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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
5章 ヤンデレ妹たちはひと夏の思い出を作るそうです。
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Bトーナメント

 (ナイト)の出場したAトーナメントが終わり、少しばかしの休憩時間となった。戦っていた時間は短くとも、とても濃かったナイトとクロの激闘の熱を冷ましたいのか、少し長いように感じた。まぁ、初めての大会なのでどのくらい休憩時間があるのか、そもそも休憩時間というものが存在するのかはわからないが。


 そうして三十分後、Bトーナメントが始まった。(ナイト)は決勝トーナメントへの出場が決まったし、夏希(アリス)はCトーナメントに出場するので、今回は観戦である。夏希(アリス)は必ず決勝に進む。だから、敵情視察である。


どんな敵がいるのか。勝敗を左右するのは実力もそうではあるが、情報である。つまり、情報収集はした方がいいのだ。その点、クロは情報を与え過ぎた。きっと、決勝では対策が取られていることだろう。


 しかし、それを言うなら(ナイト)、そして夏希(アリス)の方が対策を取られているだろう。今まで、何人もの人間と戦ってきた。全力を出さなきゃ勝てない相手もいた。つまり、(ナイト)夏希(アリス)の手の内はすべてバレている。


 だが、それがどうした! 手の内がバレている? 対策済み? そんなもの知るか! 勝てばよかろうなのだ! 終わり良ければ総て良しという素晴らしい言葉があるではないか! まったくその通りである!


「! ……なぁ、アリス。あいつどう思う?」

「うん、強いと思う。しかも、かなりやり込んでるよ。一対一で戦ったら、勝てるかわかんないよ……」


 二人がそう称賛したプレイヤーの名前はクライヴ。操作している人間はとてもガタイがよく、強面の人だが、アバターは好青年である。やはり、アバターではみんなイケメンになるのだろう。ネット、怖い。


クライヴの職種は魔法と剣を巧みに扱う魔法剣士(マジカルセイバー)。両手剣を持っている上にかなりの重装備だ。クライヴの方が、ナイトより騎士してる。しかも、魔法を使えるので、魔法が全く使えないナイトより優秀かもしれない。


 しかし、魔法剣士(マジカルセイバー)はナイトの剣王(ソードマスター)よりも物理では弱い。小競り合いになれば、力負けしてしまうだろう。だが、魔法を使える分、中距離にも対応できる。その点、剣王(ソードマスター)は近距離。離れられたら厄介である。


 だが、それだけなら夜と夏希が強いと称賛する理由にはならない。クライヴが強い理由は、その洗練された無駄の無い動きである。


 相手は戦士(ウォリアー)。手に持っている武器は両手斧。小競り合いが苦手な魔法剣士(マジカルセイバー)にとっては苦手な敵である。だが、クライヴは互角、否、互角以上に張り合っていた。むしろ、戦士(ウォリアー)の方が動き辛そうである。


 クライヴが使う戦法はヒット&アウェイ。剣で斬って魔法を放つ魔法剣士(マジカルセイバー)の基本的な、テンプレな戦い方だ。だからこそ、その動きに無駄はなく、とても洗練されていた。それが、ナイトとアリスを戦慄させた理由である。


 あれほどの動きは並大抵の努力で出来ることではない。きっと、色々な試行錯誤の上で手に入れた技術だろう。だからこそ、厄介で強大な敵と成りえるのだ。


「きっと、あのクライヴって奴は決勝に上がってくると思う」

「うん、僕もそう思う」


 今も、スクリーンで見る限りは、クライヴが優位に立っている。戦士(ウォリアー)も苦戦しているようだ。言葉は悪いが、脳筋タイプな戦士(ウォリアー)にとって、ヒット&アウェイは辛いだろう。なんせ、攻撃が当たらないのだから。しかも、振り回すのは両手斧。隙が大きすぎる。誰だ、魔法騎士(マジカルセイバー)が小競り合い弱いって言いだしたの。まず、小競り合いなんねぇじゃねぇか!


 そうして、ほとんどダメージを与えることが出来ないまま、戦士(ウォリアー)はHPが0になり、クライヴの勝利となった。随分と余裕な試合だった。


 その所為だろうか、会場が静かまでとは言わないが、そこまで熱くはなっていなかった。おい、お前等、さっきのあの盛り上がり様は何処行った! とツッコミたいレベルである。それほど、盛り上がりに欠けた試合だった。


 その後も、Bトーナメントは滞りなく進んでいき、決勝トーナメントに出場するのは魔獣使い(モンスターテイマー)の女の子、ベールと、夜と夏希が必ず決勝に上がってくると予想、否、確信していた魔法騎士(マジカルセイバー)のクライヴだった。


 二人はやっぱりか、と内心不安になっていた。クライヴはかなりの強敵である。何度も言っているが、この世に絶対という概念が存在するわけがないので、負ける場合もあるのだ。だから、正直言えば、負けて欲しかった。まぁ、クライヴが負けたら、負かした相手の方がさらに強敵ということなので、現状が悪化するところだったので、まぁよかったといえるだろう。


「まぁ、いくら相手が強くても……」

「うん、どんなに強くても……」

「勝つのは俺だからな」「勝つのは僕だからね」


 そうして、Bトーナメントが終わった十分後、Cトーナメントが始まった。やっぱり、三十分も休憩を取ったのは観客を落ち着かせるためだったようだ。夜は内心、大会の運営さんに謝罪の言葉を贈っていた。


ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。

さて、今回はいかがでしたでしょう。あまり進展はありませんでしたが、楽しんでいただけたなら幸いです。

まさかここまで長くなるとは正直思ってませんでしたw もうSaM編だけで一章と同じくらいの文量なりそうなんですけど……w

まぁ、一章がやけに短かったのであれですけどね。

それと、100話記念番外はもう少しお待ちください。中々いいのが浮かばないんですよ。何を書いても100記念としてダメだと思うの結論に至ってしまって……。というわけで、お待ちくださると嬉しいです。下手をすれば、200話の時に100記念! って出してそうですけど……。やべぇ、シャレならん。

さて、今回はこの辺で。というか、昨日夏希の出番とか言って、結局夏希戦ってませんね、すみません。

それでは次回お会いしましょう。ではまた。

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