦しみだすセコをよそに、光は強くなる。

そして、その光はこのセイクリッドを包みこんだのだった。



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