第49話 友達以上〇〇未満
志成の希望により、スーパーと同じ1Fにあるレストラン街ではなく、2Fのフードコートで”ブランチ”にすることにした。少しでも節約するためだという。さすが主婦。
志成はちょっとおしゃれなベーカリーのピタブレッドとアイスコーヒー、僕は讃岐うどん専門店の、”仲良しうどん”(きつねとたぬきの両方乗せ)を持ち寄ってテーブルに着いた。
さすがに夏休み。制服・私服の中高生カップルが山ほどいる。
「この中で、”家族連れ”、って僕らぐらいだろうね」
照れ隠しに言ってみた。志成は嬉しそうだ。
「そっか。わたしと大志は、”家族”、だもんね。ねえ、これって・・・」
「これって?」
「友達以上○○未満”だとしたら、○○の中はなんだろね?」
七味もかけてないのにうどんをすすって咳き込んだ。水を飲み、熟考の上、答える。
「”家族構成”によるよ。志成が僕の妹相当だとしたら、”兄妹未満”で確定」
「”夫婦”だったら?」
「・・・・」
僕は固まり、そのまま俯く。
「・・・なーんてね。大志っておもしろい」
ああ、こんな風に冗談言うなんて。これが本当の志成の姿なんだろうな。
やっぱり、かわいいな。
「リバ!」
突然掛けられた声に、志成がびくっとする。
テーブルの脇を見ると、南高の制服を着た女子が3人立っていた。
「やっぱり、リバだ。私らのこと覚えてるよな?」
「・・・うん、覚えてるよ。こんにちは」
志成がそう言った途端、3人が爆笑する。見た目は普通だけど、笑い方が下品だ。
「元田からメールでお前の写真貰ってさー、”使用前・使用後”、みたいになってるから超ウケて。でも、結局まだいじめられてんだろ。中退したんだろ」
「休学だよ」
また3人が笑う。
「誰?」
「ん。中学の時の友達」
僕の問いに志成が小さく答えると、3人の笑いがますます下品になる。
「”友達”、じゃないよねえ。リバごときが」
僕はできるだけ怒りを抑えて3人のうちの1人に話す。
「少し、静かな声で話して貰えませんか」
「あんた、誰?」
「志成の友達」
「リバの?もしかして、リバと一緒に”中退”したキモい男ってあんた?」
ぷっ、と3人とも吹き出す。
「”休学”だけど、だから?」
「あんた、リバの中学の時の容姿、知ってんの?」
「知ってる」
「ああ・・・知ってて、まあ今は”まとも”な見た目だから妥協してんだ。でも、こいつは何も変わんないから。リバは一生リバだから」
「君が女じゃなかったら殴ってるところだ」
「何!?」
「女じゃなかったらぶん殴りたい、って言ったんだ」
「お前、それセクハラだぞ」
「日本語も分かんないのか。”セクハラ”じゃなくて、僕は君を純粋に脅しているんだ」




