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魔法使いになれなかった俺はヘンタイスキルを手に入れた  作者: 美海秋
ヘンタイの敗北?

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101話

表向きでは、オーガ襲撃事件があって数日がたった。

勇者は元の国である、オンスフルに戻ったらしい。

俺が無実であることを言ってくれるらしい。

勇者が俺やアイラたちに謝っていた。

あんなに最悪な性格だったというのに、変わるものだと感心した。

アイラはというとビンタ一撃で済ませたらしく、あとは笑顔で送りだして行った。

両手に花の状態で…

そのときの勇者の笑顔を見たときに俺は、あれほど人を殺めなかったことを後悔しなかったタイミングはなかった。

それに俺に対しても、最後にいい笑顔を向けていった…

俺は決してホモじゃないぞ。

もしかして、勇者め、お前はその気があったというのか!

そんなことがありながらも、初めてのちゃんとした休みをとった俺たちは、ある程度の文字を読めるようになっていた。

これは、アイラが俺のことを転生者だということを知ったということもあるけど…

バーバルがそういうことに関して、かなりの教えたがりだということもあったのだろう。

それによって、気づけば俺は一週間ほどである程度の文字の基本を覚えることができた。

まあ、書物を読めたところで、魔法が使うことができないというのは変わらないが…

そうしてようやくというべきか、俺たちは次の街に向かうことになる。

それはいくつかとある情報が入ってきたからだ。

一つは見たことがない神殿が発見されたことだ。

それについてアイラと意見を何度か交わすと、やはりというべきか勇者が召喚された神殿に酷似したものということらしい。

この世界にいくつ神殿があるのかは正直なところわからないけれど、それでも一つを見つけたということは、そこで何かを行えるということだ。

できれば、味方になるような誰かを召喚することができればいいんだけどな。

でも、裏に神様がいるということを考えると、乗り移ると、あのときの勇者のようになるのか?

とりあえず、いい人が召喚されているならそれでいいな。

そんな淡い期待を描きながらも、俺たちはその場所に向かうためにリベルタスの王都を出ていた。

当たり前のことではあるけれど、今回レメはついてきていない。

さすがに監視が強くなって、抜け出すなんてことは難しいのだろう。

これまでが自由にしすぎていたのだ、仕方ない。


「このまま真っ直ぐなのか?」

「はい、そうみたいですよ」

「それにしても、歩かなくていいって最高ね」

「本当ですね」

「シバル、いけるか?」

「任せてください」


現在俺たちは馬車に乗っていた。

当たり前のように、運転するのはシバルだ。

俺も、普通に車とかなら運転できるんだが、この世界にそんなものはないし、もしあったところで使うために必要になるものといえば、確実に魔力だろう。

魔力がない俺には、一生無理な話である。

馬車については、ベルさんたちの好意でもらったものだ。

今回のオーガ襲撃事件を防いだお礼というべき代物でもあった。

なんだろうか、最初の町であったような、下心満載のあれとは大違いだ。

そんなことを思いながらも、のんびりと馬車を走らせている。

歩くよりも確実に荷物も運べるし、便利だ。

そのうち、無限カバンのようなアイテムがゲットできればいいが…

物語で読んだことがある、そんなアイテムを思い浮かべる。

ただ、全部魔力がない俺に使えないのが悔しいところだな。

そんな俺の心境をぶった切るように、アイラが口を開く。


「いつぐらいにお昼にするの?」

「まだに決まってるだろ?」

「ええーー」

「わたくしは、まだ大丈夫ですわね」

「ボクも集中してますから、アイラ様もう少し我慢をしていただけると嬉しいです」

「だそうだぞ」

「ええーー」


不満そうにアイラが言う。

勇者の一件が片付いたということもあるが、俺が内緒の秘密を話したことも関係しているのだろうか?

テンションはこれまでよりも普通に高く楽しそうだ。

あとは、久しぶりの冒険ということで羽目を外しているのかもしれないが…


「そんなに不満そうにするなよな」

「なんでよ。ご飯はやっぱり冒険するときには必要な要素でしょ」

「そうかもしれないけどな、普通は簡単に作れるものを食べたりするんだぞ」

「わかってるわよ、そんなこと…でも、そんなときに美味しいものを食べるのも一興でしょ?」

「それは一理あるな」

「でしょ」


確かになと思ってしまった。

こういう異世界冒険もので、料理を題材にした物語もあるくらいなのだ。

普通にありなのかもしれない。

まあ、それにしてもすごい食欲だなとは思うが…

俺はアイラのことを見る。

身長は俺よりも低く、体も華奢だ。

どこからその力が出るのかと思うくらいには、こん棒を振り回すときには勢いがあるし、ビンタもケッペキスキルがあるといえ、かなりの威力だ。

あちらも小さいので、そこでうまく調整しているのかもしれないけれど…


「イタ…」

「ねえ?今失礼なことを考えなかった?」

「ソンナコトナイヨ」

「どうして言い方がちょっと怪しいのよ」

「だって、何を言っても意味ないだろ?」

「そうね。そういう顔をしたら一発は叩かせてもらうからね」

「そんな理不尽な!」


俺はぺチンと叩かれながらも、その揺れない胸はそれはそれで需要があるんだぞと、アホなことを考えていた。

そんなことがありながらも、道中はかなり順調に進んでいく。

というのも…


「かなり整備されてるわね」

「そうみたいだな」

「走りやすくていいですよ」

「わたくしも、これくらいのほうが景色を楽しめますしね」


そう敵に出会うことがない。

まあ、そう頻繁に敵というか、モンスターに出会うことになれば疲れるのでいいが…

冒険というには平和すぎて味気がないと感じるのも仕方ないことだ。

いや、ヘンタイスキルを使う機会がないのはある意味ではかなりいいことではないのかと思ってしまう。

そう、ヘンタイスキルは諸刃の剣だからな。

使わないという選択肢のほうがいいな。

そのまま何事もなく、地図に記された神殿に迎えるものと思っていた。

ただ、そんな簡単なことであれば、俺たちはずっと楽な冒険を行えたはずだ。

そう、すぐに異変というべきか、問題が起きた。


「え!」


そんなシバルの声とともに、急なブレーキ。

俺たちは馬車の荷台で前に突っ込んでいく。

俺はいいのか悪いのかわからないが、アイラの胸に突っ込んでしまった。

顔が胸に触れる。

ふにゅっと柔らかい感覚がした。

あ、小さくても柔らかいんだな。

そんなアホなことを思いながらも、俺は荷台から投げ出された。


「へぶうぅ…」

「何をしてるんですか、ただし…」


そんな俺を冷めた目で見ているシバルに、驚きを隠せない。


「いやいやいや、お前が急に馬車を止めるからこうなったんだろ!」

「それは、緊急事態だったので仕方ありません。見てください」

「はあ?」


俺は言われた通り、シバルが見ろと言われた方向を見ると…

あきらかに幼女がモンスターに襲われているところだった。


「えっと、こういうときって…」

「はい、助けましょう」

「そうだよな」


こうしてすぐに問題が飛び込んでくるのは俺がこの世界のイレギュラーということだからなのか?

いや、普通にこういうことって起こることもあるよな。

まだ荷台にて埋もれているアイラたちを置いて、俺とシバルはさっさと幼女を助けるためにモンスターの群れというか、ゴブリンだが…

そいつらを倒した。

うん、なんだろうか、弱い。

前までが強敵ばかりだったので、本当に一番最初に出会った最弱なのだろうゴブリンと戦うことになるとは思っていなかったが、今戦うと本当に弱いと感じてしまった。

そんな自分の成長を感じながらも、幼女を救出できた俺たちは早速話すことにするが、さすがに俺が話すのは躊躇する。

だって、犯罪になりそうだからな。

だからこそ、シバルに目配せをして、それに頷いたシバルは早速幼女に話しかけた。


「お嬢さん、こんなところで何をしてるのかな?」

「お嬢さん?」

「えっと、違いましたか?」

「いや、そうじゃわらわの名前はえっと、ヤミじゃ」

「ヤミちゃんね」

「そうじゃ」

「そのヤミちゃんはどうしてこんなところにいるの?」

「それは、あるものを探してじゃな」

「そうなんだね」


さすがはシバル、子供の相手も任せてもできるんだな。

そんなことをのんきに考えていたときだった。

鋭い視線がこちらを向く。

それは、ヤミと呼ばれる幼女の方向からだった。

目があった瞬間には、すぐにかわいらしい表情に戻っている。

まじか、すでにヘンタイだと幼女にばれているというのか!

そんなアホなことを思いながらも、俺たちはなんとか荷台から這い出てきた二人と荷台を片付けながらも、ヤミちゃんを保護したのだった。


いつも読んでくださっているかた、気が向いて読んでくださっているかた。

本当にありがとうございます。

今回より5章が開始となります。

拙い文章であるとは思いますが、少しでも楽しんでもらえる作品であればと思って書いております。

今後も更新を行う予定ですので、よろしければ楽しんでいただければ幸いです。

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