第87話 だいじょーぶ、死なばもろとも!
志成とバイトのスケジュール調整をして日取りを決めた。
「来週木曜15:00に相談の予約を入れる」
「お金は?」
「一応、初回無料って感じだけど、つまりは言い値になるんだろうね」
”さとり会”の諸事相談の時間は武田さとり本人が行う。
「”さとり”、って自分の名前だったんだね。わたしてっきり”悟りを開く会”って意味だと思ってた」
「まあ水田家のおとだから、それらしい名前にしたんだよ、きっと」
台所で打合せしてている所へばあちゃんが来てテーブルに座った。
「私も行くぞいね」
「え?」
「おばあちゃん、無理しないでください。大志とわたしで大丈夫です」
「志成ちゃん、そうじゃないんじゃ」
「え?」
「戦いのことは心配しとらん。大志もヤクザと堂々と渡り合うぐらいだからの」
「相手が思いがけず常識的だっただけだよ」
「私がやるのは武田さとりの性根を叩き直すことじゃ。仮にもお姑様と縁のあった水田の孫だからの」
「でも」
「大志、いくら中年女とはいえ、霊感のある相手の先が読めるか」
「それは・・・」
「中年とはいえ、物事を先読みできる人間が銃を手にしとるんだぞ。仮に撃つ気が無くても銃を向けられたらさすがに辛いぞ」
「・・・うん」
「じゃあ、おばあちゃん、お願いします!」
志成が力いっぱい元気な声を出したので驚いた。
「志成ちゃん、この年寄り、連れてってくれるか」
「もちろんです。おばあちゃんがいて下されば百人力です」
「よう言うてくれた。これで冥途の土産ができたわい」
「縁起でもない・・・」
「大志、だいじょーぶ。死なばもろとも!」
不思議だ。
志成は最初、陰が目立つキャラだったのに、今じゃこんな能天気な台詞もやけにしっくりくる。志成が変わったんじゃなく、長い間押さえつけられていた本質がほとばしっているんだろう。
「わかった、やる! やってやるよ!」
僕もやけくそで声を上げた。




