第40話 【第3章 プロローグ】夢見る少女
しょうらいのゆめ
いちねんさんくみ みずはら まりね
わたしのゆめは しょうらい あいどるになることです
あいどるになって すてーじでいっぱいうたって きらきらしたいです
小学校で将来の夢を書いてくる宿題があった。
プロ野球選手、サッカー選手、声優さん、漫画家さん、動画配信スター、ケーキ屋さんなど、色んな夢をみんな語っていた。
「お前みたいなブス、アイドルになんかなれねーよ!」
「ブース、ブース!」
その日、クラスの男子からブス呼ばわりされたミズハラマリネは泣きながら家へと帰り、ママを驚かせた。クラスで起きた出来事を泣きながら伝えると、ママはマリネが世界で一番可愛いよと言ってくれた。アイドルにもきっとなれるよとも。マリネは泣きやんで、好きなアイドルのTVを見る。その夜、部屋のベットに座り、手鏡を持ったままアイドルへ思いを馳せる。
「私もママが言ってくれたみたいに、アイドルになれるかな」
眼鏡をかけたおかっぱのみすぼらしい顔……手鏡で自分の顔を見て溜息をつく……
「やっぱり……無理かな……」
―― そんなことないよ!
突然誰も居ないはずの部屋で声がしたため、ビクリと反応するマリネ。目の前には全身ピンクと白のフリフリしたアイドル……いや、お姫様のような格好をした女子が立っていた。キラキラしたウエーブのかかる金髪に大きな赤いリボン、左目が蒼い瞳、右目は緑色の瞳をしている。
「だ……だれですか?」
―― あ、驚かせてごめんね? 私はアリス・クリエスタ・プリムエール。アリスって呼んでいいよ?
「が、がいこくの人?」
―― 大丈夫よ、この国に来て長いから言葉も分かるよ。あなたよりはお姉さんになるね。マリネちゃん!
アリスはマリネの手を取り、じっとマリネを見つめた。マリネは自分の名前を知っていた事を疑問に思うが、次の瞬間アリスが発した言葉に、その疑問はかき消された。
―― アイドルになりたいんでしょ? 夢、叶えてあげようか?
「え? 本当に?」
突然の事に驚きを隠せないマリネ。でもアイドルになれる? 私みたいな女の子でも?
―― あなただからなれるのよ、アイドルに! その夢見る力があれば、夢は叶うんだよ。私はあなたを迎えに来たの。さ、行きましょ!
マリネの手を取り、立ち上がらせるアリス。
「行く? どこに?」
―― 夢が叶う場所に行くんだよ? まずはお近づきの印に……
アリスはお姫様のようなドレスから小さな赤いリボンを取り出し、マリネの黒い髪につけてあげた。
―― ほら、似合ってる! これであなたもアイドルよ!
じっとマリネを見つめるアリス。
「わたしが……アイドル……? 本当になれるの? ……アイドル」
だんだんと眼鏡の奥に映るマリネの黒い瞳から光が消えていく……
―― さ、マリネちゃん、一緒に行きましょうね。夢の国へ――
「あいどる……あいどる……ふふふ」
アリスの手を取りながら、気づくとマリネは涎を垂らしながら笑っている。マリネの部屋にある窓を開けるアリス。真っ暗な夜の筈が、窓の外が真っ白い光に包まれていた。
そのままアリスとマリネは光の中へ吸い込まれて行き……
翌日、ミズハラマリネの行方不明届が警察へと出される事となる。
雄也達が妖精界へと旅立つ、少し前の出来事である。
第3章 夢渡力解放編 いよいよ開始です。
よろしくお願いします。




