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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイの敗北?

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104話

「わあ、本当にすごいわね」

「はい、感動しますね」

「バーバルお姉ちゃん、一緒にお部屋探索するのじゃ」

「はいはい」


バーバルとヤミちゃんは二人でさっさと部屋へと向かい。

俺とシバル、アイラの三人は、入るとわかる宿のよさに驚いていた。

さすがはお互いに競い合うだけあるということだ。

最初は交渉を行うのに必死になっていたせいでわからなかったが、内観にもこだわっているようだ。

それにしてもピザとビールを一緒に食べるだけで、店主があんなにでれることになるとは思わなかったな。


「あんた、ありがとうね」

「ほんとほんと」

「い、いえ」


俺は二人の女将さんに背中をバシバシと叩かれる。

それくらいには感謝されてたということだろう。

そして、店主たちはというと、先ほどまでのいがみ合いが嘘のようにお酒を片手にピザをほおばりながら笑いあっている。

うん、平和になったな。

そんなことを思いながらも、二つの宿を俺たちは心ゆくまで堪能すると、サービスでいい部屋に泊まり、ベッドで眠りについた。

いつもであれば、寝る前に聞こえてくるはずの自称神から下着を盗めという声が聞こえてくることもなく、平和な夜と思っていた。

深夜に体の上に何かが乗っている感覚がなければ、完全に何もない夜だっただろう。

俺は重みによって目を覚ます。


「うん?」

「起きたかの?」

「うううん?」

「こら、あまり大きな声を出すでない」

「いや、どういう状況なんだ?」

「ふむ、それは今から説明するのじゃ、だから静かにするのじゃ」

「いや、でも!」

「だから、うるさいのじゃ、そんな声をだしちゃうと他のものが起きてくるぞ、よいのか?」

「そ、それは嫌だな」

「そうじゃろ?あの娘たちに知られるとまずいことはわかっておるからのお」

「それをわかってるなら、なんでこんな深夜にここにいるんだよ」

「ふむ、どうしてじゃと思う?」

「そんなことを俺に聞かれてもな」


深夜の時間に、俺の寝室にヤミちゃんは現れた。

あんなところにいたのだから、何か秘密を抱えているとは思ったが、この幼女はどんな秘密を抱えているというのだろうか?

俺はそう思ってヤミちゃんの方を見ると、幼女とは思えないほどの妖艶さを一瞬見せていた。

やっぱりそういう展開なのか。


「君は、何歳なんだ?」

「なんじゃ?見た目でわからんのか?」

「見た目でわかったなら、全員苦労しないからな」

「それはそうじゃな。お主もその見た目にしては、異様に落ち着いておるしの」

「落ち着いているのは、紳士だからな!」

「くく、なんじゃそれは…でも、こんなに可愛い幼女が体に乗っているというのに、襲おうともしないのじゃからな、枯れておるのか?」

「枯れてねえよ」

「だったら、寝ているときに誰かの部屋に侵入するくらいしてもよいと思うのじゃが」

「そんなことをすれば、紳士だと思われないだろ?」

「ふむ、襲ってしまうと紳士じゃないことになるのかの?」

「いや、俺もわからないが、なんとなくそんな感じじゃないのか?」

「そうじゃな、わらわもそのあたりのことはわからないのじゃ」

「だったら、襲わなくていいのかなんて聞かないでくれよ」

「しょうがなかろう、久しぶりに会った面白そうなやつなのじゃからこういう楽しみをするのも仕方ないじゃろ?」

「そういうことは、俺じゃなくて他のやつらにやってくれよ」

「ふふん、一番反応が良さそうなやつにやるのが楽しいのじゃから仕方ないのじゃ」

「ちっ…それで?最初の質問には答えてくれないのか?」

「そうじゃな、当ててみればよいじゃろ?」

「なら言ってやる、千歳だな」

「ほほう、惜しいのじゃ。わらわの年齢は千百歳じゃ」

「まじかよ」

「まじじゃよ」


千百歳と名乗る、名前も今となっては怪しい謎の幼女は俺の腹に乗ったまま楽しそうに笑っている。

いや、どうしたらいいんだよ。

相手が幼すぎるというのと、どういう存在かがわからないという緊張からヘンタイスキルも発動していない。

そのせいもあるが、上に乗られた俺は身動きがとれないでいた。

このままではどうしようもないな。

なんとか目的を聞くしかないな。


「それで、夜中に訪ねてきた理由はなんなんだ?」

「それはの、おぬしのことが気になるから来ただけじゃな」

「そう言ってもらえるのは嬉しいけどな、さっきの年齢さえ聞かなければな」

「なんじゃ?年上は嫌いかの?」

「年上って言っても限度があると思わないのか?」

「ふむ、わらわからすれば、年齢など関係のじゃから仕方ないじゃろ?」

「それで、お前は何者なんだ?」

「お前などと、幼女にかける言葉じゃないと思うのじゃ」

「いや、千歳を超えたババア幼女が何を言ってやがる」

「ふふん、老けないのじゃから仕方なかろう。わらわじゃって、年相応がよかったのじゃ。あの脂肪の塊が羨ましくて仕方ないのじゃ」

「ああ、胸のことね。その見た目だし、全くないもんな…」

「なんじゃなんじゃ、そのかわいそうなものを見る目は!わらわって好きでこんな見た目じゃないのじゃ。そんなこと言うのなら、見てみるのがよいのじゃ」

「ばっか、やめろ!」


俺が止めるまでもなく、怒ったババア幼女は服に手をかける。

そこで一枚をばさっと脱いだ。

服を脱ぐと小さなワンピースと下着だけの姿のババア幼女がいた。

こ、こんな現場をアイラに見られてしまうと、死ぬな。

それに、どこかババア幼女の頬が赤く染まってないか?

俺は全く発動しないヘンタイスキルの役立たなさに呆れながらも、これ以上は脱がせることの内容話をする。


「おい、急に脱ぐなよ」

「ふふふ、若い男に見られると興奮するのじゃ」

「おい、重い、重いからな」

「女性に重いという言葉を使うのは失礼じゃろ?」

「年齢を考えろって言ってるだろ?」

「ほほう、わらわに喧嘩を売っていることだけはわかるのじゃ」

「へえ、それくらいは小さくても考えられるんだな」

「小さい小さいと、本当に失礼じゃ。こうなったら本気をだすのじゃ」


ヤミちゃん、改めてババア幼女はそう言葉にすると表情が変わる。

俺は、それを見てゴクリと喉を鳴らした。

急に妖艶になったからだ。

見た目は変わっていない。

変わっているのは、顔つきと仕草…


「って、ダメじゃーーー」

「おい、どうした?」

「こういうことをすると、すぐにイーっとなるのじゃ」

「それになるなら、妖艶には全く向いてないじゃないのか?」

「そうじゃな」

「ああ、というか、いい加減普通に話をさせてくれ」

「そうじゃな、この部屋に来た本当の意味も含めて、説明するのじゃ」

「いや、最初からそうしてくれよ。この時間は全部無駄だったじゃねえかよ!」

「でも、ちょっと想像するのじゃ、これが来るのがわらわ以外じゃったら、本当にご褒美だったということにのう」

「く、そう言われるとそうだとしかいえない」

「そうじゃろ。まあ、いい経験をしたと思ってればよいじゃろ」

「確かにそうだな」

「わらわも、なかなか楽しい体験じゃった。それでは、ちょっと待つのじゃ」


ババア幼女は脱いでいた服を着る。

本当に何をしたかったのか、よくはわからないが…

それも、この後に何か説明されることでわかるのだろうから、その話を聞くことにすればいいだろう。


「それで、本当の名前はなんなんだ?」

「うん?ヤミちゃんじゃよ」

「いやいやいや、そんなわけないだろ」

「どうしてそう思うのじゃ?」

「さっき年齢で千百歳だって言ってただろ、そんなやつが、可愛いちゃん付けで呼ばれるわけないからな」

「そんなのは、勝手な偏見じゃろ?わらわの見た目だから許されるのじゃ!」

「それこそ、偏見じゃねえかよ。というか、詐欺だろ。見た目をだましてバーバルの胸を触ってたじゃないか!」

「ふむ、あれは最高じゃった」

「なんだと…」

「ふふふ、いいじゃろ?」

「ああ、羨ましいな」

「そうじゃろ!」

「って、完全にまた話から脱線してるじゃねえかよ」

「なんじゃ気にならんのか?」

「めちゃくちゃ気になるな!じゃないって…」

「なんじゃ、本当に面白いやつじゃな。まあ、よいじゃろう。わらわのことお主には教えておく必要があると感じたしの、言っておくのじゃ」


そう口にすると、ババア幼女はベッドから飛び降りると、不適な笑みを浮かべながらも口にする。


「わらわは、黒龍のヤミじゃ」

「なんだと…」


驚く俺とは対照的に、ババア幼女…

ヤミは笑う。

その笑顔は先ほどと同じで妖艶にうつっていた。


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