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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
4章 ヤンデレ妹の兄は新入部員の夢を応援するそうです。
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受賞者発表

毎日投稿二日目!

 翌日、玲奈は二次元部部室にて辞めるということを夜達に伝えた。大賞を取ったら辞めなくてもいい、諦めなくてもいいとは言われたが、昨日、夜と電話で話した通り、大賞なんて取れない。つまり、玲奈は二次元部を退部、そして、小説家という夢も諦めなくてはいけないのだ。


「ごめんなさい。今まで、お世話になりました」

「そっか。まぁ、その……、いつでも遊びにおいでよ?」

「……ありがとうございます、瑠璃先輩」


 その後、玲奈はあかり達とも別れを済ませ、みんなで遊びに行くことにした。と言っても、玲奈がいなくなるというのに、楽しめる訳もなかった。


 玲奈も、みんなを不安にさせないように笑ってはいるが、見るに堪えない痛々しい笑顔だった。どれだけ、自分の心を偽っても、自然と伝わってしまうものなのである。それが、自分の人生を左右するような問題だ。その不安は、悔しさは、後悔は、隠し通せるものではない。


 しかし、そんな玲奈に、誰も話しかけられなかった。掛けるべき声を見つけることが出来ない。優しい声を掛けたところで、今の玲奈には苦しいだけだ。何処かの名探偵が言っていた通り、言葉は凶器となる。一度言ったことは取り返しが聞かない。だから、そんな簡単に玲奈に声を掛けられないのだ。


 そうして、何も出来ないまま部室へと帰ってきた。夜は、部室に入るとすぐに、


「瑠璃、あかり達を頼めるか?」

「! ……わかった。それじゃあ、玲奈クンを任せたよ」

「わかった」


 瑠璃は夜の一言だけで理解した。どうして、夜が瑠璃を頼ったかというと、同じような境遇を経験した瑠璃ならば、今の玲奈の気持ちも理解できると思ったのもあるが、何よりも、瑠璃ならばあかり達を任せられるからだ。それほど、信頼しているのだ。


「レイ、少しいいか?」

「ルナ、先輩……?」

「おにいちゃん? 二人きりで何をするの? わたしも……」

「ほら、あかりクンはこっちね。夏希クンと梨花クンもね」

「はい……。ナイト、またね?」

「夜、出来るだけ早く戻りなさいよ?」


 あかりは、いやだいやだ! と抵抗していたが、虚しくも瑠璃に連行された。夏希と梨花はそれに続く。


「あの、ルナ先輩? どうしたんですか?」

「……いやぁ、その、あれだ。うん、あれだよ、あれ……」


 玲奈の目が物凄く冷たい。


「……はぁ、ダメだな、俺……。何を言ってもレイを悲しませそうだ……」

「その、お気遣いなく……。私は大丈夫ですから……」


 玲奈を気遣うどころか逆に気遣わせてしまった。一体、何をしているのか……。


「ホントにか?」

「え……?」

「本当に、大丈夫なのか?」

「……」


 夜の言葉に、玲奈は俯いた。


「気が利かなくてごめん。大丈夫な訳がないのにな。でもさ、無理はしないでくれ。みんな、心配してるからさ」

「せん、ぱい……」

「レイ、俺にはレイがどれだけ悔しいかなんてわからない。わかるわけがないよな、他人の考えてる事なんかわからないんだから」


 もし、他人の考えていることがわかったら、それは超能力者か何かだ。現実的には、他人のことなんか他人にはわからないのだ。わかるわけがないのだ。


「俺に出来ることはする、とは言わない。昨日、何も出来なかったばかりだし、俺に出来ることなんかたかが知れてる。それに、今のレイが望むことを俺は出来ない」

「……」


 今の夜が、レイにしてあげられることはない。その機会を、自分から棒に振るったのだから。今更、どの面下げて何を言っているんだ、と言われるだろう。


「でもさ、レイには幸せになってもらいたいんだよ。あかり達もそう。何にも出来ないから、ただ幸せであることを願う。自分勝手だとは思うけどな」


 その人によって、幸せの定義は違うだろう。押し付ける者でもない。幸せとは、自分でつかみ取るものだからだ。だが、願うくらい、いいではないか。祈るくらい、いいではないか。


「……って、何言ってんだろうな、俺。結局、俺は何も出来ないんだな」

「そんな、そんなことはないです! ルナ先輩の言葉、嬉しかったです……!」


 これが玲奈の本心だった。確かに、部活を辞めなくてはいけないことは悔しかったし、小説家という夢を諦めなくてはいけないことに涙した。それでも、不器用なりに気を遣って、出来ないなりに何かをしようとしてくれる夜の優しさが嬉しかったのだ。


「……ルナ先輩、今から小説の取材、いいですか?」

「……協力するよ。それで、俺は何をしたらいいんだ?」

「背中、貸してもらえますか?」

「……わかった。終わったら言ってくれ」

「はい……」


 そして、玲奈は夜の背中に顔を埋め、泣き出した。今まで我慢していたものが、涙へと変わり流れ出したのだ。涙は流れたが、思い切り泣くことは出来なかった。そこに、無理はするなと、幸せになってと言われたのだ。この涙は、もしかしたら嬉しさが変わった者なのかもしれない。




 数日後。遂に、運命の日――応募していた大賞の受賞者発表の日が来てしまった。


 玲奈は二次元部の部室でみんなで結果の発表を待っていた。


「よかったのか? レイ。みんなで結果を見て」

「はい。折角ですし、最後くらいはみんなでいたいなって思って……」

「そっか……」


 最後くらいは、という言葉に、夜達は暗い表情になった。わかっていたとはいえ、やはり思うところがある。


「ところで、発表される時間とか決まってるのか?」

「はい、えっと……、確か四時三十分だったはずです」

「三十分まで、あと三十分だね……。私まで緊張して来たよ、玲奈クン……」


 刻一刻と進んでいく時間。しかし、こういう時の時間の流れはとても長く感じてしまうものである。


「あぁ~、くそ! 早く四時半になれよ!」

「おにいちゃん、どうして自分のようにそわそわしてるの?」

「いや、だってそうだろ。レイの夢が……、あ~、今の無し。とりあえず、緊張するんだよ……」

「ありがとうございます、ルナ先輩」

「感謝されるようなことしてないんだけどな」

「そんなことないです。本当に、ありがとうございました」

「……ました、か……」


 そうして、受賞者発表の時間――四時三十分となってしまった。


 玲奈は受賞者の名前が発表されるウェブサイトを開いた。画面には、「受賞者発表!」の文字が書かれていた。下にスクロールしていくと、名前が書かれていた。


 そこに、玲奈の名前はあった。見事、受賞していたのだ。しかし、受賞した賞は、大賞ではなかった。


ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。

さて、今回はいかがでしたでしょう。楽しんでいただけたなら幸いです。

……少し、心が痛いです。展ラブのためとはいえ、玲奈を泣かせるとは……。まぁ、今まであかりとか瑠璃とか夏希とか梨花とか……、って全員泣かせてるので今更なんですけどね。

あと、同じような表現がしつこいほどあると思うんですけど、それは俺が何とかして文字数を多くしないと! という苦肉の策です。お許しください。最低でも二千五百文字は欲しいんです。最初の頃だったら一話千文字だったんですけどね。

さて、今回はこの辺で。

それでは次回お会いしましょう。ではまた。

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