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第70話 センセイ
「SEX。この男と毎日やってるんだ?」
志成はにやっとして突然父親の方に向き直る。
「センセイ」
「あ?」
いきなり志成にカタカナで呼ばれて父親は慌てる。
「法律の専門職員としてのセンセイにお聞きします」
逆撫でがうまい。
「今、ユウさんは、先代くんとわたしがSEXしてる、って言いました。聞いてらっしゃいましたよね?」
「あ、ああ」
「わたしは経済的な理由で先代くんの家に下宿させてもらっています。彼のおばあちゃんも一緒に暮らしてます。彼とわたしは男女の間柄でもないですし、当然SEXなんか
したことありません。わたしは今、事実無根のことをユウさんに言われて精神的なダメージを受けました。どうすればいいですか?」
「小学生の子供の言ったことだから・・・」
「父親としての意見なんか訊いてません。センセイの法律専門職員としての見解を言ってください」
「それは・・・」
「センセイ、今、弁護士バッジつけてるじゃないですか」
クールビズにわざわざ上着を着てきたのはそのためだろう。スーツの襟元にはバッジがついている。
威嚇するための小道具が、17歳の少女にあしらわれている。
「お父さん・・・」
ユウが父親をじっと見つめる。
「・・・確かに、娘の発言は根拠の無い誹謗中傷ととられても仕方がない。申し訳ない」
ユウの表情が失望に変わる。




