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タイシとシナリ  作者: @naka-motoo
第3章 夏休み
53/142

第53話 その程度でいいよ

「大志、ありがと。今日はすごい楽しかった」

「うん、僕も。何か久しぶりに色んなこと忘れて遊んだ、って感じだったなー」


 ちょっとあの女子3人は余計だったけどね。

 志成はこれでケーキ4皿目だ。


「あ、心配しないで。一応カロリーとか計算して食べてるから。そんなすぐにリバウンドしないから」

「ん・・・別に構わないけど」

「え?」

「いや、仮にリバウンドしたとしても志成の本質が変わる訳じゃないから、僕は別に構わないけど」


 あ、ちょっと深く話しすぎたかな?


「・・・でも、”恋愛の対象”としては見ないでしょ?」

「え?」

「もし。もしもだよ。仮にわたしが大志のこと好きだとして、以前の姿のわたしから告白されてもOKしないでしょ?」

「・・・ごめん、分かんないとしか言えない」

「そうだよね。わたしの方こそごめんね。こんな、究極の質問みたいなこと訊いて」

「でも僕は今の志成を知ってるから。外見、ていう意味では今の志成の姿も志成だし、以前の姿も志成。志成じゃなくたって人間の外見は変わる。僕だって変わる」

「大志が?」

「うん。あと何十年かしたら髪の毛もだいぶ抜けてるだろうし。大体うちのばあちゃんだって、昔は結構美人だったらしいけど、今はああだから」

「失礼な。おばあちゃんは今もきれいだよ」

「美人、て言い切れる?」

「いや、美人、ていうか・・・まあ、”いい感じ”、かな?」

「でしょ?その程度でいいんじゃないかな、人間なんて」

「人間なんて、か・・・」

「人間ごとき、でもいいよ」

「ふっ。なんか、そういう投げやりな言い方の方がかえってすっきりするね」

「ところで、明日の予定は?」

「今日はわたしに付き合ってくれたから明日は大志に任せるよ。どこか行きたい所とかある?」

「どこでもいい?」

「うん、いいよ」

「じゃあ、プール」

「え!?」


 ちょっと誤解を招くような選択だったろうか。

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