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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイが異世界にやってきた

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俺はあれを手に入れたい

「いや、俺は今日、何をしていたんだろうか」

【ふん、だから言ったでしょ昨日のうちに下着を泥しておけってね】

「いや、確かに結果だけを見たらそうなんだけど、なんかいろいろ起きすぎて理解がついていかないんだが」

【理解なんかしなくても大丈夫よ。ただ、あなたは被ればいいだけなの】

「ちょっといい感じのことを言っている風だけどな。被るものが女性用の下着の時点でもういろいろアウトだということを考えてほしいんだよ」

【ふ…でもあなたは今夜こそ取りに行くんでしょ?】

「く…否定できない自分が悔しい」

【あはははははー。仕方ないのよ。これは逃れられない運命なんだから!】

「く…」


そんなアホな会話をできているのは、すでにご飯も食べ終えて部屋にいるからだろう。

明日の予定も含めて決まるのが本当に早かった。

午前中にゴブリンが襲ってくるという予想外なことがありながらの、薬草採取があって、昼からは武器を作ってもらい、そして体を鍛える。

なかなかにやっていることがハードだし、いい加減後ろのほうから魔法を撃ちたい。

あとチート技とか使ってみたい。

異世界転生ってこういうものじゃないはずなのにな。

俺は一人でそんなことを思いながらも、どうしようもない下着泥を決行するしかなくなっていた。

く…

なんで異世界にきて、やっていることが下着泥なんだ。

というかどうやって盗む?

何かいい手はないのか?

いや、ここは俺の口のうまさが生かされるときだ。

こういうときは正攻法でいこう。

まずは扉をノックする。


「はい」

「あー俺だ」

「ただし?どうしたの?」

「いや、少し話がしたくてな」

「わかった。部屋はシバルが寝てるから外でもいい?」

「ああ…」


完全に計画が狂ったー。

いやいやいや、こういうのって部屋でっていう流れだと思ったのに、そうならないなんて、どういうことだ。

いや、まだチャンスはあるはずだ。

こういうときはしっかりと話をもって、部屋の中に入る口実を作ればいいだけなんだからな。

よし、それでいこう。

そうして、完全に計画を崩されながらも、宿屋の外に出た俺はアイラと二人で夜風に吹かれながら歩いた。


「それで?何か聞きたいことあったの?」

「いや、それがさ…歩いていて忘れた」

「そっか…」


すぐに沈黙が訪れる。

計画が狂ってこういうときに口下手になってしまう自分が憎い。

ただ、そんな俺を知ってかしらずかアイラの方が口を開いた。


「そういえば、聞きたいことがあったんだけど」

「な、なんだ?」

「記憶は戻った?」

「いや、戻ってないかな」

「そう?それにしてはなんだか、今日の武器を使っての訓練でも、型っていうのかな?それができていたからどうなのかなって」

「それは…」

「うん?」

「体に染みついた何かがでたんじゃないのか?」

「あー、なるほど。記憶はないけど体は覚えてるってやつ?」

「そうなるかな」


でも実際にそうだった。

俺が武道を習っていたということは確かにあるが、それでもそれをやっていたのはかなり前で、現実世界でも本当に今と同じくらいの体格のときだ。

だからこそ、覚えていた何かが勝手に出たのかもしれない。

というか、覚えていることに自分で驚いているくらいだ。

拳を握ると、アイラがその手を握られる。


「ひぇい?」


戸惑って変な声しかでないが、それでもアイラは俺の手を離すことはない。

少し震えたその手は震えが落ち着くまで手を離すことなく握っているのだった。


「ふー、落ち着いた、落ち着いた」

「それならよかったが、今更だけどアイラは元聖女なのに口調がざっくばらんだな」

「ふふん、まあね。こう見えても修道女としてはかなり頑張っていたんだけどね。だからこういう冒険して毎日違う日々を送るっていう時間に憧れていたんだよね。」

「そうなのか?」

「うん。ただしがいなかったらパーティーとして組めなくて、たぶんまた修道女として修道院に戻されていただろうしね」

「そんなに修道院は嫌なところだったのか?」

「そうだね。簡単に言うと毎日同じようなことの繰り返しだからね。やることといえば願いという毎日決まった時間に礼拝をおこなったり、この国の成り立ちや算数、言葉の勉強や、魔法の適正がある子は修道女としての魔法の練習とかね。それを毎日決まった時間にやるのよ」

「それは確かに嫌になるかもな」


ずっと同じことの繰り返しは嫌になるのもよくわかる。

俺も社畜として仕事を繰り返しやってきたので、それがつらいということが…


「そういえば、ただしは記憶が少しでも戻ったの?」

「いや、どうだろう?」

「なんとなくそんな気がしたから」

「そっか…」


実のところ、記憶なんて失ってはいないがこういう設定は大事だ。

ただ、設定なのでほとんどのタイミングで忘れている。

だからこういうことを言われてしまうのだろう。

このタイミングは何をすれば正解なのだろうか?

そんなことを思いながらも、時間は過ぎていく、下着を盗れないまま…


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