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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
5章 ヤンデレ妹たちはひと夏の思い出を作るそうです。
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妹でも許せない

 夜がジュエリーショップを出た後、向かいにあるアニメートで見かけた玲奈らしき人物。それは、紛れもなく玲奈本人だった。夜が見失ったのは、玲奈が反射的に隠れてしまったからなので、夜の見間違いなのではない。


「ルナ先輩……」


 どうして、玲奈がアニメートにいたのか。それは、数時間前まで遡る……。


 夏休みが始まってからずっと、玲奈は家から出ずに引き籠り続けていた。と言っても、夜みたいにだらだら過ごしていたわけではなく、パソコンをカタカタしていたのである。まぁ、これだけを聞いたら同じじゃねぇかと思うだろうが、玲奈は何もゲームをしているわけではない、執筆をしていたのだ。宿題? そんなの知らない。


 短編から長編、ラブコメからファンタジーまで、それはもう書きまくった。夏休み最高! と目にクマを作りながら叫び始めた玲奈を見て、智哉が慌てていたのは、何ともシュールだった。玲奈が壊れた~! 医者ぁ~! あ、私だ! と、まるで何処かの青鼻の船医のようなことを言っていたが、〇NE PIECEでも見たのだろうか……?


 そうして、今日、気分転換に出かけようとして、欲しい小説もあったのでアニメートに向かうことにしたのだ。智哉に何処に行くんだあ? と聞かれ、小説を買いに行くと言ったら諭吉さんを二枚もくれた。何か、物凄い申し訳ない気持ちになった。


 アニメートで欲しい小説を買った後、帰ろうとしたら向かいにあるジュエリーショップに夜とあかりがいたのが見えたのだ。そして、咄嗟に隠れてしまった。


 そして、今に至るというわけである。短い回想終わり。


「ルナ先輩が買ったものって、指輪?」


 どうして、玲奈がジュエリーショップで夜が購入したのが指輪とわかったのか。それは、あかりが今持っている指輪の箱が入っている紙袋に理由がある。


 あのジュエリーショップには、様々なジュエリーが売られている。指輪は勿論のこと、ネックレス、イヤリングetc……。それほど、様々な種類が売られているのに、玲奈が指輪だと断言できた理由。それは、商品ごとに紙袋の色が違うのだ。例えば、指輪なら黒、ネックレスなら白、と失礼かもしれないが、というか失礼だが、無駄にお洒落である。


 今、あかりが持っている紙袋は黒色。つまり、指輪を買ったのだとわかるのだ。


 だが、どうして指輪? と考えて、玲奈はとある答えに辿り着いた。


「そんな……、ルナ先輩が、あかりさんに指輪を……!?」


 あかりや道行く男どもと同じように婚約指輪!? と勘違いしないでよかった。まぁ、あかりが左手をうっとりと眺めていたとしても、流石に婚約指輪とは考えつかないだろう。それに、他の人ならともかく、玲奈は夜とあかりが兄妹だと知っている。故に、勘違いするなどありえない。


 というか、どうして夜とあかりがカップルに見えるのだろうか。まぁ、あかりがベタベタしているからかもしれないが、兄弟だから少なくとも顔は似ているはずなのに、どうしてカップルと間違える? いや、確かに平凡な俺に対してあかりは超が付くほどの美少女らしいよ? だけどさ? ジュエリーショップに入った=婚約指輪の購入って考えはどうかと思う。


 玲奈は自分の左手を見る。いつか、欲しいな……とそこまで考えて頭をぶんぶんと髪を振り乱すほど振った。少し頬が紅潮している。アニメートにいた男たちが玲奈を見て思い思いの言葉を呟ていたりするが、気にしない方がいいだろう。


「やっぱり、夏休みだとルナ先輩に会えないですよね……」


 ふと、悲し気に呟かれた。しかし、玲奈さんが家で執筆作業に明け暮れている間に、玲奈さん以外の人は夜と会っている。というか、下手すりゃあかりよりも親しく関わっていたりもする。玲奈さん、可哀想に……。


 でも、会うための動機がなくとも、明日には会えるのだ。何故なら、明日は二次元部の活動があるからだ! といっても、部室に集まって雑談したり、ゲームしたり、アニメ見たり……と遊びに行くようなものだが。ほんと、部活として成り立っているのが恐ろしいほど何もしていない。理事長には感謝だ。


 だが、今回のことは、玲奈だけではとても受け止め切れないものだろう。好きな人が、他の女に――まぁ、相手が妹だとしても――指輪を渡すのは許せない。これは、みんなで考えるべき案件である。自分以外にも、夜に好意を向ける女の子はいるのだから。


 玲奈は明日みんなとともに、夜とあかりのことを話すと心に決め、やっぱり隠れないで話しかければよかった……と少し後悔するのだった。




「うっ、なんか寒気が……」


 夜は背筋に悪寒を感じた。一体何が……? 噂されてたら悪寒じゃないしな……。


「おにいちゃん、どうかしたの?」

「いや、何でもない。というか、お前はいつまでその指輪を眺めてるんだ?」

「いつまでも、だよ?」

「そうですか……」


 本当に、何時までも見ていそうで怖いのだが……。あかりならやりかねん。


「あぁ、そういえば明日って部活あったよな。何時からだっけ?」

「部活? おにいちゃん、部活に行くの? なんで? わたしとずっと一緒にいるんじゃないの? 一緒にいるって言ってくれたのに!」

「言った覚えがありません」


 夜は少しヤンヤンしているあかりをどうにか宥め、帰路へと着いた。


 そうして、明日は何かありそうだと嫌な予感が脳裏を過ったのだった。あぁ、どうにかその予感は的中しないでくれ……! と願いたいが、きっと当たってしまうのだろう。いつも通りに……。


ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。

さて、今回はいかがでしたでしょう。楽しんでいただけましたでしょうか?

まぁ、何の面白味もなければ何の進展もないので楽しんでいただけなかったと思いますが……。

でも、仕方ないじゃないですか。今までの話が濃かっただけなんです……。あの濃さでこれからもやってったら俺が死んでしまいますぅ……。今でも疲労で死にかけてるのに……。

地震とかのあれこれで何も動いてなかったから授業の体育がキツイ今日この頃。腹筋とか腹筋とか腹筋とかの所為でお腹痛いです。座ってるのが辛い……。

次回は部活ですね。みんなが久しぶりに集合しますが、さて、どうなることやら……。

さて、今回はこの辺で。

それでは次回お会いしましょう。ではまた

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