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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
5章 ヤンデレ妹たちはひと夏の思い出を作るそうです。
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おにいちゃん日記

 あかりとペアリングを買いに行った翌日のこと。やっぱり、夜は暇だった。部活もない、友達も少ない夜にとって、夏休みは暇な時間でしかないのだ。学校が休みだということは嬉しいが。


 夜は朝食を食べながらSword and Magicを起動した。毎日ログインはしていたが、ここ最近忙しくてあまりゲームを出来ていなかったのだ。SaMを起動するとなにやらチャットが盛り上がっていた。どうやら、今日、SaMの公式大会があるようだった。


「大会か……。今まで出たことないんだよな……」


 SaMは公式ではない大会もいくつか開催されている。勿論、夜が住む近くでも大会が行われていたこともある。しかし、夜が出場することはなかった。


 SaMで最強と呼ばれている夜だが、夜一人で最強ではない。夜と夏希――ナイトとアリスの二人組が最強と呼ばれているだけなのである。つまり、夜一人が最強ではないのだ。それに、ネットで配信されている大会で顔を出したくなかったというのも一つの理由だ。まぁ、本音を言えば一人で行くのが怖かっただけだったりするのだが。


「ま、何処でやるかもわからないし、今回も出ないし、気にしなくてもいいか」


 そうして、SaMを閉じようとしたその時、インターホンが鳴った。夜はこんな時間に誰だ? と思いながらドアを開けた。すると、そこには……。


「おはよ、ナイト! 遊びに行こ!」


 そこには、夏希がいた。しかも、手に何かを持って。


「いきなりどうしたんだ? 夏希」

「ナイト、これ見てよ!」


 そう言って、夏希が夜に見せたものは持っていた何か――先程SaMのチャットで盛り上がっていたSword and Magic公式大会のお知らせが書かれている一枚の紙だった。


「ナイトはこのこと知ってる?」

「あぁ、さっき知った。それで? これがどうしたんだ?」

「うん、それがね?」


 夏希曰く、昨日あかりとペアリングを買ったあのショッピングモールでSaMの公式大会が開催されるようだ。普通、大会ってどこかを借りるんじゃないのか? ドームとか、何処かを……。


 そして、開催時間までに申し込めば当日参加も可能のようだ。優勝賞品はSaMでプロフィールに表示できる特別な称号、トロフィー、そして、欠けたリンゴの書かれたカード一万円分らしい。


「へ、へぇ、あのショッピングモールか……」

「うん! それで、ナイト。今から行かない?」


 正直、公式大会に出て顔を出すのは怖い。だがしかし、公式大会には申し訳ないが、暇つぶしには最適だろう。それに、夏希が誘ってくれたのだ。元々、誰かに誘われたら行ってもいいかな? と思っていたので丁度いい。夏希、ナイスタイミング!


「おし、行くか……と言いたいところだが、その前に書置きしてかないと」

「あ、そういえばあかりいないね?」


 そう、珍しいことにあかりがまだ起きてこないのだ。きっと、昨日嬉しすぎて眠れなかったとかそんなところだとは思うが。一応、急にいなくなっていたらあかりも困惑する共うので書置きくらいはしていかなくては。


 夜は「夏希と遊びに行ってくる」と紙に書き、朝食と一緒に置いた。


「これでいいか。それじゃあ、夏k……、アリス! 行くぞ!」

「うん!」


 夜と夏希――ナイトとアリスは大会が開催されるショッピングモールへと向かった。目指すは優勝ッ!




 朝だというのにカーテンも開けず差し込む光が遮られ、薄暗い部屋の中であかりはノートにペンを走らせていた。


「おにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃん……。えへへ、おにいちゃぁん……」


 と、連呼しながらあかりはひたすらにペンを走らせる。普通にホラーである。


 あかりが今書いているもの。それは、“おにいちゃん日記”である。“おにいちゃんノート”ではなく、“おにいちゃん日記”である。


 おにいちゃんノートが、夜について詳しく書いてあるノートだとしたら、おにいちゃん日記はその日その日の夜の行動、そして、自分がその時どう感じたかを詳しく綴ったノート。名前の通り、ただの日記である。そう、ただの……。


 流石に、夜の行動すべてを知ることはあかり(ストーカー)にも不可能だが、知れる限りのことは書かれてある。ここから、夜の行動を予測、予想出来る……わけではないが、あかりが毎日書くことを欠かさないものである。


しかし、こんな時間までかかったことは一度もなかった。それもそうだろう。昨日の分――おにいちゃん()に指輪を買ってもらえたのだから。夜への想いを綴りに綴っていたらノートが一冊分埋まってしまった。どうやら、自分が思っていた以上に嬉しかったようだ。まぁ、嬉しすぎて語彙力さんが何処かに旅に出てしまってはいるが、いつか戻って来てくれることだろう。ねぇ、語彙力さん?


「えへへ、おにいちゃんと一緒の指輪……。おにいちゃんから貰った婚約指輪……」


 言っておくが、夜があかりに買ってあげたのはペアリングであって、婚約指輪では決してない。


 あかりはおにいちゃんノートとおにいちゃん日記をしまい、リビングへと向かった。しかし、そこにいるべきはずの夜の姿はなかった。


「あれ? おにいちゃん? もしかして、まだ寝てるの?」


 そう思い、夜の部屋へと入ったが、そこにも夜の姿はなかった。


 どこにいるの? と思いながらリビングへと戻ると、夜が作ってくれたのであろう朝食と一緒に一枚の紙が置かれてあることに気付いた。そこには、夜の字で「夏希と遊びに行ってくる」と書かれていた。


 つまり、ずっと暇だったおにいちゃんを、夏希にNTR(奪われた)と……。


 夏休みがずっと暇だと思ってたのに。ずっと、おにいちゃんと一緒にいれると思ってたのに……。


「おにいちゃん、早く帰って来てよ……」


 あかりの目らハイライトが消えた。さて、夜が帰ってきた時、あかりはどうなることやら……。


ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。

さて、今回はいかがでしたでしょう。あかりの新たなノート〝おにいちゃん日記〟が増えましたw 因みに、今まで書いた数は十を超えるんだそう。どんだけ書いたんだ……。

それと、今回から3,4話くらいSaM編は続きそうです。書いてたら文字数が……。

さて、今回はこの辺で。本当に話すことがないw 唯一言えるのはアイコン書いてますw←小説書け!w

それでは次回お会いしましょう。ではまた。

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