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第12話

馬車での散歩に誘いに来たと言いながら、ニコラスはそのまま話を続けている。


母エミリーも、久々に年下のいとこに会えたことでご機嫌である。


公爵夫妻も朝食をとりに降りてきた。


ニコラスが優雅に挨拶をする。


公爵夫人は、お気に入りの甥っ子に笑みを浮かべる。


けれどもローズを散歩に連れて行きたいとニコラスに言われ、眉をひそめる。


「まだ婚約者としての御披露目には早いんじゃないかしら?


物事には順序というものがありますよ」


公爵夫人にたしなめられてもニコラスは気にする様子はない。


「それにローズにはしなくてはいけないことが山のようにありますよ。


まだまだ人前には出せません」


すっぱり断られる。


人前に出せませんだなんて言われてしまうのはショックだけど、ニコラスと二人で出かけなくても良いことにホッとしてしまったローズである。


目の端でニコラスを追う。


確かにカッコイい。


社交界の奥様方が自分の娘を連れて群がる気持ちがわかる気がする。


整った顔立ちは精悍で、眼は海のように深く鋭い。


ローズは思わず、自分の顔立ちを考えてしまう。


公爵夫人とマリアンヌによる大改造の結果、まずまず見れるようにドレスアップはしている。


でも、手足の動きはどこかぎこちなく、公爵夫人や母のような優雅さが足りていない気がする。


ここ何年かで急激に伸びたひょろりとした手足は、まだ自分のものになりきっていないような感じがしてしまう。


母から、マナーなどについてはかなり仕込まれたものの、その優雅さを真似しようとしてもどうしてもやりすぎてしまったり、カクカクした動きにしかならないのだ。


自分に比べれば、シャーンブルック侯爵のほうがまだ優雅な気がする。


この時期の街でデビューするということは、結婚市場に名乗りをあげるということ。


そこには、結婚相手を探す男性とライバルを蹴落として少しでも良い結婚相手をつかまえたい令嬢とその母親が手ぐすね引いて待っている。

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