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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
4章 ヤンデレ妹の兄は新入部員の夢を応援するそうです。
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七夕番外Ⅰ 願い事

七夕を記念とした番外編ですので本編とはまったく関係ありませんのでご注意を。

 七月七日。いつの日かバラバラになってしまったわし座のアルタイルこと彦星、こと座のベガこと織姫が一年に一度会えると言われている何処のラブコメだとツッコミたくなるロマンティックな日である。


 日本では笹に願い事などを書いた短冊を吊るすのが主流だったりする。


 そんな今日、二次元部では……。


「はぁ、お前なぁ……」


 あかりの書いた短冊を見て、夜は深々とため息を吐いた。別に一人一枚が普通だというのに一人十枚くらい書いているということにため息を吐いているのではない。別にそれはいいのだ。一人何枚というルールは基本的にないのだから。夜がため息を吐いている理由は別にあるのだ。それは……。


――おにいちゃんにあ~んしてもらいたい。

――おにいちゃんに膝枕してもらいたい。

――おにいちゃんとデートしたい。

――おにいちゃんに甘えたい。

――おにいちゃんに初めてを。

――おにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃん……。


 そう、あかりの書いた短冊には全て夜とやりたいことが書かれているのだ。一体どれだけやりたいことあるんだ!? と驚かざるを得ないほどのお願いの数々。よくこれだけ思いついたものである。


「あかり、俺とやりたいこと以外の願いはないのかよ……」

「え、ないよ? 最終的にはおにいちゃんと結婚してわたし以外の女に会えないように監禁しようとは思うけどその前にたくさんしたいことがあるんだもん」

「あかり、その願いは無理だ。まず兄妹で結婚出来ないししてたまるか! 何だよ監禁って!? 愛が重ぇよ! せめて夏希達には会わせろよ!」


 そこは普通に生活させてくれよ! と頼むところだろうが、どうやらあかりに毒されてきたらしい。夜はもうダメかもしれない。あかり、恐るべし。


「それで? お前等は何書いたんだ?」


 夜は話題転換すべく夏希達にへと話しかけた。あかりはと言うとまだあったのか恐るべしスピ―ドで短冊に願いを書いていっている。おにいちゃんと、おにいちゃんと……! とか聞こえてくるがそれは夜の聞き間違いかただの空耳だろう。そうに違いない。違いない……よね?


「僕はこれだよ!」


 夏希は一枚の短冊を夜に渡した。夜はこっちは一枚でよかったと内心ほっとしながら短冊の内容を見た。別に見せろとは言っていないのだが……。まぁ、見てもいいよね、うん。


――ナイトとゲームしたい、ナイトと遊びに行きたい、ナイトとナイトとナイトとナイトとナイトと……。


「お前もかよ! はぁ、一枚だと思って油断してた……。夏希、こんなにあんなら別の紙に書け、な?」

「うん、そうするよ!」

「あ、まだあったのな……」


 あかりの願いは無理だが、夏希の願いくらいならわざわざ短冊に書かなくても叶えられるというのに。でも、願い事の数ならもしかしたらあかりを越えているかもしれないと思うと少し怖くなってくる。至って普通の願い事であることを願いたい。


「わ、私はこれよ」


 頬をほんのりと赤く染めながら梨花は夜に短冊を渡した。恥ずかしいのなら別に見せなくてもいいのだが。まぁ、何を書いたんだ? と言った夜が悪いだろう。内容を口で言うよりも内容を見せた方が早いのだ。百聞は一見に如かずである。


――これからもみんなといられますように。


「お、梨花は普通なんだな」

「そ、そうよ? 悪い?」

「いや、むしろ安心した」


 あかりと夏希があれだったので少しの怖さがあったが普通の願いで安心した。みんなといられるように。簡単なように思えてこの願いの実現は意外と難しいのだ。いつまでもこの関係が続くという保証は何処にも無いのだから。


 それでも、いつまでもと願わずにはいられないのだ。今が一番楽しいように、今の関係が一番心地良いようにといつまでもと願いたくなるのだ。


「その願い、叶うと良いな」

「う、うん……」


 梨花はいつまでも一緒にいたいと一番思う人に叶うといいなと言われて、顔が真っ赤に染まる。しかし、恥ずかしいのに嬉しさで頬がにやけてしまう。ある意味幸せそうな表情である。しかし、梨花のそんな思惑が手に取るようにわかるとある妹様は不機嫌である。夜さん逃げて、超逃げてぇ!


「それで瑠璃は何書いたんだ?」

「ん、私かい? その、恥ずかしいんだが、夜クンになら……」

「あ、じゃあいいや。レイは……」

「わかった、見せるから! だから私を無視しないでぇ!」


 夜は悪かったと謝りながら瑠璃の短冊を受け取った。


――夜クンが私を好きになりますように。


「瑠璃……」

「そ、そんな目で見ないでよ! いいじゃないか、何を願っても!」


 夜のまるでゴミを見るような目に耐えられなくなった瑠璃は頭を抱えていやんいやんと振っている。確かに、瑠璃はあの日私を好きにさせて見せる! と宣言した。だが、それを願うのは違うのではないだろうか。


 夜は瑠璃の短冊を破り捨てた。ビリッビリに、バラッバラに。


「あ! 何をするのさ夜クン!」

「瑠璃、これは自分がすべきことじゃないのか? 確かに願ってもいい。それはその人の自由だ。けど、俺は無理やり惚れさせられても付き合いはしないと思う。他人の力を借りずに惚れさせてくれ。じゃないと瑠璃も嫌だろ?」

「うん、そうだね。今年で卒業だからさ、少し焦ってたのかもね。気付かせてくれてありがとうね、夜クン。それとさっきの言葉、私に惚れてくれるってことだよね?」

「それはどうだろうなぁ……」

「そんなぁ、女心を弄ぶなんて大罪だよ、夜クン!」


 あの日、瑠璃を助けたあの日の可憐に咲き誇る花のような笑顔に惚れかけたとは口が裂けても言えない。墓まで持って行かないとどっかの誰かに殺されそうである。誰とは言うまい。今もおにいちゃんと、えへへ……とか笑いながら恐ろしいスピードで未だに短冊を書き続けている奴だなんて言うまい、言うまいよ……。


「私のはこれです」


――小説家になれますように。


「うん、レイはこうじゃねぇとな」

「る、ルナ先輩どうして嬉しそうなんですか?」


 レイらしくまともな願い事だからです。


「あ、そうだ。おにいちゃんは何を願うの?」

「そうだよ、ナイトは何を願うの?」

「そうね、私達だけが教えるってのは不公平だわ」

「恥ずかしくても見せなきゃね、夜クン」

「ルナ先輩、私にも見せてください」

「お前等どうしてこんな時にだけ仲がいいんだよ……」


 五人は一斉に遠くを見つめだした。まるで、図星を指摘されたのを隠すかのように。確かに五人は仲が良かった。こういう時にだけ、だが。


「はぁ、そんなに知りたいんなら笹に吊るした時にでも見てくれ」


 えぇ……、と落胆する五人を尻目に夜は自分の書いた短冊を見た。自分の願い事を。


――みんなの願いが叶いますように。


ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。

またまたお久しぶりとなってしまい申し訳ないです。学校祭が忙しかったんです。責任者でしたし。色々あったんだよ、察してくれ頼みます……。

だが、今日で学校祭は終わったんで投稿頻度は上がる(?)と思います。出来るだけ頑張ります。

でも、七夕って言われてもいまいちピンとこないんですよね。北海道の七夕って八月七日ですからw

まぁ、楽しんでいただけたなら幸いです。

明日明後日には詩和一周年記念Ⅴが出ると思います。それがラストです。本編へと戻ります。ですが、あくまで予定ですので……w

さて、今回はこの辺で。

それでは次回お会いしましょう。ではまた。


※アンケートはなかったことにして、番外編は夏希を中心とします。何故かって? 俺が一番好きなのは夏希だからだ!

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