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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
4章 ヤンデレ妹の兄は新入部員の夢を応援するそうです。
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詩和翔太一周年記念番外Ⅳ 愛って怖い

今回の番外編は、〝展ラブ〟と〝死姫〟のコラボです。

読んでいない方に興味を少しでも持っていただけたらなぁ、という詩和の考え(宣伝)です。

本編にはまったく関係ないのでご注意を。

 魈と綾が転校してから三日が経過していた。初日にクラスメイトから罵倒という罵倒を浴びまくった魈だが、今では完全になくなっていた。最初の頃はもしかしたら俺にもチャンスがあるのでは!? と思っていた男子連中も納得したのだ。これは無理だと。


 授業時間も魈を見てにこにこしているし、休み時間は必ず話しかけに行っている。昼ご飯も一緒に食べているし、部活までも同じ。ここまでされてしまっては認めざるを得ないだろう。それでも、諦めなかった男子生徒は綾に告白をしたのだが、


「えっと、私が好きなのは如月君だから……」


 の一言で見事に玉砕された。どうして自分から傷つきに行くのかはわかりかねないが、人は必ずしも諦めたらいけない時があるのだ。それが、今と言われたら否定するが。


「いやぁ、にしても光崎さんは人気だなぁ」

「あはは……、でも二次元部のみんなも人気なんでしょ? ね、ハーレム王さん?」

「お前、何度殴られれば気が済むんだ? あぁ?」

「冗談だって、冗談。……夜君、待って? 一旦落ち着こう。冗談だから、……って……、ちょっと待とう!?」


 最近はクラスメイトの男子より夜にボロボロにされることの多くなった魈さん。しかし、こういうやり取りが友達らしくて魈は嫌いだった学校を少しずつ好きになっていった。その度にドM? と言われるがそこは断固拒否している。綾のフォローも虚しくなるだけである。まず魈はMではない。


「如月君、大丈夫? ケガしてない?」

「う、うん大丈夫だよ。ちょっと痛いけど夜君も手加減してくれたんだろうし」

「え?」

「「え?」」


 夜は視線を逸らした。どうやら本気で殴ったらしい。夜さん、意外と力はないようだ。それでも、人を後頭部から床に倒せるほどの力はあるようだが。二次元の主人公の力の強さは一体どうなっているのだろうか。普通は殴っただけでは人は飛ばないというのに……。


「そう言えば魈達はいつまでいるんだっけ?」

「えっとそうだなぁ……。土日を挟んで月曜まではこのクラスにいると思うよ。火曜日からは元の学校に戻らなくちゃ」

「転校生ってよりは留学生みたいなもんなのかもな。国同じだから留学ではないけどさ。でもそうか、今日が木曜日だからあと四日しかいないのか」


 四日。それは長いようで実は短い時間である。一週間が経つのがあっという間に感じるのだから、四日なんてすぐに経ってしまうのだろう。折角、二次元部のみんなとも打ち解けてきたというのに。特に夏希が懐いていたように感じる。今はSaMのPKの方法を教えてもらっているらしい。それでも、二人がバトルしたら夏希は一瞬で殺されるのだから魈がいかに強いかがわかるだろう。流石はタイマン最強のプレイヤーである。手加減してぇ! と夏希が泣いていたが集団戦最強の一人としてのプライドはいいのだろうか……。


「おし、じゃあ最後の部活の内容は決まったな」

「え、なにするの?」

「いや、魈達は気にしないでくれ、こっちの話だ。それよりも、今日の部活を楽しもうぜ」

「う、うん。そうだね」


 夜が一体何がしたいのか、疑問に思う魈だったが夜に言う気が無いように感じたので聞くようなことはしなかった。しかし、言ってくれてもいいんじゃないのかな? と心の中では思ってしまう。


「じゃあ、俺は夏希ちゃんを今日もボコボコにしようかな?」

「お前優しそうなのに結構鬼畜だよな。少しは手加減してやってくれよ? 毎日特訓に付き合わされる俺の身にもなってくれ」

「それは無理だよ。ゲームだからこそ手加減しない、常識でしょ? それと俺があんな風に接するのは夜君と夏希ちゃんくらいだけど……」


 夜は魈のことを鬼畜と言ったが、それは夜と夏希に対してだけである。親しい人にだけ、魈は本心を曝け出せるのだ。これがクラスメイトとかだったら魈は基本何も喋らないだろう。コミュ障というわけではないし、人見知りという訳でもない。ただ、少しの人間不信なのだ。日常生活に支障はないのだが、人と関わることがあまり好きではないのだ。魈にも色々あったのである。


 因みに、魈と綾は別に友達ではない。綾が一方的に関わってくるだけであって、クラスの男子共が考えているような関係では決してない。もし、そんな関係なら魈が綾と話すのを嫌がるわけがない。嫌がるのは、綾が嫌いという訳ではない。ただ、クラスの男子共の視線が痛いのだ……。


 そして、時間が過ぎていき部活の時間となった。今、魈と綾はこの場にはいない。二人で買い物に出かけてもらっている。別に二人きりの時間(、、、、、、、)を作ってあげようという夜の仕返し(お節介)ではない。二人がいない時間(、、、、、、、、)を作りたかったのだ。


「それで? 如月君と綾ちゃんを買い物に行かせた理由は何なのよ?」

「梨花クンの言う通りだね。一体何故なんだい?」

「二人がいたら意味がないからだ。サプライズをバラしたら面白くないだろ?」

「でも、ナイト。何のサプライズをするの?」

「あぁ、来週の月曜日、つまりあと四日後。それが魈達がこの学校にいる最後の日だ。だから最後にみんなで楽しみたいんだ」


 夜が言っていた最後の部活の内容とは、魈と綾を楽しませたいというものだった。初日は他所他所しかった魈と綾だったが、この数日で仲は深まっていった。人と接するのが苦手な夏希が魈に懐いているのがその証拠である。


「でもおにいちゃん。どうしてそんなに魈さん達が帰るのが早いの?」

「えっと、理事長の話によれば交換留学的な物らしい。魈の学校の校長と親しいらしくてな、それでお互いの生徒を交換して学びを深めさせようっていう目的らしい。向こうからは魈と綾が、こっちからは柊也が行っただろ?」


 あぁ、そういえばと梨花はここ最近見なかった柊也の顔を思い浮かべる。どうやら、魈達のいた学校に行っているらしい。昨日、夜に届いたメールによると『この学校可愛い女子ばっかいるんだけど! でも、クラスの中心の優輝って奴にみんな恋しているらしいぞ。俺、お前みたいなハーレム野郎を見たの二度目だよ』らしい。向こうは向こうで楽しんでいるようで何よりである。しかし、魈の話によればあまりいい雰囲気のクラスではないとのことだったが、柊也の楽しみようを見ればそんなことは無いように思える。まぁ、帰ってきた時、柊也の人生は夜の手によって終わるだろうが。


「なるほどね、それで最後の月曜日に思い出を作ってあげたいと」

「まぁ、そういうことだ。折角友達になれたってのにすぐお別れじゃ寂しいからな」

「うん、もっとゼロ先輩と遊びたかった」

「綾さんともっと話していたかったです……」


 夏希は魈がいなくなることに寂しさを覚えていた。他のみんなも少しの寂しさを感じてはいるだろうが、それでも一番寂しそうなのは夏希だった。夜以外で初めてゲームで仲良くなれた友達なのだ。そして、SaMの戦闘においての師匠でもある。二次元部で魈と一番仲がいいのは夜では無くて夏希なのかもしれない


 そして、綾がいなくなるということに一番寂しさを覚えていたのは意外にもあかりだった。きっと、二人は気が合ったに違いない。何処がとは言うまい。少し狂気的なほどの好意を向けているなんていう共通点で仲良くなったなんてことはないはずだ。ないはずなのだ……。


「た、ただいま~。やっと着いたぁ……」

「頼まれてきたもの買って来たよ? あかりちゃん、これでいいかな?」

「はい、大丈夫です。ごめんなさい、雑用頼んで」

「ううん、如月君といれて私は嬉しかったよ♪」

「うん、わたしもおにいちゃんといれてよかったです♪」


 やはり、どこか共通点があるように思えるあかりと綾。夜と魈は見つめ合いながら頷いた。即ち、俺達は何も見なかった、何も関係ない、と。この二人を一緒にしたら何が起こるかわからないのだ。軽いホラーである。この前も振り向いたら満面の笑みでいたのだ。ご丁寧に演出まで凝っていた。怖すぎる。


「それで、夜君。俺達がいない間は何をしていたの? ゲームとかはしていなかったみたいだけど」

「あ、それはね。二人がいな……んぐっ?」

「夏希は黙ってろ! なんもねぇよ? 二人が帰ってきたら何しようか話してただけだぞ?」


 何かを話そうとした夏希の口を押さえながら誤魔化す夜。何処からどう見ても怪しかった。逆に、これで怪しまれないと思っているのだろうか、と疑いたくなる怪しさである。だが、人には一つや二つ隠し事があるのだからしょうがないか、と魈が聞くことは無かった。無理に聞く必要も無いだろう。


「……ったく、折角のサプライズをバラしてどうすんだよ」

「ご、ごめんね、ナイト。それで、結局どうするの?」

「月曜日にみんなで遊びに行く」

「え、でも夜クン。学校があるのにどうするんだい?」

「それはもう梨花の父さんに頼むしかないだろ。こういう時こそ、あの理事長ならわかってくれる」

「うん、私もそう思うわ。ほんとに、あれで理事長が務まっているのかしら……」


 きっと、あの理事長もやるときはやる男なのだ。きっと、そうきっと。


「あ、あのぉ、話し合いは終わったかな?」

「あぁ、終わった。誰がゲーム上手いのか格ゲーでトーナメント戦やろうぜ」

「お、いいね。俺、負けないよ?」


 ということで、みんなで格ゲーをやることになった。決勝戦はまさかの綾とあかりの対決だった。準決勝でそれぞれ当たった夜と魈は後にこう語ったという。


「あんなの、チートだよ、チーターだよ。だって、瞬時に後ろに現れて抱き着いてくるんだぞ? そんなのキャラの技に無かったんだぞ? しかも、『もう離さないからね、おにいちゃん』とか言うし。もう、あいつとはやりたくねぇ……」

「あはは、俺初めて見たよ、あんな戦い方。何もせずに近づいてきたと思ったら押し倒されてるし、しかもキスまで始めちゃってるんだもん。どうして格ゲーで気まずい空気が作れるのかな? というか、あれは戦いだったのかな? 『如月君、如月君、如月君如月君如月君如月君如月君……』とか横で呟いているし。もう、光崎さんとはやりたくない。襲われたくないよ……」


 まさかのゲーム内でも狂気的な愛を見せつけていたあかりさんと綾さん。運営に掛け合ってみたところ、やはりそんな技は実装されていないという。一体、あれは何だったのだろうか。きっと、知らない方が身のためだろう……。


ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。

さて、かなり時間が空いてしまい申し訳ありません。別に、言い訳をするという訳ではないのですが、ここ最近学校祭の準備で忙しくてですね? いいわけですね、すみません。

しかも、その学校祭が一週間もしない内にあるんですよ。大変です……。人見知りが全校生徒の前に立ったらどうなるのか、取材と思うんだ俺ぇ……!

さて、話が逸れましたね。さて、今回はいかがでしたでしょう。愛って怖いね。あの四人の行きつく先には何があるのか……。

それと、展ラブの総合評価が200pt、ブックマークが100件を突破しました! 嬉しい! と言いたいところですが……、アンケートなんも来てないよ!? どーすんの俺!? てことで、もう締め切りも過ぎているんですが、もう少し伸ばします。それでも、来ないようでしたら俺の一番好きな夏希の番外編を書きます。え? あかりじゃないのかって? 夏希なんですよね……。

番外編の内容は、まぁ一人称視点の練習も兼ねて日記チックなことでも書きましょうか。え? パクリ? だってあれ面白いじゃん! 書いてみたいと思うじゃん! まぁ、それは書くことがなかった時の最終手段です。

さて、話がまた逸れてしまいましたがもう話すこともないのでこの辺で。

それでは次回お会いしましょう。ではまた。

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