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第83話 ヤクザとハンバーガー屋
彼はパチンコ屋に入って行った。ちょっと迷ったけれども、自転車を置いて僕も店内に入る。18歳だから、まあいいだろう。(本当は学生なので、よくない)
中年男はスロットマシンの第に座り、タバコに火を点けるところだった。
本当は彼の近くの台に座って見張りたいところだったけれども、やりもしないでいると不自然なので、店内を歩いて回ってみた。ひたすらやかましい。タバコの煙ももうもうだ。それでも昔よりはクリーンになっているのだろう。若い女性客も結構いる。何周かして戻ると、男がいなかった。
「おい」
後ろから声を掛けられ、振り向くと彼だった。
怖さよりも、見失わなかった安堵の方が大きい。
「ちょっと裏でしゃべろうか」
「嫌です」
「何?」
「ここで話しましょう」
「・・・人目があれば安全ってか。賢いな、お前」
僕は目を逸らさない。いや、逆に僕の視線の方が相手を射抜いている気分になる。
どう感じたのか、相手からこう提案してきた。
「分かった。だが、ここはやかまし過ぎる。茶でも飲みながらならどうだ」
そう言うと、男は自分が前に立って表通りに出た。そのまま大手チェーンのハンバーガー屋に入って行く。
「ここなら安心だろ?」




