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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイは聖域を犯す

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122話

セイクリッドへ向けて馬車を走り始めた俺たちは、作戦というべきか、セイクリッドへ向けてのことを話していた。


「セイクリッドはどういう国になるんだ?あとは、話したことなんだが、どうして他の国に聖騎士がいるんだ?」

「それについては、ボクたち聖騎士が各国に派遣されることで、各町などの警備の強化を行っているからということがありますね」

「それはなんとなく最初の町から思っていたから、わかるが、あの強さのやつを配置するのはヤバくないのか?国として戦力がなくなるだろ?」

「それについては、ボクも噂でしか聞いたことがありませんが、魔力を封じるアーティファクトが開発されたということがボクたちの場所では話題になっていましたから」

「なるほどな」

「ただしは、それを経験したんですよね」

「まあな」


あのときに出会った修道女がつけていたのが、それなのだろう。

でも、アーティファクトというのであれば、俺たちも一つ持っている。

それは、シバルが持っている…

体に巻き付く、完全にシバルのスキルを理解した先人が作ったとしか考えられないものだった。

でも、アーティファクトというのであれば、あんなに簡単に壊れるものなのか?

俺は疑問に思っていると、次はバーバルが教えてくれる。


「実はわたくしたちのマゴスでも、一時的に話題となっていました。魔力を封じるアーティファクトを作るというもののことを」

「作る?作れるやつがいるのか?」

「わかりません。本来は、わたくしたちが作れるものではないはずなのです」

「どうしてだ?」

「あれは、失われた技術が使われていますから」

「失われた?」

「はい。どういうものかはわかりませんが、そのため作ることは普通では難しいはずなのです」

「でも、噂があって、俺が今回出会ったやつらはもっていたということは…」

「そういったスキルを持った人間がいるってことで間違いはないですね」

「はい、だから聖騎士の上位である強さの人が、派遣されたと思いますね」

「名前というか、どんな人なのかわかるのか?」

「はい、ただしから聞いたことの特徴をまとめて考えると、それは槍使いのランスで間違いありませんね」

「かなり強いのか?」

「はい、槍を使う戦いでは、最強と…」

「そこまでかよ」

「はい、ですが馬と一緒に出れるときでしか、戦わないとも言われています」

「だろうな」


俺はその言葉に納得する。

あのときにも馬には乗っていたし、さらに本人が言っていたのだ。

人馬一体を知っているのかと…

そこから察するに馬に乗ることで本来の強さを発揮するタイプとみて、間違いないだろう。

というか、あれを引きずり下ろすことができるのだろうか?

できれば戦いたくはないが、あの口ぶりを考えると、セイクリッドで戦わないといけない相手というのは、間違いないだろう。

それと、まずはセイクリッドの国へ入る方法だ。

そこについて、俺はシバルに聞いてみる。


「なあ、シバル」

「なんでしょうか?セイクリッドへはどうやって侵入するんだ?」

「それなんですが、難しいとしか言えません」

「どうしてだ?」

「セイクリッドに入るためには、専用の通行証が必要になるからです」

「それがないとどうなるんだ?」

「セイクリッドの国に張られた結界により感知され、捕縛されます」

「まじかよ…」

「はい」

「だったら、奪うこととかって…」

「それも難しいとしか言えません」

「なんでだ?」

「その人の魔力によって感知するものを作っているので、奪ったとしても、通行証に登録された魔力でない限りは通行には難しいのです」

「ということは、ちゃんと検問を通過して、魔力を登録された通行証をもっていないと簡単に感知されて捕まるってことか」

「そうなりますね」

「まじかよ」

「はい」


ということは魔力があると入るのは難しいということか…

なら入れないのか?

そう思っていると、ヤミが何かを言いたげに俺の方を見ている。


「どうかしたのか?」

「先ほどの話を聞いて、おぬしは何も思わなかったのか?」

「いや、普通に入ることは難しいなって思ってな」

「そうじゃな。普通であれば難しいじゃろな」

「だろう…だから、どうにかして入る方法を考えないといけないと思ってな」

「そうじゃな。そう考えるのが、妥当じゃな」

「そうなんだよな、どうするのが正解だと思う?」


俺のその言葉を聞いて、ヤミは呆れたようにため息をつく。

なんだろうか、バカにされているというのだけは、なんとなくわかった。


「わからないのじゃな?」

「ああ…」

「なら言うがの、おぬしが入って、その結界とやらを破壊してくるのがよいと思うのじゃ」

「どういうことだ?」

「簡単じゃろ、おぬしには魔力がないのじゃから、普通に考えてセイクリッドの国に覆われていると言っておった、先ほどの結界とやらも無効にできるじゃろ?」

「確かに、それはあり得そうだな」

「後は、結界でも破壊するか、何か細工をするのかはわからないのじゃが、それでわらわたちを中に入ることができるようにすればよいだけじゃと思うのじゃ」

「おお、さすがは年長者だけあっていいことを言う」

「むしろ、こういうことはおぬしが真っ先に思いつくことじゃと思っておったのじゃがな」

「いや、俺はむしろ結界の上へ龍の姿になったヤミに乗って飛んで行って、中心地に降りればいいかなって思ってたぞ」

「そんな無茶苦茶なやり方が通用すると思っておることに驚きなのじゃ」

「そんなに褒められてもな」

「褒めてなのいないのじゃ、急によくわからない思考になるのを辞めるのじゃ」

「仕方ないだろ、ヘンタイなんだからな」

「意味がわからないのじゃ、ヘンタイと言えば全てが許されると思っておるのかじゃ?」

「ち、違うのか?」

「どう考えても違うのじゃ」


疲れたという風に、頭に手を持っていくヤミを見て、俺とヤミ以外の二人が笑う。

でもすぐに、笑いを止めたシバルが言う。


「アイラ様のこと、よろしくお願いいたします」

「ああ、任せろ。ついでに元気な顔を拝んでやるよ」

「はい」


そうして俺たちは、セイクリッドの国へ向けて馬車を走らせ、国境近くの町まで来ていた。

神殿があった森がセイクリッド方面ということもあり、国境近くの町につくのにもそう時間はかからなかった。

といっても、時間は気づけば夜にはなっていた。

まだリベルタスの国ということもあり、俺たちは町の見張りには例の手紙を渡しして、余裕をもって中に入る。

セイクリッドの国からほど近いということもあってか、この町には神官や修道女の見た目をした人が多くいる。

そのためか、俺たちのような修道女も神官も連れていないようなパーティーというのは、かなり珍しいようで、ジロジロとみられる。

仕方ないことかもしれないが、あまり気分がいいものではない。

そう思いながらも、俺たちは宿を探す。

昨夜はいろいろあったせいで、あまり眠っていない。

行動を起こすにしても、ここでいくつか決めておかないといけないことはあるはずだからだ。

そうして、俺たちは宿を探してある程度の話し合いをした後、俺は一人セイクリッドに向けて出発した。


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