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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
3章 ヤンデレ妹の兄は先輩の彼氏を演じるようです。

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絶対の重み

「でも、お見合い断れなかったね……」

「はい……」


 瑠璃は目的を達成できなかったことに落胆し、夜は素直に頷く。


 ここで変に元気付けようとしても、そんなことはなかったと励ましても、すべては無意味に終わるのだとわかっていたから。


 そもそも、隆宏に電話をしたのは何も瑠璃に彼氏が出来たことを報告するためなのではない。まぁ、結局は報告だけで終わってしまったのだが……。


 本来の目的である「彼氏がいることでお見合いを中止させる」が達成出来なかった今、電話をした意味もなければ、夜がこの場にいる意味もなく、すべてが水の泡である。


 もう一度電話をする手もあるだろう。だが、隆宏は聞く耳を持ってはくれないだろう。


 それに、隆宏は言っていた。別れてほしいと。つまり、彼氏がいたところでお見合いを強行するつもりなのだろう。


 だったら、彼氏がいるからという理由は通用しない。隆宏からしてみれば、無理矢理引き剥がせばいいだけのことなのだから。


「これで、夜クンともお別れだね……」


 そう言って、瑠璃は笑みを浮かべた。


 夜に思い浮かべてほしい自分の顔は泣き顔ではなく、笑った顔であってほしいから。


 でも、自分の感情を偽って浮かべる笑みは、涙をこらえて浮かべる笑みは悲し気で、寂し気で。


 どこからどう見ても、無理矢理笑っているようにしか見えなかった。


「……」


 しかし、それがわかっていても、わかったとしても。


 今の瑠璃に、夜は何も言えない、言えるわけがない。


 だって、励ましの言葉も、勇気付ける言葉も、優しい言葉も、今の瑠璃には逆効果でしかなく。


 余計傷つけてしまうことになるだなんて明白なのだから。


 だから。声をかけたくてもかけられない。


 そのことがもどかしくて、悔しくて、自分の無力さを痛感させられる。


 結局、その場にいても、いなくても、夜には何も出来ないのだと自覚させられる。


 頼ってほしいと希望だけ持たせて、結局絶望の淵に突き落としている。


 そのことが、夜をさらに苦しめる。


「……ねぇ、夜クン」

「……はい」

「私と……一緒に来てほしいの……」


 電話でダメだったから、実際に連れて行けばもしかしたら……なんて楽観視しているわけではない。現実逃避しているわけでもない……とは言い切れないが、そういうわけでもない。


 ただ、傍にいてほしいだけ。


 きっと、お見合いが行われれば、その瞬間瑠璃の未来は決まってしまうだろう。


 高校も辞めさせられて、夜や二次元部のみんなとも会えなくなってしまう。


 元々そのつもりだったし、それを自分の心に嘘をついて受け入れようとしたけれど。


 夜の優しさに触れて、自分の心に正直でいたいと思うようになった。


 往生際が悪いだけかもしれない。ただの悪足搔きなのかもしれない。


 それでも、最後まであきらめたくない。


 自分の気持ちに、この想いに、終止符を打ちたくないのだ。


 そんな瑠璃のお願いに。


「……わかりました」


 夜はこくりと頷いた。


 こんな何の役にも立たない自分を、何も出来なかった自分を、まだ頼ってくれる瑠璃の期待を裏切るわけにはいかないのだ。


「……俺が、瑠璃先輩を絶対に救ってみせます」


 何から救えばいいのかも、絶対なんて言葉を容易に使ってはいけないことも、そもそもこの世に絶対なんてことはないということも、夜はわかっている。


 絶対という言葉が、どれだけの希望と絶望を齎す重い言葉かも知っている。


 だけど、否、だからこそ、夜は絶対と口にした。


 瑠璃の期待に応えるために。


 自分自身に言い聞かせるために。


 自分自身の心に刻み付けるために。


「二人で帰ってきましょう」

「――うん!」


ども、詩和です。

展ラブの投稿は久しぶりとなりましたが、この先のことはまだ未定です。まぁ、にどきみの投稿もありますしね。

展ラブを読んでくれている方も、ぜひ、にどきみの方へ足を運びください。まだ、ストーリ-に動きは無いんですが。

それでは、これからも展ラブとにどきみを詩和ともども宜しくです。

感想・意見・批判・誤字脱字報告コメお待ちしております。

それではまた。


※2020/10/21にちょっと改稿しました。

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