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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
4章 ヤンデレ妹の兄は新入部員の夢を応援するそうです。
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膝枕、再び。

 ジェットコースターに乗った後、四人はまた乗る~と言い出し、夜が逃走を図ろうとしたがそれも虚しく失敗に終わり、再びジェットコースターに乗ることになってしまった。結果は言わずもがな……。


「嫌だぁ~、死にたくねぇ~」


 先程からベンチに横になりながら呻いてる。道行く人から変な目で見られているがそんなのは関係ない。気持ち悪いのだから仕方が無いだろう。文句なら夜を連れて行ったあの五人にして欲しいものだ。


 その五人はと言えば……。


「おにいちゃんを看病するのはわたしです!」

「いいや、僕がナイトを看病する!」

「いや、ここは隣にいた私が……」

「ここは彼女である私がするよ」

「「「あなたはいつまで彼女でいるつもりですか!」」」


 誰が夜を看病するかで口論していた。こちらも、道行く人から変な目で見られていたりする。だがそんなものは関係ない。大好きな人が苦しんでいるのだ。近くにいてあげたいのだ。例え、自分たちの所為で夜が苦しんでいようとも。因みに、夜が自分たちの所為で苦しんでいるなどあの四人は気付いていないが。


「ルナ先輩、大丈夫ですか?」

「「「「!?」」」」


 四人が口論している内に、玲奈は夜の傍に寄っていたらしい。ちゃっかり飲み物まで渡している。何という女子力か……。


「あぁ、レイか? 悪いな、でも今は飲めそうにないかな……」

「でも、飲んだ方が楽ですよね。ちょっと待ってください」


 玲奈はそう言うと、夜の隣に座り頭を持ち上げ自分の膝の上に置いた。所謂、膝枕である。


「ちょ!? れ、玲奈さん!?」

「じっとしててください。気持ち悪いのに動いたら余計具合悪くなりますよ? 口開けてください」

「え?」


 夜は疑問に思いながらも口を開けた。玲奈は、夜の口にペットボトルを突っ込んだ。


「!?」

「ほら、飲んだら楽になりますから」

「がほっ! ごふっ!」

「零さないでくださいよ。私の服にかかっちゃうじゃないですか」

「が、がばばばばばばばばばばばばばば……」

「「「「玲奈(さん、クン、ちゃん)ストップ~!」」」」


 膝枕、そして飲み物を飲ませるというあかり達からしてみれば羨ましすぎる行動に落ち込んでいたのだが、ちらっと見てみれば夜が溺れそうになっていたのだ。流石に止めなくてはいけない。だって夜が陸地で溺死してしまう。


「おにいちゃん、大丈夫!?」

「がふっ! あ、あかり、か? 俺何して……」

「玲奈さんに殺されかけてた」

「そんな! 私はそんなことしてません! してませんよ? してません、よね?」

「「「「「した」」」」」

「うぅ、すみません。ルナ先輩に元気になってもらおうと」


 天然でやったこととはいえ、自分がしてしまったことの重大さに落ち込む玲奈。夜は玲奈が好意でやってくれたことだとはわかっている。まさか、死にかけることになるとは思ってもいなかったが。


「まぁ、気にすんなよ。これでも嬉しかったからさ」

「「「「溺れさせられたことが?」」」」

「看病してくれたことがだ!」


 ジト目の四人は置いておこう。一体どういう風に考えれば殺されそうになったのを嬉しがれるというのか。夜はMではない。いや、Mでも殺されるのが嬉しいという人はいないと思うが。


「色々とありがとな」

「ルナ、先輩……」

「じゃあ、俺はもう少し横になってるから。頭痛いんだ……」


 そして、夜はそのままベンチに横になった。実はと言うと、立っているだけできつかったりする。溺れたことがとどめになったらしい。


「よし、じゃあ誰がおにいちゃんを看病するかじゃんけんで決めましょう!」

「「「お~!」」」

「お前等それが目的だったのか!?」

「あ、あはは……」


 そうして、夜の看病をめぐって再び熾烈な争い(じゃんけん)が幕を開けたのだった。




 夜の看病をもぎ取ったのは、まさかの梨花だった。梨花さん二連勝である。これが、最近影の薄かった幼馴染の力なのか……。因みに、負けた三人は四つん這いに崩れ落ちている。それを見て何あれ~? と指さす子供、そしてそれを「見たらいけません」と目を隠すお母さん。家の連れがすみません……と夜は心の中で謝罪の言葉を贈った。


「夜、大丈夫?」

「少しは落ち着いてきたけど」

「けど?」

「どうしてこうなったんだ?」


 今の夜と梨花は先程の玲奈同様膝枕なのだ。朝の時の逆である。


「こっちの方が頭痛くなくて楽でしょう? そ、それと恥ずかしいんだから言葉にしないでよ……」


 梨花は周りから向けられる視線が恥ずかしいのか頬をほんのりと赤く染める。恥ずかしいんなら最初からしないで! と夜は心の中でツッコむ。心の中で呟いたのは口に出したところで梨花は膝枕を止めないと知っているからだ。だが、内心夜は冷や汗を流している。理由はきっとお察しかと思う。


「オニイチャンヲ膝枕……。ズルイ……。オニイチャンハワタシノモノナノニ……」

「イイナァ、ナイトヲ膝枕出来テ……、イイナァ……」

「彼女ジャナクテ幼馴染ヲ取ルノカイ? 夜クン……」


 四つん這いが終わったかと思えば、先程から向かい側にあるベンチで瞳からハイライトを消し、ブツブツと何か呟いている人が三名。勿論、あかり、夏希、瑠璃である。あれは、相当落ち込んでいらっしゃる。なんか平仮名が片仮名になっているように感じるのは夜の気のせいだろうか。それと、瑠璃はいつまで彼女と言い続けるのだろうか。


「な、なぁ梨花?」

「どうかした? あ、もしかして撫でてほしいの? もう、夜ったら甘えん坊さんなんだから……」

「なぁ、お前キャラ変わってない? 絶対そんなんじゃなかったよね!?」


 梨花はにこにこと微笑みながら夜の頭を撫でる。


「ア、梨花サンガオニイチャンヲナデナデシテル。イイナァ……」

「ホントダネ。ナイト、ナンカ気持チヨサソウ……」

「夜クンノ浮気者……」


 向かい側ではあからさまに落ち込んでいるとわかる三人の中で、少し居心地が悪そうな玲奈がいた。道行く人はそそくさと走っていく。それが正しいよ。でも、助けてもらえるとありがたいかなぁ。


「なんか今日はもう疲れたなぁ。まだ昼前なんだけどなぁ……」


 夜のその呟きは、夜をなでなでして嬉しい梨花と、落ち込んでいる三人、その中で一体どうすればとあわあわしている玲奈の耳には届かなかった。 


ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。

さて、今回はいかがでしたでしょう。楽しんでいただけたなら幸いです。

さて、玲奈に天然属性が付与され、影が薄いとは言わせまいと努力する梨花さん。そして、ヤンデレ度が加速する三人。もう滅茶苦茶です。遊園地でやろうとしてたことからかけ離れてますw 勝手に動かないでぇ! と詩和は嘆いております……。

さて、同時刻ごろに先日言ったかと思われます〝好きなキャラアンケート〟を取ろうかと思います。今回は本当にご協力をお願いします。じゃなきゃ、番外編が書けませんから……。

投稿する日が、総合評価200、ブクマ100突破から三日後くらいにはしたいので、期限はそこまでですね。一応、展ラブに登場した全キャラに応募可能です。まぁ、ネタで書くのだけはやめていただきたいかな? 詩和的にはあかり、夏希、梨花、瑠璃、玲奈辺りを書きたいんでね……w

その辺をご理解いただいたうえで、アンケートへのご協力をお願いします。

さて、今回はこの辺で。

感想、評価等をいただけましたら、嬉しいです。本当に面白いのかなんて書いている本人じゃわからないですからね。

それでは次回お会いしましょう。ではまた。

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