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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイの敗北?

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109話

「どうやって、転送されるんだ?」

「そんなの簡単よ、普通に真ん中に立つだけよ」

「まじか、ちょっと怖いな」

「何?男はただしだけなんだから先に行きなさいよ」

「まじかよ」


さすがに、一人で入るというのは怖いし、俺はどうしたものかと考えてから、ある一人に声をかけた。


「どうしてもって言うのなら、一緒に入って…」

「シバル、一緒に来てくれ」

「ボ、ボクですか?」

「ああ、お願いできるか?」

「えっと、それは…」


シバルはチラッとアイラの方を見る。

俺もつられるようにして見たが、そこには頬を膨らませて不機嫌ですという表情をしたアイラがいた。

どういうことだと思い、他の二人を見ると、バーバルはやれやれと顔をしており、ヤミにはバカにしたように鼻で笑われる。

ちょっと、イラっとした。

ただ、何かやってしまったというのだろうか?

アイラは何も言わない。

余計にこの時間がどうしようもなくなる。

どうすればいいんだ?

そう思っていると、頭を押さえながら、ヤミが前に来る。


「おぬし…」

「どうした?」

「ほら、来るのじゃ!」


そのままの勢いで、気まずい雰囲気をぶった切るように、転送陣にヤミと一緒に連れ込まれた俺は転送される。

急なことだったということと、さすがは元が龍だということなのだろう、圧倒的な力によってなされるがままになってしまった。

さすがのみんなも、ヤミの急な行動に驚きながらも転送されると、そこは…


「なんだ、こりゃ…」


あったのは、かなり大きな和室だ。

周りはかなり大きな壁に囲まれており、進んだ先には扉がある。

テレビとかで見たことがなんとなくある、大奥ってやつだろうか?

それを見たヤミも、疑問に思いながらも見ている。

ちなみに、頭痛は解除されているようだ。

強制解除というのをしたのだろう。


「なんじゃ、ここは?」

「いや、遺跡の中なんだろ?ヤミにもわからないのか?」

「わらわは無駄に長く生きているわけで、こういうことはわからないのじゃ」

「なんだ、使えないんだな」

「使えないとか酷いのじゃ」

「本当のことだろ?」

「くう、反論ができないのが、悔しいのじゃ」

「とりあえず、召喚陣まで行くか」

「そうするのじゃ」

「それにしても、あいつら来ないな…」

「待っておれば来るのじゃないのかの、先に行って待ってるのがいいと思うのじゃ」

「そうだな」


俺たちは、たぶん召喚陣があるのだろう奥に進む。

この世界では初めて見る襖を開ける。

そこには、俺たちが入ってきたとは別の何か陣が書かれた場所だった。


「これが、召喚陣ってことか?」

「そうみたいじゃな」

「やり方がわからないし、アイラたちが入ってこないことにはどうしようもないな」

「そうじゃな」


俺たちは召喚陣をじっくりと見る。

だからといって、知っている唯一の存在であるアイラがいない限り、どうやって勇者が召喚されるのかがわからない。

どうせだし、召喚陣に近づいてみるか?

俺は召喚陣に近づく。


「おう」

「バカなのかおぬし…」

「いや、だって興味あるじゃん」

「そうじゃけど、そうなるのはわかっておったじゃろ」

「そうだけどな…でも、面白いものが浮かび上がってきたぞ」

「なんじゃ、これは?」

「時間だろ」


俺は何気なく近づいた。

そのせいで、召喚陣に弾かれたのだ。

当たり前といえば、当たり前のことだ。

でも、それによって召喚陣にあるものが浮かび上がった。

それは数字だ。

時間だというのが、すぐにわかったのは、数字が動いているからだ。

それも、後十秒もすればゼロになるだろう。

もしかしなくても、これが時間になると勝手に召喚される仕組みなのだろう。


「もうすぐゼロになりそうだな」

「そうじゃな。どうするのじゃ?」

「とりあえず、そうだな…待つか」

「じゃな」


俺たちはゼロになるまでの十秒を待つ。

そして、召喚陣が光だす。


「おお」

「まぶしいのじゃ」


本当に光っているのが、物語にあるよくある召喚風景すぎてちょっとだけ感嘆の声をあげるくらいだ。

光が収まったときにいたのは…

角をはやした男だ。


「おうおう、これが召喚されるってやつか!」

「魔族か何かなのか?」

「わからんのじゃ、強い力をもっていることはわかるのじゃがな」

「そうか…」


俺たちが冷静に出てきた男のことを分析していたのが、相手もわかったのだろう。

男は気さくに手をあげる。


「お、なんだ、オレを迎えにきた神官とかってやつか?」

「いや、そうじゃないけどな」

「そうなのか?そっちの幼女さんは?」

「幼女さんというなのじゃ」

「そんなこと言われてもな、どっからどう見ても、幼女だろ?」

「そうだな」

「なんでおぬしが同意しておるのじゃ」

「「だってなあ」」

「初めてなのにはもるとは、仲良しなのかじゃ?」

「いや、初対面だよな」

「そうだな、人族に知り合いはいないな」

「俺も、角の生えたような知り合いはいないな」

「ははは、気が合うな」

「そうだな」


初めて会ったというのに、気が合うとは驚きだ。

それも、あの勇者とは違ってかなりいいやつそうだ。

気取った感じもないし、豪快に笑う感じも見ていて面白い。

勇者といえば、面倒くさいやつなのかと思ったが、どうやらいいやつも召喚されることになるんだな。

そんなことを考えたときだった。

俺はヤミの首根っこを引っ張ると、後ろに引っ張る。

ヤミの頭上を、男の拳が通過する。


「へえ、やるなあ」

「おいおい、さっきまで仲良く話してたのに、急に殴ってくるとはどういう了見だ?」

「いや、オレはな。強そうなやつを見ると、ちょっと手を出してみたくなってな」

「そういうものか?」

「そうだ。ちょっと視た感じでは、封印か何かはされてみたいだが、そっちの幼女が楽しく遊べそうだなって思って軽く攻撃してみたが…なんだ、お前やるな」

「やるなって言われてもな、俺は別に強くもないぞ」

「そうだな。魔力がないってのは視てわかるからな。だから弱いって思ったが、それのくせには簡単に攻撃をかわされたからな」

「たまたまだろ?」

「たまたまで今のを完璧にかわせるやつはいないだろ。それに、おかしいんだよな」

「何がだ?」

「聞いていた話とは違うなって思ってな」

「だから何がだ?」

「いやいや、これは俺を選抜した野郎に後で聞いとくからさあ、もし教えてほしいなら、わかるだろ?」

「わかんねえな」


俺はそう言葉にするが、言いたいことはわかっていた。

この角をはやしたイケメン男は完全に戦闘狂だ。

だから強そうなやつを見つけては、戦闘してきたのだろう。

強そうなやつを見つけるために、スキルで視ることで選んできたということだろう。

厄介そうなやつが、召喚されたな。


「ほら、戦うだろ?」

「うん、やだ」

「どうしてだ?魔力がないのに強い理由をオレに見せてくれよ」

「なんだが、こいつヤバいのじゃ」

「お、ヤミにもわかるか?」

「当たり前なのじゃ」

「ヤバいって、失礼なやつだな。オレはただ強いやつと戦いたいってだけなのによ」

「それが嫌なんだよ」

「だったら、どうやったらオレと戦ってくれるんだ?」


困った顔でそう言ってくるイケメン戦闘狂。

これは、ヤバいな。

面倒なやつが召喚された。

こういうときは逃げるに限るな。

まずはアイラたちと合流だ。

ただ、普通に逃げると戦闘狂は納得しない。

こう見えても、営業の成績はよかったことを見せつけてやるぜ。


「そうだな、最初にだが…ここは狭すぎる」

「うん?確かにそうだな」

「だろう?」

「だったら壊したらいいか?」

「そういう意味じゃないんだが…」

「お?」

「うん?」

「崩れてきておるのじゃ」

「みたいだな」

「これって、何が起こってるんだ?」

「だから、言ってるだろ…ここでは戦えないって」

「そうみたいだな。それだったら、ここから出ればいいってことだよな」

「どうかな?」

「まずは外にでるのじゃ」

「どうやって出るんだ?」

「あれに立てばいいみたいだぞ」

「とりあえず、外に出るまでは休戦だな」


こうして、召喚された勇者と俺たちは転送陣にのると、外に出ることになった。

ただ、出るとすぐに戦闘音が響いているとは思わなかったが…


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