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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイの敗北?

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121話

無傷ででてきたおっさんは、そのまま地面に着地する。

手に持っていた槍を回すことで、起こっていた竜巻を解除した。

風魔法と武器に魔力を組み合わせた技ってところか…

落ちる前に発動したから、地面に叩きつけられることもなく、着地したというところなのか?

普通に考えればありえないことだけど、魔法がある世界だからな、それくらいのことはできてしまうということなのか…

ま、あの程度で倒せるとは正直なところ思っていなかったしな。

ここからが、本当の戦闘っていうところか…

俺はしっかりと両手の拳を握った。

ピエロも、もう小細工ができないことを悟ったのだろう、俺の隣に並ぶ。

そんな俺たちを見て、おっさんは槍を回すと、背中に背負った。


「おい、戦わないのか?」

「そうだな。興がそがれたというべきなのかの」

「どういうことだ?」

「これだ」


男はそう言葉にすると、どこかで見たことがあるものを取り出した。

それは通信用の何かだったはずだ。

そのままそれを起動する。


「そっちの状況がどうなっているのか説明しろ」

「なんじゃ、うるさいのお」

「お前が報告を怠っているから、こうなってるんだろ」

「だって、我から別に話すことなどないからなあ」

「なんだと」

「それで、これからどうするのだ?」

「終わったなら帰還しろ」

「ふむ、そうか…」

「それで、どうなったか…」


何かを言う前に、それはきられる。

うるさいと言わんばかりに、懐にそれをしまう。


「ま、そういうことだ。我はおいとまする」

「おい、どういうことだ」

「ふむ、そうだな。我が頼まれたのが、そなたらの排除、もしくは足止めということだったのでな」

「だったら、排除するんじゃないのか?今ならやれるだろ…」

「ガハハハッ、そうかもしれないな…だが、我はそんなことはしたくない」

「どういうことだ、同情でもしてるのか?」

「違う。本気のそなたらと戦いたいというのだよ。純粋に我に向かってくるタイミングでな」

「嫌だよ、おっさん強いからな」

「ふむ、そう思ってくれるのなら嬉しいぞ」

「俺もおっさんをほめたくはなかったよ」


俺は右手をストッキングで止血する。


「本当に、面白いすきるよな。それを携えて、セイクリッドへ来るといい」

「なんだと」

「そこで、我たちは待つ」

「そうかよ。というか、おっさんは聖騎士だっていうのなら、なんで違う国にいるんだよ」

「ガハハハッ、それも含めて、セイクリッドへ来ればわかるぞ」

「そうかよ」

「おお、そちらの方も当主とは戦いたいな」

「へえ、わたくしめたちの当主をご存じで?」

「当たり前だ、何をしておるのかはわからないが、戦いたいとは思うのは強者として当たり前のこと」

「そうですかあ、当主にはそう言っておきますねえ」


どうやら、ピエロたちのラグナロクのことも知っているみたいだ。

まあ、これだけ強いのだ。

当たり前のことなのかもしれない。


「ふ、それでは挑戦するときは楽しみにしておる」


その言葉とともに、おっさんは馬とともに踵を返すと、その場を後にした。

急にやってきて、敗北だけを与えていった強者の登場に、俺たちは何もできず、去った後には、俺は地面を殴った。


「くそ…」

「ふむ、あれだけの強さの敵に出会っても悔しがれるのですねえ」

「当たり前だ。俺たちは仲間を連れていかれたんだぞ」

「それでも、あれだけの強者が待っているのなら、行かないという選択肢もあると思うのですがねえ」

「まあ、他のみんながどう思うのかはわからないが、俺は助けに行く」

「このまま行っても負けるだけだというのにですかねえ」

「確かにな。俺一人なら負けるかもな」

「一人ではなかったら、負けないと言うのですかねえ」

「それは、お前だって、当主が戦えれば勝てるんじゃないのか?」

「当たり前ですねえ、わたくしめたちの当主は最強なのですからねえ」

「だったらわかるだろう?俺たちはもっと強いのがどういうことかわかっているからな」

「そうですねえ」


俺たちは、そう言葉にしながらも、みんなが待つ場所へ帰る。

気絶させたやつたちは、あの竜巻によるものなのか、逃げたときに他のやつらがなんらかのことをしたのかはわからないが、誰もいなくなっていた。

あの腕輪のことといい、アイラを助けるにしてもすぐにセイクリッドへ行かないとな。

そのためにもまずは、傷を治さないといけないけど、こういうときにアイラがいないと回復が遅くなることを考えると、本当にアイラの存在が大きいな。

そんなことに気づかされることになりながらも、俺たちはこれからのことを考えるためにも、馬車へと戻る。

怪我をした俺が他のメンバーに詰め寄られたのは言うまでもなかった。

朝になると、帰るという二人と俺は話しをしていた。


「ああ、ピエロたちも悪かったな」

「よいのですよお、わたくしめたちもいろいろ興味深い内容を知れたのでねえ」

「そうかよ」

「ええ、あなたと共闘したのは、ある意味ではいい経験になりそうですしねえ」

「ま、生きてれば、また会えるかもね」

「ツンデレか」

「ツンデレですねえ」

「お前、ピエロ、ゲートに入らせてやらねえぞ」

「それは困りましたねえ」


そんなことを言いながらも、ダークエルフの女性と帰る。

ピエロは一礼すると、言う。


「それでは、また機会がありましたら会うでしょうがねえ」

「そうだな」

「そして、彼女も一緒に」

「おう、またなエル」

「気安くあたいの名前を呼ぶんじゃねえ、というかどうして知ってるんだよ」


ちょっと怒るエルの隣で、ピエロがくくくと楽しそうに笑っている。


「てめえ」

「昨日一晩、わたくしめたちと行動を共にしたのですからねえ、そこくらいは教えてもいいと思いますがねえ」

「ちっ、わかったよ。それじゃあな」


そして、騒がしいながらも二人は帰って行った。

すぐに俺は馬車に乗り込む。

すでに乗り込んでいたみんなと合流する感じだ。

シバルが、馬車の手綱を引く。


「それではいざ、セイクリッドへ」


俺たちはうなずくと、アイラを救うべくセイクリッドへ向けて出発したのだった。



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