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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは聖域を犯す

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134話

「ちょっと、ここで戦うなんて未来はなかったんだけど」

「しょうがないだろ、アイラがあんな状態だったんだからな」

「本当だよ、ここでアイラと合流して戦うならわかるけど、そうじゃないんだからね」

「いや、あの状態だと無理だろ…」

「そうだけど」


そんな文句を言いながらも、ミライは隣で縮こまっている。

これはどういうことなのだろうか?


「おい、棒術とかで戦えないのか?」

「そんなこと、私にできるわけないでしょ」

「いやいやいや、アイラとか目の前のやつらもしっかりと武器使ってるだろ!」

「それは、私は守られる側だったからね!」

「鬱陶しいから、親指をあげるな」


どこに自慢できる要素があったのかはわからないが、ミライは楽しそうに笑っている。

それもそのはずで、攻撃は全て俺に向かって飛んできているし、そもそも通路ということもあるから、攻撃してくる人数に制限があるおかげで、普通に攻撃はさばけているが、ミライが手伝ってくれればもっと簡単だというのに、それはできないらしい。

確かにスキルは優秀なのかもしれないけど、ここまで戦えないのなら、完全に使えないやつだな。


「こうなったら一人で逃げるのが一番いいのか?」

「ちょっと、なんでそこで悩むのよ。絶対ダメでしょ」

「そうかよ」

「そうよ。それと、どうしてそんなにも攻撃を防げるの?」

「簡単なことだ、俺が強いからな」


といっても、今はミライが座っているからこれが発動しているのであって、このままとどまっておくということも難しい。

このまま後ろにいるセコが何かをしてこないという保証もないしな。


「一度離れるか」

「そんな簡単にできるものなの?」

「まあ、ちょっと豪快だけどな」

「え?」


俺の豪快という言葉を聞いて、どこか嫌な予感がしたミライが逃げようと立ち上がろうとするが、俺はそれより先に、思いっきり足を踏み鳴らす。

それによって、地面が少し揺れる。

一瞬崩れた相手たちによって攻撃が止まる。

後はこの気をためた拳で!


「うおおおおお」

「ちょっと、心の準備とか!」


ドンという音とともに、建物が壊れる。

修道女がいるほうからバリアの魔法が唱えられるのを聞きながら、俺はまたミライをがしっとつかむと、その場から飛び出した。


「きゃあああああ」


そんな声とともに外へ飛び出る俺たちに、追えという言葉が聞こえるが、そんなことで捕まることはない。


「よし、ミライ、出番だ」

「わかってるわよ」


俺はミライの案内の元、その後に行くべき場所に向かう。

そこは、地下。

それも奥深く。

そこにあるはずの、この国に蔓延している薬を求めて、俺たちは入口を探す。

どこにあるのか、それを含めてもわかっている。


「さあ、ミライ様を救いに行きますか」

「未来の私だけどね」


俺はそう宣言すると、ミライはそう言う。

どういうことなのか?

それは簡単なことだった。

ミライがどうしてそんな薬を知っているのか、それはヨチスキルによっ、Ⓖて自分自身が薬によって、この国の行く末のみを視る、傀儡に落ちてしまうことをわかってしまったから…

そのタイミングはアイラがこの国へ帰ったタイミングだということもわかっていた。

どうしてなのか?

それはセコがミライではなくアイラをそれはもうおかしいくらいには愛しているから…

そして、アイラには母親のことを見せることで薬を使わなくても傀儡にすることができると思っているからで、実際にはミライが視た未来ではそうなっていたらしい。

だから、少しでもよくなるようにとアイラを修道女として大勢させて、聖女として勇者と冒険する任につかせて、そのままこの国に戻ったタイミングで勇者と自分のことを薬で手なずけるつもりだったらしい。

アイラの母親と会った後にやるこが決まっているというのが、アイラと会うこととこの後にやる薬を製造している工場を破壊することだ。


「ここでいいんだよな」

「そうだよ」

「別に変なところはないけどな」

「本当に?私はなんとなく行きたくなくなるんだけど」

「それも何かアーティファクトの影響か?」

「そうみたいね。私には効いているから、普通の人だと魔力があるから効くってことだね」

「なるほどな。それでここには見張りもいないのか」

「そうなんじゃないかな」


そう、ミライの案内によって、ここに来たのはいいが、誰も見張りがいない。

まあ人の目があるから、俺が違うことをすればわかるってこともあるのだろう。

そんな俺たちがいるのは、セイクリッドの王都のさらに中心地である噴水がある地点だ。

なんとかを隠すならなんとかの中とは言うけれど、その通りなのかもしれない。

ただ、明らかに避けているのにおかしいと思わないというのもおかしいのだけれど、これもアーティファクトの能力だと思うと、ある意味怖いと感じる。


「俺にだけ効かないというのも、なんか主人公感あっていいな」

「主人公?」

「ま、こっちの話だ」

「そう?」


そんなことを言いながらも、ミライは違う方向に向かって歩き始める。

俺はがしっと腕を掴む。


「く…アーティファクトの力だとしても、これは…」

「どういう感じなんだ?」

「そうね。普通に何もないって感じて違うところに行きたくなったってところかな」

「そういうもんか」

「だから、腕を掴んでもらえなかったらまずかったよ」

「ふ、俺がいなかったらまずかったな」

「本当にね」

「どうだ、ここで一つお色気ポーズでも」

「そんな意味のわからないことしないけど」

「く…ちょっと調子にのっても大丈夫だと思ったのに!」

「全部終わった後なら、いいけどね」

「確かにそうだ。本当の戦いはここからだよな」

「そうだよ。だから入ろう」

「了解」


そうして俺はミライの手を引いて、中に入っていく。

一瞬周りの目が気になることになったが、すぐにそれもなくなる。

中に入ってしまえば、アーティファクトの能力が効果を発揮しているということなのだろう。

俺たちは階段を下りて行った。


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