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タイシとシナリ  作者: @naka-motoo
第5章 3人目の敵
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第79話 バチは当てなさらん

「でも、水田さんの訴訟ってその人がしたんですか?」

「おお、そうじゃった。私もつい懐かしくて昔話してしもうた。そうじゃ、その人が水田を訴えたんじゃ」

「何て言って?」

「それまで水田に渡していたお金が惜しくなったんじゃろうな。不当な対価だった、と返還を求めて訴えたんじゃよ。どっちもどっちじゃ。水田はそのことがきっかけで脱税も露見してな。没落した。ただ、水田の孫の女の子が利発で霊感があるともっぱらの噂だった。それで、その子が旧家の名門に嫁いだ、と聞いとった。それが武田美咲の母親。つまり、”さとり会”、の代表じゃな」

「うーん。何か同じことを繰り返してるような感じ」

「本当に人助けしてるんならいいんだけどね」

「さあてな。だが、娘が銃を持つぐらいじゃ。まともではなかろう」

「・・・ところで、”その人”はどうなったの?」

「根が強欲だからの。色々あって自己破産した。家は競売されて今はテナントビルが建っとる」

「え? じゃあ、その神様は?」

「もったいなくも、未だにお住まいが定まらん」

「何とかならないんですか?」

「私はお姑様と違い生身の人間じゃからな。神様に直接働きかけるなど、到底そんな力はない」

「その人はやっぱりバチが当たったってことかな」

「それは違うぞ、大志」


 ばあちゃんがきっとした眼を僕に向ける。


「神様はそんな仕返しみたいなバチは当てなさらん。本人に反省を促し、更生させるための温かいご注意をされるだけじゃ。その人はな、履く言葉・行動が下衆だったから人から恨まれ、そのまま人間から跳ね返ってきた負のエネルギーにやられただけじゃ。ある意味、子の死も、破産も、自死と変わらん」


 厳しいけれども、それこそが事実なんだろう。

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