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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
4章 ヤンデレ妹の兄は新入部員の夢を応援するそうです。
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おにいちゃんノート

 約束の週末。夜は集合場所の最寄りの駅へと向かっていた。因みに、いつも「一緒じゃなきゃやだ」と言っているあかりは今日は一緒じゃない。あかり曰く、おにいちゃんと待ち合わせがしたい、らしい。女の子とはそういったものなのだろうか……。


 夜は集合時間の二時間前には家を出発していた。頭では大人数で遊園地とか少し面倒だな……とは思っているものの、心の中ではかなり楽しみにしていたらしい。その証拠が早くに家を出たことだろう。だが、本当に心の奥底から楽しみではないのは、きっと思うところがあるからなのだろう。妹のこととか、妹のこととか、妹のこととか……。これだけ妹妹言っているとシスコンに見えてしまうのは気のせいだろうか……。


 最寄りの駅に着くと、ベンチに一つの人影が見えた。ベンチに座っていたのは、シャツの上にパーカーを羽織り、ミニスカにニーハイという恰好をしたあかりだった。遊園地にミニスカはどうなのだろうか……。


 夜に気付いたあかりは、夜に向かって手を振っている。夜も手を振り返そうとしたが、あかりの座っているベンチに置かれているある物に目が奪われた。


 ベンチに置かれているある物。それは缶コーヒーの空き缶で築かれた塔だった。一体誰が築き上げたのか。お察しのとおりである。


「おはよう、おにいちゃん!」

「お、おう、おはよう。なぁ、あかり。聞きたいことが……」

「おにいちゃん! 今日の私の服どうですか?」

「えっと、似合ってると思うぞ?」


 あかりは夜の言葉が嬉しかったのか、えへえへと顔を赤らめて笑っている。好きな人に褒めてもらえるのは嬉しいのだ。


「それで、あかり。聞きたいことが……」

「なんですか、おにいちゃん?」

「その缶コーヒーの山は何だ?」


 夜は缶コーヒーの塔を指さした。あかりは視線を逸らしつつゴミ箱の中へと空き缶を投げて入れていった。空き缶は放物線を描き吸い込まれるようにゴミ箱の中へと入る。あかりお見事。


「何もないよ?」

「…………あくまで誤魔化すのか。はぁ、じゃあ質問を変えるぞ? 何時間前からここにいたんだ?」


 あれほどの缶コーヒーの空き缶があったのだ。かなりの時間、ここにいたことになる。


「五時間前だよ?」

「……うん、今なんて言った?」


 夜の記憶が正しければあかりは五時間前と言った気がしたのだが……。


「五時間前だよ?」

「……」


 どうやら夜の聞き間違いではなかったようだ。今、目の前にいる妹様は五時間前からここにいるという。集合の時間は午前十時。そして、夜が来たのは二時間前の午前八時だ。そこから五時間前となると午前三時。つまり、あかりは深夜の内からここにいたということになる。


 女子高生が一人でそんな時間に駅前にいるのは危険なような気がするが、きっと危険な目になったのはあかりに話しかけた方なのだろう。ベンチの近くに少量の赤い液体が見えるのは夜が疲れているからなのだろう。


「……なんでまたそんな時間からいたんだよ」

「おにいちゃんが約束の時間より早く来るのは〝おにいちゃんノート〟でわかったから、あの四人を置いておにいちゃんとラブラブデートをしようと……」


 瞳からハイライトを消し、アハハと笑うあかり。ヤンヤンモード発動! 効果、おにいちゃんへの愛! おにいちゃんのためなら何でも出来る!


 夜は口を開けたまま呆然としてしまっていた。あかりは、夜と二人きりで遊園地デートをしたかったために集合時間の七時間も前からいたのだ。あかりの行動理由は自分だと知っている夜ですら驚きを隠せない。ヤンデレだけでなくブラコンも拍車がかかってきたようだ。元から天元突破していたような気もするが。


 しかし、そんなことよりも一つ気になることが……。


「な、なぁ、おにいちゃんノートってなんだ?」

「えっと、おにいちゃんについて書いたノートのことだよ? 身長、体重、生年月日、趣味に特技の個人情報は勿論、瞳の虹彩、手足の指の指紋、スマホとパソコンの検索履歴、LI〇Eのトーク履歴、登録されているメールアドレスに電話番号。何時に起きるのか、何時に眠るのか、おにいちゃんが持っているえっちぃ本の隠し場所……。色々と書いてあるよ! えへへ~、おにいちゃんのことなら、何でも知ってるんだからね?」

「うん、そっかぁ、そうなんだぁ……」


 今度は夜の瞳からハイライトが消え去った。どこで知った? とか、どうやって調べた? とかツッコみたいことは多い。が、今はツッコむ気力が湧かない。とりあえず、本の隠し場所は変えなくては。いや、すぐバレるのは目に見えている。早めに処分せねば……。


 あかりはいつ取り出したかわからないノートに頬ずりをしていた。全部で五冊あるんだよ? もうすぐで六冊目も書き終わるよ? と聞こえてくる。一体、どれだけ書き込めばノート六冊分も埋まるのか。夜よりも夜のことを知っているのではないか?


――拝啓、母さん、父さん。俺です、夜です。あかりのブラコンを直すべく、遠くの高校に入学し、一人暮らしをしたというのに、あかりは後を追いかけて来て、ブラコンぶりは悪化。それに加えてヤンデレとストーカーになっていました。あかりはもうダメかもしれません。というかもうダメです。兄離れ出来る可能性は零です。俺はもう疲れたよ。パ〇ラッシュ……。


ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。

いやぁ、十日ぶりですね。お久しぶりです。

一か月お休みをいただくと言いましたが、十日で帰ってきました。

ですが、投稿を再開するというわけではないです。お休みはまだ続きます。

なら何故投稿したのか。そろそろPV数がヤバいからです。お察しください……。

さて、話が逸れましたね。今回はいかがでしたでしょう。

あかりのヤンデレぶりがヤバくなってきましたね。そろそろ犯罪を犯しそうです……。

虹彩とか指紋とかどう調べたんでしょうね……。俺もわからないです。そもそも調べられるものなのか……。

それと、今回短くてすみませんでした。遊園地のところは長めに書きたいので。

四章がこれからどうなるかはわかりませんが、楽しみにしていてください。

さて、今回はこの辺で。

十日も投稿していなかったのに、ブクマが増えたことには驚きました。一体何が……。でも、感想などを頂ければ。ブクマだけじゃどう思われているかわからないですからね……。

それでは次回お会いしましょう。ではまた。

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