勉強会の弊害
部室での勉強会が決まった翌日――勉強会初日。講師としてあかりたちに教えることになった夜と瑠璃は、それぞれ別々の場所で勉強会をしていた。
本来なら、別々の部屋で勉強会、なんていう面倒なことをするつもりなんて毛頭なかったのだが、事の発端は数時間前に遡る。
夜は教えながら自分も勉強出来るということで梨花に、瑠璃はあかりと夏希に教えるということで話が決まったはずなのだが……。
「おにいちゃん、ここは?」
「ナイトぉ、ここわからな~い」
「夜、ここってどう解くの?」
「「…………」」
わざわざ別れたはずなのに、気付けばあかりと夏希も瑠璃にではなく夜にわからないところを聞くようになっていて、瑠璃が完全蚊帳の外となっていた。
「部長。一つ提案が……」
「なぁに、夜クン。私は今、デートで忙しいんだよ?」
「いじけないでくださいよ……」
「別にいじけてないし……」
私いる意味ないよね? と勉強を教えることを放棄。いつの間にかパソコンの前に座り込んで拗ねるようにギャルゲーに没頭する瑠璃。
そんな瑠璃に、夜は助けを請う。
しかし、このままでいいはずがないと! と。そもそも、あかりたちより成績はいいとはいえ中の上な自分に務まるはずがない! と。というか助けて! と。
「このままじゃ俺が過労死します。なので、別々の場所で教えることにしましょう」
「それはいいけど……場所はあるの?」
「部長は部室を使ってください。俺は……図書室は今混んでるだろうし……俺の家でやります」
「「「「えっ⁉」」」」
夜の発言に、四人は驚きをあらわにする。
「よ、夜の家に……本当にいいの?」
遠慮がちに聞く梨花。ほんのりと頬が赤く染まっている気がする。
「いいも悪いも俺から言ってるんだけどな……」
「でも夜クン、それだと勉強する時間が短くなると思うよ?」
時計の針は五時三十七分を指し示している。夜の家に着くまで二十分程度かかってしまうから、着いた頃には六時近くだ。確かに、瑠璃の言う通り勉強時間はほとんどない。
「それもそうか……。なんなら晩飯くらい作ってもいいんだけど……」
「え? 夜がご飯作ってるの?」
「あ、あぁ……あかりが頑なに作ろうとしないんだよ。まぁ、俺も簡単な料理しか作れないけど……」
「そ、そうなんだ……。でも、私はそれでいい……わよ? あとでパパに連絡しておくし」
「なら決まり……」
「それはダメ!」
夜の言葉を遮り抗議の意を示したのは……あかりである。
「いや、でもこうしないと勉強に集中出来ないし場所だってないだろ?」
「おにいちゃんの料理を食べていいのはわたしだけなの!」
「……それじゃあ行くか、梨花」
あかりのあまりにも横暴な理由に、夜はスルー。
しかし、そこで待ったがかかる。
「僕も反対! 僕だってナイトの家に行きたいのに!」
「そうだよ! 私だってまだ行ったことないんだよ!」
夏希と瑠璃までもが抗議の声を上げた。
このままこの場で言い合っても埒が明かないし、勉強する時間だって減る一方。
夜はため息をつき。
「はぁ、あかり。勉強が終わったら二人連れて来てくれ。梨花、行くぞ~」
「う、うん!」
不満げな三人を横目に、夜は梨花とともに部室を後にした。
ども、詩和です。
テスト勉強って何書けばいいんですか!書く部分少ないですよ!
まぁ、いいです。なんとかしなくちゃならないのにかわりはないですから。
さて、三章2いかがだったでしょうか?
今回は梨花を中心にストーリーを展開させていきたいと思います。
一章はあかり(?)、二章は夏希、三章は梨花。となれば四章は?
まぁ四章まではまだ時間がありますが、そういう予定です。
礼の如く校閲しておりません。サボりだって?そ、そそそそんなわけ……。
それでは今回はこの辺で。
※2020/10/07にちょっと改稿しました。




