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兄が好きな妹なんてラブコメ展開はありえない。  作者: 詩和翔太
4章 ヤンデレ妹の兄は新入部員の夢を応援するそうです。
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梨花生誕日記念番外Ⅰ ケーキ作り

この番外編は、梨花の生誕を記念とした番外です。本編には全く関係ないのでご注意を。

 五月十一日。今日は梨花の誕生日である。そんな今日、夜は梨花に呼び出されていた。誕生日パーティーでも開くのか? と思った夜はあかりに聞いてみると「何も言われてないよ?」と言われた。夏希たちも同様だった。どうやら呼び出されたのは夜だけだったらしい。夜はどうして俺だけ? と首を傾げながら梨花の家へと歩を進めた。


 因みに、いつもなら夜のことをストーカーするあかりさんだが、今日はお休みらしい。今日が梨花の誕生日だからなのか、付いて来ていないようだった。ただ、玄関で泣かれたのには驚いたし、焦りもした。妹のストーカーが日常茶飯事ということに何も言わない兄。ツッコまないのではない。諦めただけなのだ……。


 そんなことを考えていると梨花の家が見えてきた。目の前に、お城のような、洋館のような豪邸に見える建物があった。ご近所では有名な家だったりする。理事長というだけでこんな家が帰るのかは疑問ではあるが、夜は気にせず玄関口へと向かった。


 夜は、ドアの横にあるインターホンを押した。すると、さほど時間を置かずにドアが開いた。ドアを開けてくれたのはメイド服に身を包んだ若い女性のメイドさんである。メイド喫茶やコスプレで見かける露出が多めのミニスカではない。本物(?)の露出が少なくロングスカートのメイド服である。


「ようこそお越しくださいました、夜様。梨花お嬢様はキッチンにてお待ちしております」


 手を前で揃えて頭を下げるメイドさん。夜はメイドさんに「お邪魔します」と伝え、梨花がいるらしいキッチンへと向かった。キッチンの場所については、幼馴染ということもあり幼少期から梨花の家に遊びに来ていたのでわかっている。はずだったのだが……。


 夜は近くを通りかかったメイドさんに、


「あの、キッチンの場所って何処でしたっけ?」


 と尋ね、案内してもらうのだった。




 キッチンに着くと、梨花はボウルと泡だて器を持っていた。頬には白いクリームが付いている。


「遅いわよ、夜! 生クリーム作り終わっちゃったじゃない!」

「あれ? お前って料理できたっけ?」

「し、失礼ね! あの日から色々と教えてもらってたのよ! バレンタインの時も美味しかったでしょ!?」

「あぁ、確かに美味かったな。てっきりメイドさんに作ってもらったものかと思ってた」


 因みに、梨花の言うあの日とはテスト勉強をしていた時のことだ。梨花が殺野菜事件を起こそうとして、夜が押し倒すことになってしまい、変な誤解をされた日である。


「それで? 俺だけを呼び出した理由って何なんだ?」

「えっと、ケーキを作ってみたかったの。夜って料理上手でしょ?」


 どうやら、梨花が夜を呼び出したのは一緒にケーキを作って欲しかったかららしい。


「でも、俺よりもメイドさんの方が料理は出来るだろう? それに、俺だけを呼んだ理由にはならないだろ。みんなで作った方が楽しいだろうし……」

「た、確かにそうだけど……。気付いてくれたっていいじゃない……」

「――!」


 梨花は頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。その反応でわかった、否、わかってしまった。梨花は夜と一緒に過ごしたかったのだ、と。瑠璃の一件以来、好きということを隠そうとしなくなった梨花、夏希、瑠璃。好意を向けられるのは恥ずかしくとも嬉しいものである。


「ごめん、気付いてあげられなかった」

「い、いいわよ。別にそんなこと思ってないし……」


 夜は梨花の頭を撫でてやる。梨花は顔を背けたままだが耳が赤くなっているので内心、嬉しいということがバレバレである。そんなツンデレが可愛くて、夜は笑みを浮かべる。


「さてと、それじゃあケーキ作るか。生クリームってことはショートケーキか?」

「う、うん。作れる?」

「流石にケーキは作ったことないけど、作り方見てやれば問題ないだろう。それじゃやりますか!」

「うん!」


 そんなこんなで二人でケーキ作りを開始した。時に生クリームの入ったボウルを頭からかぶったり、時に除いてニヤニヤしていた理事長にボウルをぶん投げたり、時にやっぱりニヤニヤしていた理事長に泡だて器をぶん投げたり、時に梨花と手が当たって梨花が顔を赤くしたり、それを見てやっぱりニヤニヤしていた理事長をはっ倒したりとある意味で忙しい時間を過ごしていた。


 そして……。


「完成した~!」

「つ、疲れた……」


 梨花は完成して満足したのかはしゃいでおり、夜は疲労の所為かその場に腰を下ろした。疲れた原因は主に理事長なのだが、その理事長はメイドさんたちが運んでいった。今は自室ですやすや眠っていることだろう。


「ありがとね、夜。楽しかったわ」

「どういたしまして。疲れたけど俺も楽しかったしな。それで? いつまでそこにいる四人を待たせてるつもりなんだ?」


 夜はキッチンのドアの方を指さした。そこから出てくるのは、やっぱりヤンヤンしているあかりと夏希、瑠璃、玲奈だった。


「いつからわかってたの?」

「いつからって、最初だな。俺に祝って欲しいからって他のメンバーを誘わないのはおかしい。でも、特別な日だから何かしたい。そこで、二人きりになるためにケーキを作りたかった。違うか?」


 梨花はこくりと頷いた。抜け駆け禁止という約束を破ることなどしない梨花を信じたからこそわかったこと。それに、ケーキをワンホールも作ったのだ。この量を二人で食べようというのがまずおかしい。


 夜達は、ケーキを切り分けそれぞれ手に持った。そして、いつの間にやらメイドさんが淹れてくれていたジュースを持って、


「それじゃあ、梨花。誕生日おめでとう!」

「「「「おめでとう!」」」」

「あ、ありがと……!」


 恥ずかしいやら嬉しいやらで顔を赤くしてしまった梨花。でも、笑った梨花の顔は、彼女を慕う人が見たら、否、どんな人が見ても心を奪われるような、そんな可憐で、幸せな表情だった。


 因みに、梨花が夜にあ~んして? と言ったところ、他のメンバーがそれはダメ! と口論になっていたりもしたが、それはまた別のお話……。


ども、詩和です。お読みいただきありがとうございます。

さて、今日は梨花の誕生日ということで、番外編を書かせていただきましたが、いかがでしたでしょう。いつもとは違う梨花を見れたのでは? と思います。

さて、この番外編の梨花は、本編の梨花とは同じであって同じではない人物となっております。そこんところ、勘違いなさらないようお願いします。梨花はあんなに積極的じゃないです。まぁ、番外編だしいいよね! いい……よね?

本編では影の薄いヒロインとなっていますが、これからどうなることやら……。詩和もわかりません。それでも、これからも梨花の恋を応援してあげてください。お願いします。

さて、今回はこの辺で。

それでは次回お会いしましょう。ではまた。

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