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第1話

 白い天井、白い壁、白いベッド

ベッドのそばにはナースコールのボタン

娯楽など何もない中に、申し訳程度のテレビが置いてある。

この空間が、今の、そしてこれからの人生での私のすべて。


 白に塗り込められた病室の中の、真っ黒な存在

無垢の中にあってひときわ目立つ影

これが私。


 病室の白と全く見分けがつかないような白い髪に、ガタのきてとっくに動かない体

それでも汚いまでに生にしがみつき、息絶えてくれはしないこの体

それは私であって私でないような、そんな体。


 それは生きている。


 心はとうに終わった

精は尽き、根も果てた

一度は気も狂ったが、もうそれすらもできない。


 だが生きている。


 自分で死ぬことができるなら、もう少し楽なのに…。

そう思うこともある。

それには心の強さが足りないのだが。


 ただ生きている。


 自分で幕を下ろす覚悟のない生などは、所詮はまやかしである、とは誰の言ったことであったか。

どうでもよいことではあるのだが、不気味なほど今の自分にぴたりと当てはまる。


 しかし、やはりというべきか、それすらも今はどうでもよい。


 おそらく私はこのまま、何も感じることもなく、元々そうであったかのように死ぬのだろう。


 だがそれでいい。結局はすべて自然のままなのだ。


 そんな悟りにも似た感情を抱きながら、今日も私は眠りにつく…………


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