三章 『爆弾の魔女』
朝早くに目が覚めて、重たい体を引きずりながら歩く。
リビングに繋がるドアを開けると、テーブルの上には二人分の朝食が用意されていた。
「おはよう、サナエ。今日は早起きなのね!」
「はは、今日は雨かな?」
「もーやだなぁ、今日はバリバリ晴れッスよ~!」
マクスおじさんは大きく出たお腹にふさふさのお髭の、優しいおじさんだ。でも、あたしのことをこれでもかというくらいからかってくる。今はあたしたちのためにご飯を作ってくれているようだ。
ミィナちゃんは大きな丸い眼鏡をかけている。いつも通り瞼を閉じながら本を読んでいたようだ。最初は奇妙だなと思ったが、もう見慣れてしまった。
彼女の手にある本の題名は……
「サナエ、サファイアの『能力』のこと知らない?」
突然、彼女がこっそり私にそう質問してきた。
あまりにも急だったので戸惑うが、必死に思い出す。
「そういえば……あたしと戦った時も能力は使ってなかったッスね。全部魔力でどうにかされたッスから。ミィナちゃんも知らないんスね」
「うん。サファイアは常人の何倍もの魔力量を持っている……『能力』を使う必要がないのか、使えないのか……」
そう独り言を言う時の彼女は、小さな子どもとは思えないほど神妙な表情をしていた。
その次の瞬間、ぎゅるるるとお腹の音が鳴る。紛れもなくあたしのお腹からだ。
あたしのお腹のケーワイ……ッ!
ミィナちゃんははっとして、笑顔に戻る。
「えへへ、お腹が空いたね!」
「そ、そうッスね」
「もうちょっとしたらできるから、椅子に座って待っていてくれ」
赤くなった顔を隠すことも忘れるくらい焦り、どすんと大きな音を立てて椅子に座る。
一方ミィナちゃんはお行儀よく、ちょこんとあたしと向かい合わせになるように椅子に座った。
「できたぞ~」
「わぁ、美味しそう!」
マクスさんが、色とりどりの料理を食卓に並べる。どれも美味しそうだ。
「よし、じゃあわしは仕事に行ってくる」
「はーい!」
「あれっ、今日は早いんスね」
「ああ、何かと忙しくてな。ミィナの面倒をちゃんと見るんだぞ」
「任せてくださいッス!」
マクスおじさんは柔らかい笑顔を向けた後、家を出て行った。
「あたしは魔界でも姉ちゃんやってたんスから、そんなの楽勝……ぶっ!」
トマトスープを口に含むと、あまりの熱さにむせてしまった。
あたしは猫舌だ。熱い物は苦手だと自分でも分かっているのに、無警戒でトマトスープの攻撃をくらってしまった。
ふー、ふーと冷ましながらゆっくりと食べていたミィナちゃんは手を止め、心配そうな顔をしている。全く、これではどちらが年上か分からない。
「だ、大丈夫?トマトスープ、熱いから気を付けてね」
「もうちょっと早く言って欲しかったッス……ごほっ」
水を一気飲みして、今度はきちんとトマトスープを冷ます。湯気が出ていないことを確認して口に運ぶ。
「美味しい!これなら、トマト嫌いのツキも食べれるかもッス!」
「ツキ……サナエのオトウトのことね!」
「帰る前におじさんに作り方を教えてもらうッス、あいつにトマトのすばらしさを思い知らすッス!」
「サナエはツキのこと、好き?」
「たまに喧嘩することもあるッス。あたしより年下なのに生意気だし、お母さんを盾にあたしに歯向かううざいやつッス!」
この前もあたしのアイス勝手に食べて、「お姉ちゃんが冷蔵庫に置いてるのが悪い~」なんて言い訳をして。思い出すだけで腹が立つ。でも……
「あいつがいたから今まで寂しくなかったんス。喧嘩はするけど、本当は大好きなんス」
「ステキだね」
ミィナちゃんがにっこりとした笑顔を浮かべた。
そして一呼吸ついた後に、ゆっくりと語り始めた。
まるで、遠い記憶のことを話すように。
「わたしにもオトウトがいるの。ミルって言うんだけどね、ミルの笑顔でおかあさんも、おとうさんも幸せそうな顔をするの。わたしたちみんなの、幸せそのもの……」
ふと、ミィナちゃんの瞼がぴくりと動いた。何故か分からないが、背中に電気が走るような感覚がした。
「……そしてそれは、わたしの生きる意味」
スプーンを置いた彼女につられて、ご飯を食べる手が止まる。まるで金縛りにあっているように、どれだけ体に動けと命令しても指一本動けなくなっていた。
まるで先ほど話していた少女とは別の人が、強い意志を抱いてそこにいるようだった。
カチッ。
秒針の音が部屋に響いた。
「あ、もうこんな時間ね! 急ごう!」
彼女が口調を明るくして時計を指さすと、金縛りは一瞬で解けてしまった。
今のは一体何だったのだろう。額に流れる汗が冷たい。
「サナエ、大丈夫?」
「は、はいッス!」
心配そうにあたしを見るミィナちゃんはいつもの元気で優しいミィナちゃんだ。
今のはきっとあたしの気のせいだ。
あたしは、大丈夫だと何回も自己暗示して、朝ご飯を食べ終える。
そして、誰とも繋がらないスマホを持ち、すぐ彼女とともに外に出た。
歩きながらミィナちゃんと何気ない話をしていると、不安や恐怖は徐々に忘れていった。
この街チェルッソは商人たちが取引をする場として名が高く、人が多い。朝早くから忙しそうな大人たちにもまれながら、前に進む。
体の小さいミィナちゃんは、大人たちの間をするすると抜けていく。
「ミィナちゃんっ、ちょっと待ってッス!」
このままじゃ迷子になると思い、ミィナちゃんに手を伸ばす。だがもうその手も届かないくらい離れてしまった。人を押しのけて彼女を追いかける。
「このガキ!」
男の人を押しのけようとした時、逆にあたしは押し返される。バランスを崩して足がふらついた。
転ぶ……っ!
「危ないな」
素早く誰かがあたしを抱きとめて体を支える。ミントのような香りがふわりと私を包んだ。
顔を上げるとそこにいたのは……
「サ、サファイアさん⁉︎」
「お前はそこの路地裏で待っていろ。人が多いと不便だ」
そう言うと、サファイアさんは長いマフラーをなびかせて、ミィナちゃんの場所へ向かった。あたしは言われた通りに狭い路地裏に入った。
その後すぐ、ミィナちゃんを連れたサファイアさんが帰ってきた。
「二人とも、いいか」
そう言って、サファイアさんはあたしたちを横に並ばせた。サファイアさんはふう、と息をついて、あたしの手を指さして言った。
「まずサナエ、人通りが多いところでは必ず手を繋ぐように言うこと!」
「は、はいッス……」
「そしてミィナ、サナエを置いて前を突っ走らない!」
「は、はい……」
「はぁ、たまたま迎えに来てよかったな」
「サファイアさん、あたしたちの居場所分かってたんスか? あの人混みの中探すの大変だったと思うんスけど」
「そうだな、二人の場所は把握していた。二人の魔力を感じ取ってな」
「魔力を感じ取った!? すごいね、サファイア!」
「そんなすごいんスか?」
「うん、膨大な魔力を持つ魔女は魔力を探知する力もあるんだよ、本で読んだの!」
「い、いやそんな大袈裟なことじゃない。ここは魔界じゃないからな、魔力の気配が少なくて分かりやすいだけだ」
サファイアさんはちょっと照れくさそうにした。褒められることに慣れていないのだろうか。
「そうだ、サナエ。今日からは別の場所で魔力を使う練習をしよう」
「え、どうしてッスか?」
「あの場所は魔女が降りてきて危ない。昨日お前の力を借りてしまった私が言う権利はないだろうが、お前を危険に晒したくない」
サファイアさんは真剣な目をしている。昨日の戦いでミィナちゃんとあたしが危険な目に遭ったことに対して引け目を感じているのかもしれない。あたしにとって、安全に人間界で過ごせるのは嬉しい事だ。
「それと……私は『救済の魔女』の居場所に心当たりがある。今度捜索に向かわなければいけないから、あまり長くはお前の面倒を見ていられない」
「な、なんかすみません……。でもあたしを魔界に帰す前に捜索に行ってもいいんスよ?」
そう言うと、サファイアさんはあたしの肩を掴んで言った。
「何が何でもお前を魔界に帰すのが先だ。魔界ではお前の帰りを息が詰まるような思いをしながら待っている人がいるからな」
「そ、そんなことっ……」
そう言いかけるが、言葉を飲み込む。その後すぐ、あたしは笑顔に戻って言った。
「そ、そうッスね」
ミィナちゃんはそんなあたしを、不思議そうに見ていた。
「ミィナ、お前に聞きたいことがあったんだ」
「なぁに?」
「『物語の魔女』の能力だ。昔聞いたことがあってな、固有結界を展開する能力だったな? それは今使えるか?」
「コ、コユウケッカイ……?」
聞き慣れない単語に首を傾げる。だが、ミィナちゃんはその単語を理解しているようだ。少しの沈黙の後、彼女は口を開いた。それは、サファイアさんに対する嫌味のようにも感じられた。
「サファイアったら、それを教えたらあなたの能力も教えてくれるの?」
彼女の表情は、大きなとんがり帽子に隠れて見えなかった。サファイアさんはミィナちゃんの問いかけに対して戸惑っているようだ。
だが彼女は至って冷静に、そして端的に答えた。
「……私に能力、二つ名はない。その代わりに魔力に秀でた」
そんな魔女がいるなんて聞いたこともない。きっとサファイアさんが言っているのは嘘なのだろう。だが、そのことを深く聞けるような雰囲気ではなかった。
「いじわるしてごめんなさい。ちょっと気になちゃって」
サファイアさんの言葉を聞いたミィナちゃんは手を合わせて謝る。そして、彼女は手に持っている大きな本を開いた。
「わたしは物語を綴り、二人の魔女は物語を辿る……物語を、始めましょう」
瞬きをすると、そこには先程までいた場所とは違う景色があった。
あたしたちの周りは森が覆っていて、小鳥のさえずりや、森の中で動物が草を掻き分けて進む音が響いている。
湖は澄み渡っていて、透明に近い水色をしている。水面に太陽が反射して、キラキラと輝いていた。
「これがわたしの能力、わたしの世界」
「その歳でこんな上等に能力が使えるのか……! ミィナは凄いな」
「す、すごいッスね……!」
「そういえばミィナ、いつも持っている本が開きっぱなしだな」
ふと、サファイアさんが床に置かれた大きな本を指差した。
「うん! この本を閉じることは物語の終わり……コユウケッカイが壊れてしまうの。気を付けてね」
彼女の能力は『物語の魔女』という名に相応しい。
自分の世界を作り上げるなんて、ロマンチックで夢のような能力だ。
「でも、現実の時間はここにいても普通に流れているよ。時間を忘れないようにね」
「それなら感心している場合じゃないな。さぁ、魔術の訓練を始めよう」
「ここでッスか!?」
サファイアさんはこくりと頷く。
確かに人目も気にならず、魔女の被害がないこの場所は最適かもしれない。
そうして、二日目の魔術訓練は始まった。
「集中……集中して……っ!」
「……」
何時間経ってもやはり魔力は出てこず、あたしは次第にイライラするようになっていった。そんなあたしを見て、サファイアさんは私に問いかけた。
「……サナエ、本当に魔界に帰りたいか?」
ドキリとした。
あたしの心を見透かしているのだろうか。本当に思っている事を隠すため、精いっぱい笑いかける。
「え、そりゃ帰りたいッスよ~」
「下手くそ」
「へ⁉」
「嘘吐くの、慣れてないだろ」
サファイアさんの言う通りだった。あたしは嘘が嫌いで、今までだって嘘を吐いたことは全くなかったのだ。
「悩みなら聞く。相談されるのには慣れていないが、一人で抱えるよりマシだろう」
彼女の優しい声が、心の鍵を解いていく。
いいのかな。
馬鹿に、されないかな。
「馬鹿にはしない。お前がそれほど真剣に悩んでいることなんだろう」
「サファイアさん、エスパーッスか?」
「こんな時お前が何を考えるかくらい分かる」
「実は……」
反抗期、というものだろうか。
最近あんなに優しくしてくれた、あたしをここまで育ててくれたママ、パパ、ツキにも腹が立って仕方ない。
家族が嫌いというわけではなく、ただやけに発言一つ一つが頭に不快感を残していく。
それに耐えきれなくて、あたしは家族に怒鳴りつけたりした。
親に感謝しなければいけないなんて分かっている。
あたしが最低なことをしているなんて分かっている。
むしろ理解しているからこそ、大好きだったはずの自分のことすら嫌になったんだ。
そんな時、ゲートに行きついた。
「逃げ出しちゃおうよ」
そうゲートはあたしに語り掛けていた。この生活が少しでも楽になると思った。
そして、立ち入り禁止の表示も無視して、あたしはゲートに飛び込んだ。
「ほんと、最初はここが人間界ってことを知らなくて、なんか魔界より時代遅れだし、スマホ繋がらないし……怖かったんスけど。ミィナちゃんとサファイアさん、マクスおじさんに出会って、ここがすごく居心地よく感じちゃって」
少しだけ笑って誤魔化した後、まるで懺悔するように、今の自分の弱さを語った。
「あたしはこの世界で現実逃避してるんス。ダメだって分かってるけど、この世界は嫌な事全部を忘れられる場所なんスよ……」
話し終えるまで、サファイアさんは静かに話を聞いてくれた。
あたしは気が緩むとすぐ涙が零れそうで、ずっと下を向いていた。
「私にもあったよ、反抗期」
「え、ほんとッスか⁉」
意外だ。
こんなにモデル体型でクールな人にも、あたしと同じようになったことがあるなんて。
「誰にでもある。むしろあった方がいいんだ。立派に成長できる時期だからな」
「そうなんスか……」
「誰にでもあるからって、大した悩みじゃないってことじゃないからな。成長に必要な苦しみや努力は人によって違う。サナエは家族が大好きだから、その分苦しみが大きいんだろう」
サファイアさんの言葉は一つ一つ暖かかった。
こんなにも真剣に、あたしの心情までも考えてくれることがとても嬉しい。
「自分が魔界に帰らなきゃいけないとは思っているんだな」
「もちろんッス、でも今はまだ、帰りたくないッス……」
「そうか。なら焦る事はない。人間界でゆっくり自分と向き合うといい」
そう言いながら、サファイアさんはあたしの頭を撫でる。
普段の彼女からは想像もつかない、優しい手。
サファイアさんに悩みを打ち明けて良かったと、心から思った。
ゆっくり、焦らないで、自分の気持ちと向き合っていこう。
そしたら、きっと前より成長したあたしで、魔界に帰れるかもしれないから。
「誰かの相談に乗ったのなんて何年ぶりだろうな」
サファイアさんはそう言って微笑んだ。彼女の視線はどこか遠くを見ている。何かを懐かしんで、寂しがっているようだ。
彼女は不意に首に巻かれたマフラーを掴み、辛そうに眉をひそめた。あたしはサファイアさんのことを知らないから、何に苦しんでいるのかが分からない。何が苦しいんスか、と口を開こうとしたその時。
「ステキね!」
背後から急に声が聞こえて、ビクッと肩が跳ねた。
サファイアさんも驚いたようだ。大きく声や行動には表さないものの、目を見開いている。
「ミィナちゃん! 聞いてたんスか⁉」
「ううん、何も聞いてないよ。でも二人が仲良くしてるの、とってもステキ!」
「気配もなく近づくな、びっくりした……」
「えへへ。わたし、仕事から帰ってきたおとうさんを驚かすことが得意だったの!」
そういえば、ミィナちゃんは人間界にかなり前からいたと聞いた。
それなら、彼女の家族は魔界にいるのではないだろうか。
飛行術は使えるはずなのに、どうして魔界に帰ろうとしないのだろう?
「そういえば、今何時くらいなんだ?」
「お昼くらいね、わたし少しお腹がすいちゃったわ!」
「えぇ⁉ もうそんな時間なんスか!」
「二人共、今日からしばらく訓練は休もう。私は急用ができてしまった」
「サファイア、忙しいのね!」
ああ、とミィナちゃんに返事して、サファイアさんはあたしに耳打ちをする。
「決心ができたら、ルーデンベルクの時計塔の下に来てくれ。今から『救済の魔女』について調べてくる。それまでここでミィナと遊ぶといい」
「は、はいッス!」
サファイアさんはそう言って、森の中に歩いていく。
それを、ミィナちゃんが呼び止めた。
「サファイア、物語から出るにはわたしが物語を終わらせないといけないよ?」
「あっ」
「もしかして忘れてたんスか?」
「う、うるさいな! 私にもミスはあるんだ!」
いつもクールな彼女が、口を大きく開けて弁明する姿はとても可愛かった。
台所から個室までの廊下を歩く。
手にはティーポットと二つのコップを乗せたトレイ。
ふと淹れたての紅茶が香ると、焦らされているようで口に含むことがより楽しみになった。私はこの時間が好きで、いつも台所で紅茶を入れてから彼の部屋に向かう。
個室の扉を開くと、そこにはベッドですやすやと穏やかに眠る私の子どもたちと、それを見守るギアス様の姿があった。
「ギアス様、お茶を淹れてきました」
「礼を言う。……いつものとは香りが違うな」
「ええ、新しく仕入れた茶葉ですわ。二人の世話でお疲れでしょうから、疲労回復の効能があるものをいただきました」
彼の近くにある、アンティークなテーブルの上に紅茶を置く。私がギアス様に向かい合うように座ると、彼は目を閉じて紅茶を啜った。それに続いて、私も一口だけ口に含む。
最初に感じられたのはほのかな甘み。だがいつしかそれは酸味に変わった。不思議な味だが、身体が温まる素晴らしい紅茶だ。感動しながらそれを嗜んでいると、目の前の彼が口を開いた。
「シヴァニ、今日のゲートの様子を聞かせてほしい」
報告の時間だ。
私はゲートが現れてから小さい子どもたちを彼に任せて、ゲートと魔女たちの監視をしていた。
「今日は何もありませんでしたわ」
「魔女たちの様子はどうだった」
「彼女たちは『爆弾の魔女』の世話を焼いていました。きっと心優しいのでしょうね」
「そうか。では明日からも監視を頼む」
「分かりました」
「改めて言っておくが、彼女たちは魔界の最後の希望だ。くれぐれも殺すなよ」
彼の口調はいつだって単調で機械的だが、この言葉を言う時の口調はとても威圧的だった。
彼にとって私は唯一の仲間であり、そして大きな問題でもある。
私は先の幸せを想像しながら、視線を手元に落として口角を上げた。
「ふふ、大丈夫ですよ」
そう言って、また一口鮮やかな朱色の紅茶を啜った。