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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは聖域を犯す

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142話

「ただし、なんだよね…」

「あ、ああ…」


俺は気まずいながらも、ミライと一緒にいるということと、セコと戦っていることから、隠すことができないと感じたので、正直に言う。

まあ、もう無理だったよな。

問題はこの後だよな。

普通にビンタされるとかだよな。

俺はそう考えて、身構えていたが、次の瞬間には光の槍で貫かれていた。


「ただし!」

「イター…痛くない?」

「うーん、別に何か悪いものが体に入っているとかそういう感じじゃないんだね」

「当たり前だろ」

「だったら、どうしてそんな恰好してるのよ」

「仕方ないだろ、そういうスキルなんだ!」

「女性ものの下着を被るようなスキルを私は知らないよ」


いや、ごもっともで…

俺だって、こんなスキルじゃなければ好き好んでこんな格好はしないぞ。

どう考えてもヘンタイだからな!

そう恰好はしない。

しても、少し女性の肌着の匂いを嗅ぐくらいだ。

それくらいは誰だってしているだろう、たぶんだが…

ただ、そんなことを目の前にいるアイラに言えるわけもなく。

どうすればいいのかと戸惑っていたときだった。


「ただし!」

「アイラ!」


二つの場所から、声が聞こえる。

一つはヤミのもので、もう一つはアイラのお母さんのものだ。

どうやら、全員が集合したみたいだ。

アイラのお母さんと、その横にいるスレンダー美女さんは、俺を見て、少しぎょっとするが、俺だって好きでこんなことをしているわけじゃないと、再々言っておく。

そんなとき、アイラのお母さんが言った言葉で、俺たちは再度緊張に包まれる。


「さっきまで、決死の覚悟で戦っていたのに、私たちの目の前で、少し苦しんで倒れたのよね」

「ああ、何かが体から飛んでいくのも見えたな」

「どうやら、まだ終わってないようじゃな」


そして、それの答えがわかったのか、ヤミのその言葉がこの場に響く。

すぐに異変は起こった。

それは、これまでセコは確かにドラキュラとして血を使ってきた。

でも、ちゃんと見ていなかった。

セコの血を使うときにやっていたこと、それはある程度体から出して使っていたということだ。

それなのに、今は大量の血がセコの上に集まっていた。


「くそ!」


俺は血を浴びることも仕方ないと感じながらも、セコに向かって手を伸ばそうとしたが、それは間に合わない。

大量の血はセコに降り注ぐ。

すぐに濃密な魔力が辺りを包むのを感じた。

俺は先手必勝とばかりにセコに向かって拳をくりだす。

ただ、それはパシッという音とともに、受け止められる。


「ふ、どうした?」

「ちっ…」


俺はさすがに距離をとった。

気を纏っていなかったとはいえ、かなりの勢いで振るった拳を完全に止められたことになる。

さっきまでであれば、避けていたのに、防げるようになるとは、かなり強くなっているのか?


「なんなのじゃ、あれは…」

「見てわからないのか?」

「わからないから、聞いておるのじゃ」

「ドラキュラってやつみたいだぞ」

「ほう…じゃが、先ほどまでとは別人じゃな」

「そうだな」


大量の血を浴びたせいなのかはわからないが、力を増したセコは、これまでの姿とは違っていた。

耳は伸び、少し長かった程度の髪は腰くらいまで伸び、背中にはコウモリの羽根だろうか、翼が生えている。

ドラキュラって感じだな。

俺は思わずそんなことを考えたが、すぐに嫌な魔力の流れを感じる。


「ブラッディクロウ!」

「避けろ!」


俺はみんなにそう叫ぶと、慌てて全員が横に転がる。

そして、今までいた場所を爪のような形をした血が通過する。

そのまま後ろにあった建物などを破壊した。


「何よ、今の…」

「魔力で固めた血だろ!」

「さっきの槍の数倍は威力あったわよ」

「さっきまでとは血の量が違うからじゃないのか」

「確かに、さっきよりも血が黒かったように見えたけど、その程度じゃないの?」

「そう思うなら防御してみてくれよ」

「嫌よ、さっきからのホーリージャベリンで魔力を結構使ってるんだから!」

「だったら、俺を刺すなよ」

「しょうがないでしょ、そんな恰好をしている人が、普通だとは思わないだからね」

「くう、否定できない…」

「おぬしら、そんな話をしている暇はないのじゃ!」


ヤミがそんなことを言う。

そのタイミングで、セコは翼を広げる。


「おい、飛んだら、攻撃の使用がないぞ」

「わたくしに任せてください。風よ、相手を切り裂く風の太刀となせ、ウィンドカッター」


慌てて言う俺に、すぐに横に来たバーバルが魔法を放つ。

風でできた刃が飛んでいく。


「ふ、ブラッディウォール」


ただ、それはセコが指を弾くことでできた血の壁によって防がれる。

本当に、さっきまでとは別人のように強い。

でも、さっきまでと違う点がある。

それは、ほとんど言葉を発していないことだ。

これは、もしかしなくても…


「ブラッディクロウ」

「ちっ」


一番前にいた俺が、再度血の爪によって攻撃をされる。

威力は確かに強いが、かなり大雑把な攻撃だ。

俺の今のスピードであれば、当たることはないだろう。

かといって、一発でも当たれば致命傷は免れないような攻撃ばかりをされているのだから、油断はできない。

どうすればいい?

俺の攻撃が不意打ちで止められたんだ。

普通に攻撃しても無理な気がする。

ただ、それでも攻撃しないわけにはいかない。

それをわかってかはしらないが、シバルが前に出る。


「はあああああ」


後ろで魔力をためていたのだろう。

放つは、絶対に斬れる、無属性の剣。

いける!

俺たちはそう思った。


「ブラッディソード」


ただ、その言葉とともに、セコは巨大な血の剣を作りだす。

そして、お互いの剣がぶつかりあう。


「くううう…」

「ぐがああああああ!」


最初は拮抗していた攻撃であったが、すぐにシバルが押されだす。

巨大な血の剣がシバルの剣を巻き込み始める。


「アイラ!」

「任せて」


俺は慌ててアイラの名前を呼ぶ。

すぐに、シバルの前にアイラは立つと手を前にやる。

アイラの後ろには、さらに二人の影ができる。


「「「我の前に絶対に通さない聖なる壁を作りたまえ、ホーリーバリア(我の前に壁を、バリア)」」」


三人の声が響き、三重のバリアが出来上がる。

一枚目、二枚目と破られ、三枚目のバリアでなんとか持ちこたえる。

でも、セコの攻撃はそれで終わらない。

今の攻撃で、相手を倒せるということがわかったのだろう。

だからこそ、同じ攻撃をしてくる。


「させるかよ!」


俺は体に気を纏わせると加速する。

相手の振り上げていた血の剣を手元でなんとか止める。


「くそおおおお…」

「ぐがああああああ」


なんというバカ力なのだろうか…

手首を押さえて。普通の人であれば止められるはずなのに、少しずつ下に押され始める。

くそ、このままだと俺が斬られる。

後ろにいた四人が離れるのを確認した俺は、手を離すと、すぐにその攻撃をかわす。

ズドンという音と、ともに血の剣によって振られた部分が破壊される。

俺はすぐに離れた。


「おい、やべえぞ」

「本当にね…」

「なんだよ…」

「戦っているから今はいいけど、絶対その恰好については追及するからね」

「まずは、この戦いを終わらせてからにしてくれよ」

「はいはい。シバル」

「はい!」

「何か、いい手はない?」

「それは…すみません」

「誰かある?」

「おい、俺には聞かないのか?」

「ただしなら、あったら先に話してるでしょ」

「確かにそうだな」


こういうときに、俺とパーティーとしてこれまでの時間を感じていると、ミライが手をあげる。


「ミライ?」

「一応あるよ、私が知ってるやり方ができるならね」

「そうなの?」

「うん、アイラ!」


そして、ミライとアイラは何かをひそひそと話始める。

ただ、その時間もセコは攻撃をやめない。

というべきか、アイラが後ろに行って、見えにくくなったせいか、その攻撃は苛烈さをました。


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