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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
5章 ヤンデレ妹たちはひと夏の思い出を作るそうです。
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夜の受難

「はぁ、暇だぁ……、超暇だぁ……」


 だらだらと床を寝ころびながら間抜けな声を漏らしているのは、夜である。何も用事がない、というかほとんど毎日用事がないはずなのに、ここ数日色々なことがあり過ぎて、余計暇に感じてしまうのだ。いやぁ、誰だよ最初に夏休みは暇だって言った奴、俺だよ、まったくその通りだったよ。やっぱりここ数日が異常なだけだったんだ、そうに違いない……。


 そうして、夜がだらだらしていると、夜の平穏(暇な時間)に終わりを告げるインターホンが夜の部屋を鳴り響いた。夜は目を剣呑に細め、まるで何処かの誰かさん(瑠璃)と同じように悪態を吐きながらドアを開けた。何処ぞの勧誘だったら即帰してやると息まき玄関に立っていた人物を見て、夜は……ドアを閉めた。


「ちょっと、夜クン!? どうしてドア閉めるの!?」

「いや、ドア開けたらエロゲ持ってる女の子がいたんでマズい奴だと咄嗟に……」


 夜は謝罪の言葉を述べながら、ドアを開け頬を膨らませている瑠璃を家の中へと入れた。


 因みに、いつもなら誰か()が来た時点で「その女誰?」とヤンヤンしているあかりだが、今日は珍しく外出中である。どうやら、友達である美優にデート(遊び)に誘われたらしい。まぁ、最後まで未練たらたらな様子だったが、今頃は楽しんでくれている……ことを願っている。まぁ、スマホに取り付けられているあれこれでバレるとは思うが。


「……それで? 瑠璃はどうしてエロゲなんか持って俺の家に来たんだ?」

「うぅ、それがね……?」


 瑠璃は夜に今日起きたことを説明した。エロゲしてたらいきなり真璃と平藏が家に来たこと。平藏にエロゲを持っていることがバレたこと。そうして、逃げてきたこと、などなど……。


「うわぁ、それはまた、あれだな……。ご愁傷様です?」

「あ、これはご丁寧に……、じゃなくて! 私を匿って欲しいの」


 流石に、平藏も夜の家までは知らないはず。それに、何処かのストーカー(あかり)みたく、どんな手を使っても夜の場所を探し出すとは考えにくい。そこで、夜に匿ってもらおうと考えたわけである。


「ん~、匿うのは別にいいけど……。はぁ、一応本当の理由を聞こうか?」

「エロゲの続きがしたい!」

「……うん、だろうな……」


 瑠璃の匿って欲しい本当の理由に、夜は呆れてため息を一つ。親にエロゲがバレたという世の男子高校生なら悶絶しながら死にたい死にたい連呼するだろう大・大・大事件を、今目の前にいる瑠璃は軽視し過ぎである。まぁ、女の子だからそこまで気にして……、いや、それはないか。もし気にしてなかったら逃げ出すわけがない。


 夜は本日何度目になるかわからないため息を吐きつつ、自分の部屋からノートパソコンを持って来た。思春期男子としては、部屋に女の子を入れたくはないのである。因みに、あかりは夜がいない間に散策しているようだが、一体何を夜の部屋でしているのか、そんなものは知らない。きっと、知らない方が身のためである。それに、入るなと言っても聞かないのでそれも諦めている。


「瑠璃、それってダウンロード必須な奴か?」

「うん、そうだよ。というか、エロゲのほとんどがそうじゃないかな?」

「だよな……。終わったら消しといてくれよ?」

「え? 私が帰った後にやるんじゃないの?」

「やらねぇよ、つか出来ねぇよ。だって……」

「あぁ、なるほどね……」


 そう、だって夜の家にはあかりがいるのだ。とりあえず、パソコンの中身は絶対調べる。毎回毎回中身を見られないためにパスワードを変えていたのだが、悉く綺麗さっぱり調べられ、それすらも諦めた。


 外出から帰ってきた時に、おにいちゃんってこういうのがいいの? というあかりの書いた貼り紙を見た時は、その場に崩れ落ちたものである。何も、ちょっとあれな本を持っていたことがバレたことに悲しんでいるのではなく、あかりに自分の好みを知られたことが何よりも悲しく、絶望した。きっと、あの“おにいちゃんノート”に隈なく記されているはずである。もう、いっそのこと殺してくれと何度願ったことか……。まぁ、もう慣れたが。


「それじゃあ、俺は部屋で寝てるんで……」

「何を言ってるの? 夜クン」

「は?」


 睡魔にノックアウトされ、夜は寝るために部屋へ向かおうとすると、待ったがかかった。


「いや、何を言うも何も、眠いんで寝たいんですけど……」

「まったく、女の子が遊びに来てるのに寝るのはないんじゃないかい?」

「いや、まぁ確かにそうだけど……」


 まぁ、女の子かどうか関係なく、友達が遊びに来てるのに寝るというのもいかがなものかとは思う。だが、ここ数日、何故か忙しくて夜は疲れ果てているのだ。寝かせて欲しい、いや、寝かせてください。


「一緒にやろうよ、エロゲ!」

「……やっぱり寝るわ、おやすみ」


 何を言ってるんだ、こいつ(瑠璃)は……、と夜は冷え切った眼差しを向け、問答無用で部屋へと向かった。


「ねぇ、やろうよぉ、夜クぅン……」

「何で、女の子とエロゲなんかやらなきゃなんねぇんだよ、どこのラノベだそれ」


 いや、確かにあるよ? ラノベに、女の子とエロゲをしていちゃいちゃ(?)する物語はあるよ? けど、それはあくまでフィクション(二次元)であってノンフィクション(三次元)ではない。


「いいじゃん、一緒にやろ? ねぇ、やろやろ? 少しだけでいいからさ?」

「それ絶対少しじゃないよな? ……ったく、後で後悔しても知らねぇからな……?」


 瑠璃に対して言った言葉だが、後にブーメランになるんだろうなぁ、と夜は渇いた笑みを浮かべ、瑠璃の隣に座った。


 しかし、瑠璃は夜の膝の上(、、、、、)へと座った。


「あのぉ、瑠璃さん? 一体、何をしていらっしゃるので?」

「何って、夜クンの膝に座ってるだけだよ?」

「なぁ、瑠璃さんや。君は何をやっているのか、理解しているので?」


 夜は内心、超焦っていた。だって、膝の上にいるんだよ!? 焦らない方がおかしいだろ! こんなとこ、あかりに見られでもしてみろ! 絶対、殺される。うん、間違いなく。


「理解、してるに決まってるじゃないか。でも、こんな時にしか甘えられないじゃん……」

「! ……はぁ、わかったから早く始めてくれませんかね?」

「! うん!」


 とても嬉しそうに笑う瑠璃を見て、夜はこのままエロゲして理性が保つのか? とそれはもう渇きに渇ききった笑みを浮かべた。まぁ、未来(その時)のことは未来(その時)の俺に任せるとしよう、うん。


「……その……、やっぱり恥ずかしいね?」

「じゃあ、最初から座らないで貰えますかね!?」


 本当に大丈夫か俺? と夜は遠くを見つめた。現実逃避? まったくもってその通りです、はい……。

ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。

さて、今回はいかがでしたでしょう。楽しんでいただけましたでしょうか?

今回は瑠璃に“天然ビッチ”属性が追加されました。どうしてこうなった……。

そして、展ラブはいつからエロに走るようになった? いや、知らない。つか、走った記憶がない。あるといえば、最初のあかりの胸云々と、瑠璃の時のクズ男云々……って普通にありますね。

まぁ、こういう展開が嫌いな方もいらっしゃるでしょうが、少しお付き合いください。

自己満足と思われるかもしれませんが、それはそれで構いません。その通りなので。

さて、今回はこの辺で。

それでは次回お会いしましょう。ではまた。


※2019/03/09に少し改稿致しました。

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