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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイの敗北?

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119話

「残るは君たちだけだ、どうする?」

「なんだと?」

「いつの間に、そんなことに?」


二人の世界に入っていた男女は、今の状況を見て、驚きを隠せない様子だった。

それもそのはずだった。

次に男が言った言葉があるからだ。


「そんな、魔力を封じるための腕輪を身に着けているというのに、なぜだ」

「そ、そんなもの、聞かされてないよ」


ただ、知っていたのはどうやら男のほうだけらしく、女性の方は聞かされていないということからか、さらに怒りが増しているようだ。

でも、それで納得がいった。

落とし穴を隠していたピエロのマジックというのも、それで無効化したのだろう。

なるほどな、そんな便利なものがあるとは驚きだ。

回収できるならしておくか…

そう思って、気絶している他のメンバーたちを見たときだった。

まだ立ち上がるはずもなかった、女性三人が立ち上がったのだ。

しかも、立ち上がり方が、俺が知っているのであっているのであれば、幽霊やゾンビのようなそれだ。


「おい、あれはどういうことだ!」

「わからねえよ」


その光景を見た俺は、男に質問したが、急な出来事に対してさすがに男も驚いているようだ。

なるほど、これは誰も聞かされていないことということか…

ただ、俺のヘンタイ眼はそれが視えていた。

最初のときに視えた魔力の流れがより鮮明に見えるようになったのだ。

実は戦う前には、腕輪に魔力を通しており、それによって腕輪から何かが出ており、それによって魔法が無効化されていることになるらしいのだ。

それが今は、その腕輪から出るはずの何かが、体内に戻っている。

それによって、引き起こされている状況が今の急に動き出した三人の女性ということなのだろう。


「これは、よくない感じに視えるな」

「わかるのですねえ」

「ピエロ、もっと早くこいよ」

「仕方ありませんよねえ、わたくしめはあなたみたいに魔力がなくても戦える人間ではございませんのでねえ」

「魔力がないだと…」


驚いている男に対して、俺は拳を構える。

あの女性三人はかなり嫌な感じがするので、ここで相手をするしかない。

それに続いて、ピエロも武器…

ジャグリングに使うピンのようなものを取り出す。

その見た目に、俺の恰好をとやかく言う資格はないのではと思ってしまったが、今はそれを言わない。

ただ、まだ戸惑いを隠せない二人に俺は声をかける。


「説明は後だ、とりあえず今は他の仲間を連れて逃げることだな」

「でも、これは好機だ。今ならお前たちを…」

「で、もし倒されたらあれと同じようになるのか?」

「く…」


その言葉で男は何も言えなくなる。

そう、この場であの女性たちと同じ腕輪を持っているのは、あの三人だけではない。

この男も実は同じ腕輪をつけている。

だから、わかったのだろう…

もしかすれば同じようになってしまうかもしれないということに…

何も言い返せない男に、さすがに女性も今はこれ以上の追及はできないと思ったのだろう。


「ほら、そんなふうにして、嘆く暇があるのなら、いくわよ」

「ああ…」

「行きましたよ!」


そうして、行こうとしたときには、ピエロからの言葉が…

俺はすぐに二人を狙う女性の腕を弾く。


「あー、ああ?」

「速いな」

「そうですねえ、これは苦戦を強いられそうですねえ」


言葉をうまく発しないところから、なんとなくわかってはいたが…

ゾンビみたいだな。

よくある操られる存在というやつだ。

こういうのはたいていあれをすれば、解放できるはずだ。


「それで、どうするのですかねえ。考えがあるから戦うのですよねえ?」

「当たり前だ。さっきの話を思い出してくれ」

「先ほどのですかあ…」

「そうだ。腕輪のことだ」


俺はそう言いながらも、もう一人の女性の攻撃をさらに防ぐ。

最初から、あの腕輪から何かおかしなものが出ていることがわかってはいたけれど、こんなことなら、さっさと腕輪を破壊するなり、外すなりしておけばよかったな。

そんなことを今更考えても仕方ないか…


「単純だが、腕輪を破壊する」

「ふむ、殺してしまわなくてもいいのですかねえ?」

「ふざけろ、殺すなんて簡単な終わらせ方をしても、面白くない、そう思わないか?」

「そうですねえ、確かに困難なことに挑戦するということは、心が躍ることではありますからねえ」

「だろ、それに…」

「それになんですかねえ」

「どうせなら、助けて恥ずかしい恰好をさせたいしな」

「くくく、本当に見た目通りのヘンタイになりましたねえ」

「仕方ないだろ」


そう言葉にしながらも襲ってきている女性の攻撃を完璧に見切っていた。

これはヘンタイスキルの強化と、さらにはヘンタイ眼の力によるものだ。

魔力を視るという簡単なものでしかヘンタイ眼だったが、今はさらに視えるものが多い。

姿はブラジャーによって見えないはずが、裸眼よりもくっきりと女性のシルエットが視える。

さらには、体のどこに魔力が集まっているのかが視えるおかげで、攻撃を避けることにも使えていた。

特に今は、普通の人が使うのとは違い、攻撃を行う場所に、ほとんどの魔力が集まっているので、攻撃が読めやすいのだ。

それの変わりに、確かに力と速度は強くなっている。

でも、攻撃が読めてしまうということは、前もって準備ができる。

すると、普通に戦うよりも簡単に攻撃は避けれてしまうものなのだ。


「ふ、当たらなければどうということはない!」


その名言を口にしながらも、避けてそして…

ストッキングを取り出す。

最強の武器というのは、やはりこれのことを言うな。

俺は右手で新体操のリボンのように高速で回転する。

そしてそこに繰り出された女性の右手を絡めとる。


「これで、一つ!」


一瞬動かなくなったタイミングでついていた腕輪を破壊する!

と力を込めて握ろうとしたが、俺の手がふれたタイミングで腕輪は壊れる。

何か無理やりな力が働いて動いているから、ちょっとの衝撃で壊れるってことなのか?

俺はそう思いながらも、腕輪を破壊されて再度気を失った女性をゆっくりと地面におろし、その間にも攻撃をしてくるもう一人の女性に対しては、右足でストッキングの端を踏みながら、右手で伸ばし、その伸びた面で相手の攻撃をさばく。

このよくわからない技たちにピエロは興味深げにうなってはいたが、俺は女性を降ろし終えると、再度先ほどの技を行う。


「命名、螺旋ットキング!」


かなりダサいネーミングをしながらも腕をストッキングを絡みつけることで動きを止めると、腕輪を破壊した。

ピエロの方もどういう原理なのかはわからないが、ジャグリングを行うことで、一瞬三人に増えるという、スキルで使える何かを披露しながらも、一瞬のスキをついて腕輪を破壊した。

こうして俺たちは、腕輪を破壊することで、三人を解放することに成功したのだった。


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