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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
3章 ヤンデレ妹の兄は先輩の彼氏を演じるようです。
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把握=愛

「な、んで……」

「これ……どういうことなの? おにいちゃん……」


 あかりのスマホから流れ出した自分自身の声に、夜は驚愕を隠せないでいた。


 訳がわからない。わかるわけがない。


 どうして、あかりのスマホから自分自身の、瑠璃や隆宏に対して言った言葉があかりのスマホから聞こえるのか。


 あかりはあの場にはいなかった。いるはずもない。だったら、何故……。


「不思議そうな顔してるね、おにいちゃん」

「当たり前だろ……」


 あかりのスマホから聞こえた、ということはあかりのスマホに録音されているということになる。


 自分の知らないところで勝手に自分の声が録音されていて。突然それを聞かされた今の状況、驚かない人間なんてこの世にいないだろう。


 もし仮に、それで驚かない人間がいるとしたら、その人は感情を持っていないのだろう。


「それで、どういうことなの?」


 望んだ答えが聞けなかったからか、もう一度同じことを質問するあかり。


 そんなことよりも、夜はあかりに問い質したいことがあるのだが、質問に質問で返したところで会話に進展がないことは明白。


 しかし、だからといって気になるものは気になるもの。


 故に。


「それよりも、なんで俺の声が……」


 愚策と承知の上で、質問に質問で返す。


 あかりはむっと不満を露わにし、仕方ないとため息を吐いた。


「おにいちゃんにあげたストラップあるでしょ?」

「あ、あぁ……?」


 突然話題があかりから貰ったーー正確には無理やり持たされただがーーストラップに変わったことに小首を傾げる夜。


 しかし、それも仕方のないこと。何せ、関連性など皆無と言っても過言ではないのだから。


 だが、何の脈絡もなしにあかりが話題転換するとは思えない。


 だが、だとしてもその関連性の見当が一切つかない。


「それがどう……した……」


 わからないものはわからないとあかりに答えを聞こうとして、一つの憶測に辿り着く。いや、憶測ではなく答えかもしれない。


 俄かには信じられないことではある。だが、この状況を説明するにはそうとしか思えない。


 そもそも、その場にはいない会話を録音出来る方法なんて一つしかないのだから。


 あかりが夜達の会話を録音出来た理由、それは……。


「……もしかして、あのストラップに盗聴器が……?」

「うん。それと、場所もわかるように発信器もセットだよ?」


 盗聴していたのでは? という夜の質問に、あかりはすんなりと認め、挙げ句の果てには更なる絶望を夜へと叩きつけた。


 ただでさえ、会話を盗み聞きされていたというだけでも手一杯だというのに、居場所までも把握されていたとなると思考を放棄したくなる。


 夜は握りしめていた鍵に付いているストラップを外そうと……。


「ダメだよおにいちゃん、外したら」


 したところで、あかりから釘を刺される。


 忠告を無視してストラップを外すことなんて容易だろう。盗聴器や発信機が仕掛けられているとはいえ、ただのストラップ。一度付けたら二度と外せないなんてことはないはずだ。現に、あかりも外したらダメだと言っているのだし。


 だが、あかりの深淵の如く光が一切差し込んでいない真紅の瞳が「外したらどうなるかわかってるよね?」と言っているかのようで、夜に恐怖を抱かせ、外すべく動いていた手を止めてしまう。


「……何でそんなことを……」


 何で盗聴器と発信器を仕掛けたのか、という抱いて至極当然の疑問にあかりは。


「好きな人のことを全部知りたいのって女の子として当たり前でしょ?」


 と、屈託のない笑みを浮かべてそう言った。


ども、詩和です。お読みくださりありがとうございます。

昨日にどきみで言った番外編ですが、明日には投稿できるかと思います。そんなに長いの?とか思う人がいるかもしれませんが違います。書いてないだけです。予定があるんすよ……。

ということで番外編は明日出すのでお待ちください。

感想・意見・批判・誤字脱字報告コメお待ちしております。励みになりますし、参考にもなります。

それではまた次回お会いしましょう。ではまた。


※2020/10/24にちょっと改稿しました。

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