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第92話 いじめの研究
大学の駐輪場に自転車を停め、キャンパスをぶらぶら歩く。
「なんか地味だね」
志成が率直な感想を言う。確かに地味だ。まあ、国立大の理系、しかも薬学となると大体こんなもんか。
お昼がまだだったので、学食に入った。
「わ、安い!」
と、感動した志成はシーフードカレー、僕は半チャンラーメンにした。13:00過ぎだったので、さほど混んでいない。
周囲のテーブルを見渡すとコーヒーを飲みながらノートPCでレポートを書いている学生もいる。
「なんか、いいね」
「うん」
「わたしたちも大学、行けるかなあ」
「行けるよ、きっと。志成は大学でやりたいこととかあるの?」
「うーん。わたしは完全に文系人間だから。社会学とか」
「社会学?」
「うん。具体的には社会的差別の構造を解明するとか」
「へえ」
「もっと言うと、”いじめ” を無くす研究とかやってみたい」
「あ、そうか・・・」
「大志は?」
「僕? 僕は・・・」
口に出してみて、いかに自分が何も考えずに生きてきたかが分かった。
「ちょっとまだ思い浮かばない」
「そっか・・・」
何だか、焦燥感が起こった。




