第6話
食事が始まっても、動揺しているローズには味がわからない。
砂を噛んでるような気分だ。
自分に微塵も興味を示さなかったシャーンブルック侯爵の様子が思い出される。
「私に興味なんてないくせに・・・」
そう思うと、腹立たしい気分がしてくる。
私だって、あんな人、興味ないんだから!
そう叫んでしまいたい。
食卓は、不気味な沈黙に包まれている。
食事が終わると、公爵夫人とローズは席を立とうとする。
その時。
「申し訳ありませんが」
シャーンブルック侯爵が初めて口を開いた。
「彼女と二人にしていただいても?」
ローズは、公爵のほうをちらっと見る。
「よかろう」
話をしたいことはしたかったのだけど、シャーンブルック侯爵に言い出されると、なんか腹立たしい。
ローズは不承不承シャーンブルック侯爵に着いていく。
二人は薄暗い図書室に行く。
明かりをつけようとするローズをシャーンブルック侯爵が制する。
「こんな暗闇に男性と二人でいたら、誤解されてしまうわ!」
ローズがそう言うと、シャーンブルック侯爵は口の端をゆがめた。
「誤解?
されたところで、それがどうした。
私たちは婚約しているのだから」
その言葉に、一瞬ローズは言葉を失う。
「あなたのプロポーズを承諾した覚えもないし、プロポーズされた覚えもなくってよ!!」
そう言うと、ローズは部屋から出て行こうとした。
すると突然、シャーンブルック侯爵に強い力で抱き寄せられる。