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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
1章 ヤンデレ妹は兄を追いかけて入学して来たようです。
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妹との再会

 ――ピンポ~ン、ピンポ~ン。


 春休み期間ということでだらだらとゲームを満喫するがあまりに就寝も忘れ、結局画面の前で寝落ちしていた夜の耳に、朝だ起きろと言わんばかりに突如としてインターホンの音が届いた。


「――……はっ、今何時だ……!?」


 ばっと勢いよく起き上がり、時計を見やれば時刻は朝の八時過ぎ。


「うわ、久々に寝落ちしたな……腰がいてぇ……」


 リビングの床に倒れるようにして寝ていたため、とにかく腰が痛い。腰だけじゃなく腕とか肩とか、とりあえず全身が痛い。


 ちゃんとベッドで寝ればよかった……と腰をさすりながら後悔。


「というか、こんな朝早くに誰だ……?」


 新聞配達ならばもう少し早い時間に来るだろうし、そもそもインターホンだって押さないだろう。何より、お金に余裕がない夜は新聞を頼んでいないので来るはずもない。


 たまに遊びに来る友人ならば未だに夢の中だろう。こんな早い時間帯に学校があるわけでもないのに起きているとは到底思えない。


 宅配業者だとしても何か頼んだ覚えはないし……いや、夜が頼んでいなくとも他の誰かが頼んだものが届くという場合もある。


 しかし、モニターを確認するが画面には誰の姿も映っていなかった。これで宅配業者の可能性も消えた。


 だが、だとすると疑問が残る。一体、誰がインターホンを押したというのか。


 故障してしまったが故に起きた誤作動……とは考えにくい。築数年のまだ新しいマンションだし乱暴に扱った記憶も扱われた覚えもない。


 となれば、思いつく答えは一つ。


「いたずらか?」


 何者かによるいたずら。俗にいうピンポンダッシュ。そうとしか考えられない。


「いや、でも……」


 だが、その可能性も低いのだ。何せ、夜が住んでいるマンションは学生向けのものなのだ。学生じゃなくとも借りられないわけではないだろうが、少なくとも見たことはない。


 かといって、わざわざ別の場所からこのマンションにいたずらをしに来ているとも考えにくい。仮にそうだとしたらそのいたずらっ子のピンポン奪取にかける情熱に賞賛を送りたい。


 と、長い間思案に耽ていると。


 ――ピンポ~ン、ピンポ~ン。


 二度目のインターホンが鳴った。


 モニターを見ていたが、やはり誰も映っていない。


 だが、確かに誰かがいる。誰かの手によってインターホンが押されている。


「考えすぎてても仕方がない、か……」


 もしかしたらモニターが故障していて、何も映っていないだけなのかもしれない。


 修理代どれくらいかかるかな……と不安を覚えつつ。


「すみません、どなたですか……?」


 ドアを開けて来訪者を確認した。


 と、同時に。


「おにいちゃん!!」

「っうわ!?」


 胸部から腹部あたり目掛けて突っ込んできた何かによって夜は玄関口に倒れこんだ。


 ただでさえ床で寝ていて腰が痛いのに、ここに来てまさかの追い打ちである。どうしよう、今の衝撃で骨とか折れてたら……まぁ、そんな簡単に人の骨は折れないだろう。折れない、よね?


「っつぅ……なんだよいきなり……って、え?」


 一体何があったんだ……と視線を向ければ、そこには。


「会いたがった、ようやぐ会えだよ、おにいぢゃぁぁぁぁん……!」


 夜の胸元に顔をうずめ、泣きじゃくる女の子の姿が。


「あかり……!?」


 ここにはいないはずなのに。来れるはずがないのに。


 夜の妹であるあかりの姿がそこにはあった。

※2023/01/29に改稿しました。

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