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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは聖域を犯す

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128話

「うおおおおお」

「あまい!」

「なんだと!」


俺は再度向かってくる勇者の攻撃をかわす。

そして攻撃をしようと拳をだそうとしてやめる。

それをわかったのだろう、勇者は怒りをあらわにする。


「おい、舐めているのか!」

「それは、お前のことだろう?」

「どういうことだ」

「スキルも何も使わずに、俺に勝とうと思っているのか?」

「なんだと…」

「俺にはすべてを視ることができる、最強の瞳があるからな」


そう言いながらも、ブラジャーを目につける。

これによって魔力の流れを視るが、勇者は魔力を使っている感じがない。

確かに体のうちにはあるが、俺が戦ってきたやつらたちは魔力の流れによってどんな攻撃をしてくるのかがわかる。

だからこそ、魔力を使っているのか使っていないのかもわかってしまう。

戦闘を重ねることで、その感覚がわかるようになってしまった。

手を抜いていることさえもわかってしまう。


「何を言っていやがる」

「ふ…俺のこの眼がそう言っているからな」

「なんだと…何も見えないくせに何を言っているんだお前は」

「見えない?それはお前だけだろ、ほら攻撃をしてみるといい。俺は視えている」

「んだと、おら!」


勇者は再度攻撃をしてくる。

ただ、俺は先ほどよりもさらに余裕をもって攻撃を避ける。

魔力の流れがなくても、ヘンタイスキルのおかげで簡単に避けれる。


「くそが!」

「怒りをあらわにされてもな。当たらないものは当たらないぞ」

「ちい…だったら仕方ねえな、スキルはこの先まで見せるつもりはなかったが、ここまでコケにされたのなら仕方ないな」

「そういうものか?」

「ああ、でも本気を出すということはここら一体が壊れる覚悟が必要だけどな」

「そうかよ」

「まあ、視てろよ」


勇者はそう口にする。

そのときには魔力は確かに勇者の中から外に向かって出ている。

次の瞬間には俺の隣に立っていた。


「どうだ?視えたか?」

「なに?」


俺は回避も間に合わず殴られていた。

ドンという音とともに、俺は少し吹き飛ぶ。

ただ、殴られたというのに、そこまで力がこもっているという感じではなかった。


「どういうことだ?手加減したのか?」

「ああ?別にいいだろうがよ。お前がさっきまでやったことだろ?」

「ま、そうだな」

「それに、手加減したところでオレのことは視えてないだろ?」


勇者はそう言葉にすると、再度消える。

どんなスキルを使っているのかがわからないが、それでもかなり速いということだけはわかる。

次の瞬間また気づけばそこにいる。


「ぐは…」


俺は殴られる。

ぐらりとするのをなんとか耐える。

だからといって、このままというわけにもいかない。

どうすればいい?

そのときに視界…

ヘンタイ眼で視えていたのはミライの姿だ。

なるほどな。

やってみる価値はありそうだな。

俺は次の一撃をわざと飛ばされるようにくらう。


「大丈夫?」


うまくミライの近くに飛ばされたみたいだ。

俺はすぐに立ち上がる。


「手ごたえがあまりないと思ったが、なんだ?そっちにわざと飛ばされたのか?」

「だったらどうする?」

「変な恰好をするやつだから、何かすればまた強くでもなれると思っているのか?」

「ふ…確かにそうなのかもな」


俺はそう言葉にしながら、勇者の攻撃を手で弾く。


「なに!」

「驚いたかな?」

「ちっ!」


何かを警戒して、勇者はさがる。

俺はそのタイミングでミライに声をかける。


「ミライ…」

「大丈夫なんですか?」

「それは、ミライ次第って感じだな」

「どういうことですか?」

「ま、簡単なことだ。ミライの未来を視る力で俺を助けてくれ」

「わ、わかりました」

「よし、それじゃ、これだ!」


俺は懐からストッキングを取り出した。

何を取り出すのかと警戒していた二人には申し訳なかったが、俺はこれで勇者に負けることはなくなる。

時が止まったのか、ぽかんとしている二人をよそに俺はストッキングをうまく使ってミライを引き寄せる。

そしてそのまま、おんぶをする形で背中に装着した。


「ど、どういう状況なんですか!」


急な出来事にバタバタとしだしたミライに俺は説明をする。


「あ、暴れるなよ」

「だって、力を貸してくれなんていうんだから、隣で戦うとかって思うでしょ普通!」

「確かに普通だとそうだな。でも、ミライはあいつの動きに反応できるのか?」

「そ、それはできないけど」

「そうだろ…そこでこのシステムだ」

「どいうこと?」

「俺は反応できるが、ある程度の予測でしかない」

「つまり?」

「そうだな。さっきの攻撃を弾けたのも、ミライに攻撃がくることはないってところから、俺はどこから攻撃がくるのかをある程度読んだうえで、行動していた」

「なるほど」

「そして、今からやるのはそれをミライがやるってことだ」

「ということは…」

「そうだ。未来を視る力で、どこから来るのかを教えてくれ!」


その言葉を俺が言い終わったと同時に、勇者の姿が消える。

まずい、話しすぎた。


「前…」

「何⁉」


ただ、ミライからの言葉によって俺はすぐに反応できていた。

それに対してさすがの勇者も驚いている。

さすがのヘンタイスキルというところか…

俺はすぐに反応ができた理由をわかっていた。

おっぱいだ…

うん?

何を言ってるのかって…

俺は誰をおんぶしていると思っているんだ。

しっかりと密着することによってつぶされた胸。

それにより、しっかりとしたおっぱいの感触を得られるというものだ。

だから、ヘンタイスキルはより強化を受けて、ミライが言った瞬間には勇者の視えない攻撃を弾いている。

このおっぱいがなければ、ここまでうまくいかなかっただろう。

本当にいいおっぱいだ。


「くそ、どうして防がれる!」

「それをわからないのか…」

「なんだと!」

「確かに俺は変な恰好をしている。スキルも変なものだ。ただな、俺にはしっかりと戦う目的というものがある」

「それがどうした。オレにだって戦う目的ぐらいあるぞ」

「だとすれば、お前よりも俺の目的…いや、戦うための思いが強いってことだな!」

「なにを!」

「だったら、本気の本気でこいよ」

「ちい」


勇者は魔力を爆発的に跳ね上げる。

これはすごいな。

俺は思わず感心する。


「オレにここまでさせるからには、しっかりとこの死の風を味合わせてやる」

「ふ…俺のヘンタイ力が勝つさ」

「行くぞ、死の風を纏う、我は暴風王なりて敵を撃つ、ブラックウィンド」

「カイセイ流、一の拳、トルネードスター」


黒い風と俺の拳が激突する。

これまでの俺であれば勝てるかわからない。

でも、今は違う。

俺の背中には大切なおっぱいをのせているからな!


「うおおおおお」

「なに、押し負けてるだと」

「ふ、俺だからな!」

「なんだと!」

「おらあああ!」

「ぐはあ」


俺はそのまま勇者を殴り飛ばした。

それなりの勢いで吹っ飛びながらも勇者はなんとか体制を整える。


「い、意味がわからねえ。どうしてお前みたいなやつがオレに…」

「だから、言っているだろ、俺には大切なものがあるからな」

「それで強さが変わるなんてことあるわけないだろ!」


勇者は再度殴ってくる。

ただ俺はそれを簡単に受け止める。


「なんどやっても今は一緒だと思わないのか?」

「なんでだ、出会ったときは全く脅威を感じなかったんだぞ!」

「それは俺が本気を出していなかっただけだ」

「じゃあ、お前はそれが本気だというのか?」

「一応な。見た目はこんな感じだけどな」

「ふ、そうかよ…」


その言葉とともに、勇者はその場に大の字に寝転ぶ。

急な出来事に驚いていると、勇者は笑う。


「あはは…これだから世界は広いってことだよな」

「どうしたんだ、急に…」

「いいや、もう少し強くなったらまた相手してもらおうと思ってな」

「いや、俺はもう嫌だぞ」

「ふ、そういうなよ。オレももっと強くなれる可能性になんとなく気づいたからな」

「そうかよ」

「おう。じゃあ、行くんだろ」

「そりゃな、俺の仲間だからな」

「だったら一つだけ忠告をしておくぜ」

「なんだよ」

「何かをあいつらは隠している。それを気をつけな」

「ふ、忠告ありがとうな」

「ま、オレがやられるならお前になんて考えてしまったからな」

「なんだと、俺はヘンタイなんだ。男にそんなことを言われても喜ぶ感じじゃない」

「それはオレもだぜ」


そして、俺と勇者は握手をかわすと、その場を後にした。


「熱い抱擁はないの?」


そんなミライの嫌な言葉を聞きながら…


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