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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは聖域を犯す

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131話

三人がそんなことになっているとは知らず、ただしは情報を集めるために走り回っていた。


「本当に便利だな」

「ありがとう」


ミライがもつ、ヨチスキルが便利すぎる。

俺はしみじみそう思っていた。

だって、ここまで情報を集めていたというのに、誰とも出会うことがなかったからだ。

いや、実際に言うと見つからないというべきか…

普通であればこそこそ周りを確認しながらしないといけないことに対して、どこにいるのかがわかるので、ミライがこっちという方向にさえ進んでいけば、人を避けられれるのだ。

こ、これを使えば、お風呂を除くことも…


「ゴクリ…」

「今、よからぬことを考えましたか?」

「そんなことはない」

「本当ですか?」

「ああ…よからぬことは考えていない。考えているのはいいことだけだ」

「あなたのいいことは私のいいことじゃないからね」

「そ、そんなことがあるわけ…」

「ふーん…」


そう言葉にしながら、ミライは服の上からわかるように胸を持ち上げる。

俺はそれを見て物申す。


「も、もう少し持ち上が手くれると助かる」

「やっぱりよくないことだけ考えてるじゃない」

「これは、完全にハニートラップだろ!」

「こんな簡単なトラップ引っかかるってことは女性が敵にいると負けるんじゃないの?」

「大丈夫だ。俺は知り合いにしか興奮しないからな」

「ええ…」


そう。

俺は童貞だ。

ヘンタイスキルでそれなりに気が大きくなっている今ならともかく普通であれば女性とまともに話すことなどできようがない。

ミライのことは、最初からおかしな人だったし、胸もといおっぱいの主張がありすぎたせいで、俺もすぐに話せるようになっただけだ。

まあ、いえることは…


「俺はミライのおっぱいだから話しかけられるようになっただけだ」

「うん、すがすがしいくらいのヘンタイですね」

「ふ、ハニートラップをしておいて、その言いぐさはないだろ?」

「確かに、私自身も自分でやっててどこか恥ずかしかったですけど」

「そうだろ?だから、もっとそのおっぱいを強調してくれ」

「嫌だけど」

「なんだと…」


俺は地面に突っ伏す。

完全に落ち込んだ俺を見て、ミライはそんな俺のことを蔑むように見ている。

くそ、俺のヘンタイスキルがこうしているだけだというのに、俺のせいじゃないというのにな。

まあ、いいか。


「とりあえず、行くか」

「急に切り替えるのやめてよ」

「仕方ないだろ、そういうことも大事だからな」

「まあいいけどね。それで、どこに行くの?」

「わかってるだろ?あの場所だ」

「そこに行くまでも私に案内させるつもりなの?」

「当たり前だろ、俺だと見つかったときにまずいからな」

「いいけど、まずはこれを着てよね」

「へいへい」


俺は用意されていた服を着る。

一応これで、ここにいる神官と同じ見た目だ。

ポケットの中に女性ものの下着を常備していること以外はまともな神官だろう。

そういえば、ここで俺は気になっていたことをミライに聞いてみる。


「なあ、ミライ」

「なに?気が散るから少し黙っててくれませんか?」

「さっきのおっぱい騒動から態度が冷たいな」

「当たり前でしょ、さっきのことで怒らない女性がいたら、私が驚きますよ」

「なんだと、ハニートラップをもっといいものにしようとして意見を言っただけなんだけどな」

「男の人がそういうものが好きなのはわかるけど、もう少し遠回しに言うとかできなかったの?」

「それができれば、今はもう俺じゃないな」

「本当に、そういう人だから魔力もないのかもね」

「いや、それは俺に対してのいじめだよ」

「そうですか?」

「そうだよ」

「はいはい」


本当にひどいやつだ。

俺がちょっとヘンタイなことを言っただけで冷たくなるなんてな。

シバルたちなら簡単に許してくれたのに…


「それをアイラにも言えるの?」

「おま、それは考えたらいけないことだと思わないのか?」

「思わないよ。だって、助けるためには必要なことでしょ」

「確かにそうなんだけどな」


言うしかないというのは、頭ではわかっている。

ただ、それを行うのかと言われればアイラがケッペキスキルだから、ばらしたくはない。

それでも、この後に行う最後にはアイラのケッペキスキルが必要で、それを発動させるのに一番単純なのは、俺がヘンタイになることだ。

ヘンタイなことがばれたくはないが、ヘンタイにならないとケッペキを発動できるかわからないという矛盾というやつだ。

くう…

俺は悩む。

そのせいで、先ほど聞きたかった内容を忘れていたのは言うまでもない。

そんなバカなことばかりを考えている俺たちがいるのは、修道院の中だった。

どうしてここにいるのかというのは言うまでもない。

アイラに会うためだ。

そこで何を話すのかは決まっていて、アイラの母親について話すつもりだ。

アイラが母親について、何を思っているのかを聞き出すことが最初の重要なこと。

あとはセコが行っている悪事を突き止めることも必要だ。

かなりせこいことを行ってきそうなので、その前にある程度のものを破壊するということが必要になりそうだ。


「ここね」

「そうみたいだな」


着いたのは、ある部屋の前。

どういうわけかそこには誰もいない。

この状況に、さすがのミライも驚いている。


「どういうことなんだろ、私が視た未来だと見張りがいたはずなのに…」

「すでに未来が変わっているのか?」

「うん…ただしに出会ってから視えた未来通りにいくほうがすごいことだって思っちゃったよ」

「そりゃ、そうだな」

「どうして?」

「ミライが視えている未来って結局は自分が生きている未来だろ?」

「確かにそうだけど、そうじゃないと未来が視えないと思うけど」

「でもさ?その未来を無視して、危険に飛び込むことがあれば、違う未来になるんじゃないのか?」

「死ぬ未来を視るってこと?」

「ちげーよ。俺が言いたいのは、変えたいと思わない限り未来は変わらないってことだ」

「それは…そうかも…」

「じゃあ、ここにも未来をどう考えているかわからないあいつに会いにいくぞ」

「そうね」


俺たちはアイラがいるであろう扉をあけた。

ミライが視た未来を変えるために…


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