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第93話 ジャンル分け不要
「一応、カード作る?」
「うん。そうしよう」
図書館の入館前、カウンターで健康保険証を提示して図書カードを作って貰った。今時は学生だけでなく、地域住民にも一部の図書は貸し出して貰えるのだ。
「結構女の子多いね」
志成に言われるとその通りで、閲覧席の6~7割ぐらいが女子学生だ。志成に促され、薬学の入門書レベルの書架の前に立つ。直感で、ぽん・ぽん、と本を抜き取る志成の横で、なんとなく受け取る僕。
「あ、ごめんね大志」
「いいよ」
2人して20冊近くの本を抱え、閲覧席に置く。ここで本格的に読む訳ではない。ざっと目を通して使えそうな本を選んで借りていくつもりだ。
手分けして読む。
化学の観点から書いたもの、医療現場での実用本、売薬さんの歴史を書いた本もある。
「オーバードーズ?」
それは薬学の本というよりは、自殺防止の本だった。
オーバードーズ。つまり、睡眠導入剤なんかを大量服薬して自殺を図る人たちをその絶望から救おうという内容だった。前半は薬学の見地だが、後半は哲学、いや、文学というか、小説を読み進めるような感覚になった。
「志成。世の中って全部つながってるんだね」
「?」
「薬学を足掛かりに人の心まで救おうとしてる学者もいる」
「・・・そうだね。学問も生活も芸術も、敢えてジャンル分けする必要ってないかもね・・・」




