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第85話 ヤクザよりも狂ってる
「それで、俺に何の用だ」
「民間人に銃を売ってるんですか」
「・・・何でそんなこと訊く」
「僕の知り合いが買ったかもしれないんです」
「誰だ」
「武田建設の社長の娘さんです」
「どういう知り合いだ」
「日射病で倒れたところを助けました。その夜、拳銃所持で逮捕されたってニュースを観ました」
「なんだ。たったそれだけか。知り合いの内にも入らんだろ」
「でも、僕の祖母が彼女のひいおばあちゃんのことを知ってました」
「ん? 水田家のこと知ってるのか」
「はい。破産したって。お孫さんが武田建設に嫁いだと」
「ふーん。お前のばあさん、何者だ」
「普通のばあちゃんです」
ぷっ、と山田が笑う。
「何だかよく分からんが、お前はどうしたいんだ」
「銃を買ったのが武田の父親か、それとも母親なのかが知りたいんです」
「そこが結局分からん。何でだ?」
「買った相手が敵だから」
「敵? 何のことだ?」
「・・・全部説明してもいいんですけど、話すと貴方から気違いと思われます」
「ヤクザの若頭捕まえて尋問する高校生なんぞそれだけで十分おかしいが・・・大体お前、暴力団が怖くないのか」
「怖くないです」
「お前は何が怖い?」
「・・・人間は怖くないです。僕は神仏の天罰が怖い」
「お前、やっぱり狂ってるよ」




