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第30話

婚約しているのに、今さら好きって言えないとか言っても仕方ないのではと思うのだが、そこを割り切れないのが乙女心。


結婚するからには愛されたい。


自分だけを愛して!


そう思っちゃうのだ。


マンチェスター公爵夫人の元へと歩きながらも、ローズの心は物思いにふけっている。


「そのドレスは素晴らしいね。


君によく似合っているよ」


ニコラスにそう言われて、ローズは思わず笑顔になる。


今日のために作ったドレス。


クリーム色の滑らかな布には金糸で刺繍が施されている。


ふんだんに使われた布地は、ローズの体のラインをすっぽり隠しているようなのに、ローズが動くために、体のラインがくっきり。


豪華なシルクだが、背の高いローズは、その豪華さに負けず、着こなしている。


「おばあさまが、私にはゴテゴテしたドレスは似合わないって、おっしゃったの」


そう言って、思わず口を押さえる。


あの、レディ・バーバラも、ローズマリーも、レディ・マデラも、ばっちりふんだんにゴテゴテ飾られたドレスを着ていたのだ。


急に口を押さえて黙ってしまったローズに、ニコラスは目をパチクリ。


自分が何かいけないことを言ったかと考える。


ローズの視線の先をおったニコラスは、ローズの考えていることに気づくく。


「確かに、君にはあのドレスは似合わないだろうね。


このドレスも、彼女たちには似合わないと思うよ」


ニコラスは、吹き出しそうになるのをこらえる。


そんなニコラスを、ローズは軽くにらむ。


「だって、君がレディ・マデラみたいにゴテゴテした赤紫色のドレスを着ているところも、レディ・バーバラみたいに胸を見せびらかすピンクドレスを着ているところも、想像したら思わず笑いがね。


いや、ピンクに恨みはないんだけど、あのピンクはちょっとね」


その言葉に、ローズもつられて笑ってしまう。


そんなローズに、ニコラスはほっとしたように見つめる。


そんなニコラスとローズを、何人もの人が遠目に見守る。


好意的に微笑ましくみつめる人。


嫉妬を含んだ眼差しで睨む人。


そして、悪意をもって見つめる人。


様々である。

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