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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは聖域を犯す

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127話

「おい、このまま壊す感じでいいのか?」

「ええ、大丈夫よおおおおおお」


俺たちはその後も一つの塔を破壊すると、再度次の塔に向かって走っていた。

このまま塔を破壊すれば、シバルたちもセイクリッドに入ることができるので、こうやってするのがいいのだろうけど…


「いいのかよ、俺がこの国をめちゃくちゃにして…」

「大丈夫、こんな国は一度どうにかなったらいいの」

「どうしてだ?」

「ふふん、聞きたい?」

「いや、別にいい」

「なんでよ、そこは聞きたいって答えるところでしょ、私みたいな美少女の言葉なんだからね」

「おま、自分で言うのか?」

「当たり前でしょ。そういうあなただって、さっきから胸ばかりを見てるでしょ」

「それは否定しない。男の性だからな」

「そうね、それは否定しないわね」

「そうなのか?」


修道女ということなので、俺はてっきりそんなことはないと言われると思っていた。

男がそういうものが好きだと理解しているということだ。


「驚いてるね」

「当たり前だろ、さすがに驚くだろ」

「そうなの?」

「いや、だってな…普通に考えればそんなことないって言われると思っていたからな」

「そうね。このセイクリッドの裏側を知らなかったら、そんなことを言うのかもね」

「裏側だと…」

「そうよ」


確かに国によって、知られたくないことなんかはあるはずだ。

それはどこでもそうだ。

俺たちが元いた世界であれば、ネットなんかでそんな情報を調べたりすることで簡単に手に入れることができた。

でも、この世界は違う。

そういうものを調べるとなれば、ある程度裏側を知っている人と仲良くなるか、そういう調べる人たちをもっているかの二択だ。

どっちなんだろうか?

俺はチラッと見ると、ミライはふっと笑った。


「ちなみに、私には未来が視える能力があるんだよね」

「もしかして、お前…」

「そうだよ。考えていることで正解かな」

「まじかよ」

「アイラは、応用とか苦手なのに、ただしはそういうところもしっかりと考えれる人なんだね」

「ま、アイラは冒険者に憧れるポンコツだからな」

「ふっふっふ、それは否定しないかな」


ミライはそう言って楽しそうに笑う。

ただ、そんな笑顔の裏ではしっかりと計算高いことがわかった。

それは、さっきのことからわかる。

未来が視えるからということは、相手の未来もある程度のことはわかるのだろう。

例えば、一緒にいる人は、ミライがどうするのかはわからないけれど、一日一緒にいることもできる。

そうなれば、ミライは自分の一日先までの未来であれば視ることができるから、ある程度の未来をそのときに教えることができるということなのだろう。

それを交渉の材料として、裏側の情報を得ていたということだ。

特に、その日にミライに視てもらうことができるもので大きなものといえば、ギャンブルや暗殺者などの組織がくるのかなんかもわかる。

わかってしまえば対策はとれる。

だからミライが視える未来がみんなは知りたがるというわけか…

というか、そこまでして視たい未来は本当に正しい未来なのだろうか?

俺はそんな疑問を感じながらも、三つ目の塔に近づいていた。

殺気!


「ほう、やるじゃねえか」

「まあ、これでも結構戦いを経験してきたからな」

「嘘、私には何も視えなかったのに…」


俺は横からやってきた攻撃をなんとか避けていた。

現れたのは誰か、わかっている。

俺と戦うと宣言していた勇者だ。


「やっぱ、邪魔してくるのかよ」

「ああ?オレのことか?」

「そうだ」

「くくく、あははは!」

「何がおかしい?」

「別に邪魔をしにきたってわけじゃないぜ」

「どういうことだ?」


俺はそう言いながらも、ミライを地面におろす。

さすがにこいつと戦うのに、ミライを抱っこしながらではキツイからだ。

それを見ながら、勇者は俺の質問に答える。


「オレの今の望みはお前と戦うことだからな。邪魔をしたというよりも確実に戦える場所に来たってだけだ」

「お前、そのためだけにここに来たっていうのか?」

「当たり前だろ?それ以外に何があるっていうんだよ」

「ち、戦闘狂が…」

「くくく、オレから戦闘すること以外をとったらどうしようもないからな。それは誉め言葉だと思って受け取っておくぜ」

「全く褒めてはないけどな」

「くくく、それで?やるだろ?」

「ああ…」

「そうこなくちゃな!」


男は走り出す。

俺も同じように走る。

お互いの拳が当たりあう。

あり得ないことではあったがバチっという音が鳴りそうな勢いで、互いの拳が当たる。


「ほう」

「なんだよ」

「あのときよりも拳に力を込めたのに、弾かれるとはな」

「ふん、別に力の込め具合が足りなかっただけだろ?」

「は!言いやがるな」

「お前だって言ってるだろうがよ」

「そうだな」


勇者はそう言うと、首をこきこきと鳴らす。

そして構えた。

先ほどまでと違う。

なるほどな。

俺もこのままではいらないな。

ポケットから俺はいつものようにあれと取り出して頭に被る。


「お前、それはなんだ?」

「ふ、女性の下着だ」

「舐めているのか!」


男は構えから先ほどよりも強いパンチを放ってくる。

俺は左手で弾くと、右手の拳を勇者のみぞおちに叩きこんだ。

それによって勇者は膝をつく。

俺はそれを上から見下ろしながら言う。


「舐めている?」

「見た目で舐めていると思うと痛い目をみるのはお前だぞ、戦闘狂!」


その言葉はカッコいいが…

見た目が終わったヘンタイが言ったからだろう。


「え、自重して…」


そんな言葉が、ミライから聞こえたのだった。


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