~第二の錦織圭たちに贈る言葉(16)~ 『サーブトスを上げたら考えるな、狙うポイントを思って打て!』
〜第二の錦織圭たちに贈る言葉(16)〜
『サーブトスを上げたら考えるな、狙うポイントを思って打て!』
1. まえがき;
2018年6月の全仏オープン4回戦で錦織選手は第2セットでの第一サーブの成功率は40%まで落ち、0−6でセットを取られた。それは、対戦相手のティエム選手の対応態勢・反応を観察し、攻撃方法を見つけることを思考しながらプレーしていたためと思われる。(思考とは思い、考えること)
何故に『考えながら』打球すると狙ったポイントにボールが落ちないのか。それを今回は説明します。
2. 贈る言葉;
試合中には『考える』、『思う』、『感じる』、『ぼけーとする(休む)』の大きく分けると4つの頭脳活動がある。
『考える』時は大脳皮質の記憶回路と言葉(大脳皮質の言語野)を使う。
『思う』時は頭脳の海馬で意思が生み出される。
『感じる』時は飛来する音、光、そして相手の脳波(電磁波)・気などを頭脳(聴覚・視覚・第六感)で感じ取り、海馬に電気信号が送られる。
テニス技術を発揮させる筋肉を動かす指令電気信号は海馬から小脳へ送られ、小脳から脊髄の神経回路を経由して筋肉に送られる。大脳皮質を通過しない。
一方、海馬で発生した意思が考える事を要求すると、大脳皮質の記憶回路が作動して、大脳皮質の記憶回路から小脳に信号が送られ、小脳皮質から筋肉へ収縮動作命令電気信号が出される。
大脳皮質の記憶表面回路は動作が不安定であるため、筋肉動作信号の精度が落ちる傾向にある。(脳科学では大脳皮質全体の神経細胞の数は200億個程度、小脳全体の神経細胞は1000億個と見積られている)
このため、考える動作をインプレー中に行うと、技術の精度が悪くなり、サーブなどの特に精度が要求される技術への悪い影響が出る。
サーブを打つ時、海馬で発生した『思い』の信号を直接に小脳に送り、小脳が覚えている繰返し練習で削ぎ落され記憶回路から精度の高い筋肉収縮命令が出される。
サーブだけでなく、ストロークやボレーなどの打球動作の時も同じである。
3. あとがき;
紙を丸めて、少し離れた処にあるゴミ箱に投げ入れる時、『投げる力を調節しなければ』と考えて投げると外れるが、『捨てよう』と思って何気なくゴミ箱を見てポイと投げると入ると云う経験をしたことはないだろうか。私は、よくある。ゴミを捨てようと『思って』投げるだけでゴミ箱に入る。手加減して投げなければと『考える』と外れる。
よく訓練された筋肉を動かす時は『思う』だけでよいのである。
『諸君の健闘を祈る』
目賀見勝利より第二の錦織圭たちへ
2018年6月16日
参考文献;
ニュートン別冊 脳と心 ニュートンプレス社 2010年11月発行
ニュートン別冊 脳とニューロン ニュートンプレス社 2016年9月発行
頭脳のメカニズム エドワード・デボノ著 箱崎・青井訳 講談社 昭和47年2月発行