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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは聖域を犯す

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139話

「やあああああ」

「はあああああ」


互いの突きがぶつかる。

魔法の槍と普通の槍がぶつかりあう。

それは普通であればすぐに決着がつくものだと思われているが、お互いの実力が拮抗している場合では簡単には決着がつかない。

それでも、武器の差によって徐々に光の槍は相手の槍を削る。


「武器でこれだけの差がでるなんてね」

「ふふん、強いってことわかった?」

「ほんとに調子がいいのね」

「これが、ほんとの私ってことなのよ」


確かに調子がいい。

それはたぶん、吹っ切れたからだと思う。

自分が何をしたいのかを本当にわかったからだと思う。

決意は力に変わるか…

そんなことが本当に起こるなんてね。

私には関係のないことばっかりだと思っていた。


「でも、私の強さはこれだけじゃない」

「何を!」

「援護する。火よ、相手を焼き尽くす炎となせ、ファイアー」

「我の前に壁を、バリア」

「ふ、バリアではこのファイアーを防げませんよ」

「そう思う?」


男が炎の魔法を唱え私がバリアを唱える。

確かに、相手の男が使う魔法はただの火を撃ちだすというものなのに火力は高い。

でも、それは私も同じだった。

私が作ったバリアも普通と同じだと思われているのだろうか?

そんなわけないよね。

だから防げる。


「なに!」

「私だって普通じゃないってこと」

「選ばれただけで、これほどの力を…」

「本当に嫌になるわよね」


男女はそんなことを言う。

確かに私は、それだけ恵まれていたのかもしれない。

でも、私は私なんんだから!

この力をどう使うかは私が決める。


「いくよ」

「く、本当に!」

「はあああああ」

「くうううう…」


私は光の槍で、相手の槍を弾いた。

女性はバックステップで後退する。


「普通に負けるとはな」

「だったら、あなたも手伝いなさいよ」

「それは無理だ」


男はそう言葉にすると、手を前に向ける。

それに対して、女性は怒る。


「それを使うのかよ」

「仕方ないだろ、勝てないんだからな」


男はそう言うと、何かを発動する。

すぐに異変に気付く。


「これは…」


すぐに右手にもっていた光の槍が消える。

なるほどね。

これが魔力を無効化する何かということね…

でも、そこで私は気づく。

未だに首元には魔力を無効化するはずのものがついているという事実に…

どういうこと?

これがついてるってことは魔力が使えない。

だから、魔法が使えないってことなんじゃないの?

それなのに、さっきまでは魔法が使えていた。

どうして?

疑問に思って考えていたときだった。


「本当はね、こんなことをしてまで、あんたをここに閉じ込める理由はないけどね」

「だったら、私が相手になるわよ」

「ふん、くたばりぞこないなのによ」


いつの間にか、母親が目の前に立っている。

それは私を、また守るような形だ。

でも、私はそんな母親をグイッと押しのける。


「アイラ?」

「お母さんは、後ろに下がってて」

「ア、アイラ…」


少し感動したように名前を呼ばれて、私は照れくさくなりながらも、お母さんの前に出る。

手には武器はない。

その姿に、さすがに女性は笑う。


「なんだ?うちと戦うのには、もう素手で十分ってことか?」

「別にそういうわけじゃないよ。ただ、試したいことがあるだけ」

「は!魔法が使えない今、できることは武器での攻撃しかないんだよ!」


そう言いながら、女性はこちらに走ってくる。

私は、それを見ながら思う。

本当にそうなのかと…

これは、確かセコのソウゾウというスキルによって、作られたものだ。

考えたものを創造できる。

かなり便利なもので、これによって、セコはこの国を治めているのだろう。

でも、結局作れるものは最大でも擬似アーティファクトで、本当のいつ作られたのかわからないアーティファクトと違って、この世に一点しかないというものではない。

それでも、機能がしっかりしているのだからいいのではないのか?

確かにそうなのかもしれない。

でも、擬似アーティファクトには欠点がある。

それもかなり大きなものだ。

擬似アーティファクトに込められる能力は一つのはずだ。

例えば、魔力を使えないようにする。

それは確かに強力なもので、そんなものが使えたのなら、最強だろう。

だから、光の槍が消えた。

本当にそうなのだろうか?

私は、気づいていた。

女性の速い突きを避ける。


「ふ、避けることしかできないでしょ?」

「本当に?」

「何が言いたい!」

「わからないの?」

「何がだ、うちに負けそうだからって、揺さぶりたいのか!」

「違うよ。だって、私が勝つから!」

「なに!」


私は再度突きを行ってきた槍を、右手から再度現れた光の槍で弾く。

そして、そのまま槍を女性に突き刺す。


「い…あ、どういうことだ?」

「私は別に、傷つけたくて攻撃したわけじゃないからね」

「ち、そういうことかよ」


光の槍は確かに女性を貫いた。

でも、それはそう見せかけるためだ。

この場にいる本当の敵を炙り出すために…


「ふむ、こんなに簡単に負けるとは、やはりこの僕が、先に相手をするべきでしたかね」


そんなことを後ろの男性が言う。

どこかというか、最初からおかしかった。

普通であれば、やられ始めれば、女性の加勢をするはずだった男は、何もしなかった。

というよりも、何かを見定めていたというべきなのか…

ただ男は、私に向かって言う。


「どうしてこれのカラクリがわかったのですか?」

「それは、ここに張っている、ホーリーバリアが消えていないからね」

「へえ、それに気づきましたか!」

「どういうこと?」

「そうだね。簡単に言うと、魔力を使えないんじゃないし、魔法が使えないんじゃない。そう思わされてるだけ」

「え?」


そう、最初からおかしいということに気づくべきだった。

その腕輪から発せられる何かによって、人の心をコントロールしてしまおうとするということを…

だから、もしかしてソウゾウスキルというのも、本当は…

私がそこまで考えていたときだった。

男は懐から何かを取り出す。


「何をするつもり?」

「いえ、少し本来の姿に戻る。それだけですよ」


男はそう言葉にすると、懐から出した何かを飲む。

すぐに苦しみだした。


「ぐおおおあああああああ」


ただ、辺りに満ちるのは魔力。

そして、目の前には見たことはないけれど、聞いたことはある存在がいた。


「ドラキュラ…」

「くく、わかりますか?」

「ドラキュラ?どういうこと?」

「わからなくても、大丈夫ですよ。ただ、動いてもらいましょうか!」


そう言いながら、ドラキュラは手を前にする。

ただ、そこで止まった。


「どういうことだ?」

「ふふん、さすがは光の槍ね」


その答えをわかっていた私は、そう言葉にする。

ただ、ドラキュラは取り乱す。


「どういうことだ、どういうことだ!」

「そんなこと、あなたも考えてみなよ」


そう言葉にしながらも、私はドラキュラと槍を激突させた。


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