6話 我々の業界ではご褒美です
どうも無職です。
…無職は生まれたばっかりの赤ちゃんとか動物が持っているジョブだそうです。
俺24歳、今は赤ちゃん。ばぶー。
「村はこっちよ。勇者モドキ。」
可哀想だから村に連れて行ってもらえるそうです。
「ステータスば母さんがなんとかしてくれるわ。多分。」
そうですか…ばぶー。
「そういや俺怪しまれない?ばぶー。」
悪☆速☆斬とか嫌だよ?俺。
「私といれば大丈夫よ。いちおう村長の娘だし、あとそのウザい語尾をやめなさい。」
しょうがないだろ、赤ちゃんなんだから。
「は〜全くなんやねんあのスィンカ様とかいうロリ。」
つっかえ!
「村で神像に祈ってみたら?特別な人はお告げをくれるそうよ。あともう1回スィンカ様を馬鹿にしたら殺すわよ。」
あ、目が本気だわこの娘。
ヤダ!死にとうない!
「着いたわよ。早くきなさい。」
やった!文明万歳!これで股下葉っぱマンスタイルとはおさらばだぜ!
「おお…意外に大きいな。」
現れたのは木の柵で囲まれた村、所々に木でできたスパイクがついている。魔物対策かなぁ。
「よう!嬢ちゃん!おかえり…何モンだ?!この変態野郎!」
「森で拾った勇者モドキよ。通してあげて。」
門番のおっちゃんに怒鳴られた。ちなみに余計なことを言うからに黙っていろとアレナス様に言われました。
「どーも、全裸コンセント赤ちゃん~季節の葉っぱを添えて~です。」
でも喋っちゃう!
「はっはっは!なんだお前!面白いな!」
あ、ウケた。
「俺はカッシュ。ようこそピスコ村へ!」
握手握手、ナイスな上腕二頭筋やね。
「やいだだっ子勇者、行くわよ。」
笑ってるおっさんを背に引きずられていく俺。
ドナドナドナ〜。
教会に行くとアレナスちゃんの母上は留守でした。
ちなみにこの世界、神様つよつよなので村や町も教会が仕切っているそうです。日本人が聞いたら卒倒しそうやね。
「とりあえずスィンカ様に祈りなさい。運が良ければお告げがあってなんとかしてくれるわよ。」
そんなこんなで神像前。
…この像のスィンカ様ばいんばいんやんけ!盛ったな!
「ナムナムナム…。」
なんもおきません。
「そんな信仰もくそもないのじゃ答えてくれないわよ。もっと強い想いがないと…。」
想いねぇ…。
そうか!
「このロリ女神!顔を戻しやがれ!バーカ!!あと角待ちショットガンは消えろ!!」
俺は今だけ害悪FPSプレイヤーだぜ!
「何言ってるの…よ…?」
アレ?何この光?
なんか俺光の柱に包まれてるんだけど…?
え…怒った?
やばいやばいやばい!だんだん浮いてる!俺!
「ああああああっ!キャトルミューティレーショォオオオオン!!」
誘拐や!警察!神様ごめんなさい!
―――――――――――――――――――
なんとスィンカ様とご対面!わお!ブチギレ!
「このアホッ!たわけ!無職!」
ビシッ!バシッ!
痛いです。鞭で叩かないで、そういう趣味ないから…痛い!
あと無職は濡れ衣です。
「はぁはぁ…ホンッッッットに向こう見ずなヤツじゃ!!」
なんでそんな怒ってるんです?
「調整も終わらんまま転生したオヌシのことじゃ!まだ鞭が足らんのか?あ?」
なんか電気でバチバチしてる!やめてください。死んでしまいます!
雷神スィンカ様万歳!美人!美女神!
「側から見るだけなら愉快なんじゃがのう…オヌシの面倒を見なきゃならんのはワシなんじゃぞ!」
そう言いながらPCモドキをタイプする女神様。
そういや俺の体はどうなるんですか?
あそこで緑の液体の水槽で浮かんでるやつ。
「オヌシが未完成のまま酷使したからのう…ほぼ作り直しじゃ。」
俺そんなことしたっけ?
「猪を蹴った時じゃ!筋繊維が断裂寸前じゃぞ?!」
えぇ…怖。別に痛くなかったけど…。
「痛覚実装するのを忘れたからの。」
それめっちゃ重要です女神様。
でもアレナスちゃんに殴られた時とか痛かったよ?なんで?
「オヌシは女性から受ける攻撃のみ痛みを感じる仕様になっておったからの。」
なんだその特殊仕様。返品します。
「とにかくワシが身体を完成させるまでそこで適当に遊んでおれ、決してこの空間から飛び降りるでないぞ。」
ぶー。けちー。
「赤ん坊かオヌシは。身体ができた後も言いたいことがたんまりあるからのう…覚悟しておれよ?」
ヒィー。長話って嫌いなのよね。