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第31話 日本で3番目
東金 悟。本名だろう。
フライ級日本ランキング2位。来月下旬、東京ドームの横にある後楽園ホールで日本タイトルマッチに臨む。さっき志成が貰ったのはそのチケットだ。ジムが選手本人の家族や知人を招待するために支給したチケットなので、料金は気にしなくていいという。この店には色々お世話になってるからということで、マスターと志成の分、2枚くれたそうだ。
「2位ってことは、チャンピオンがいて1位がいるから、日本で3番目に強いってことだね」
マスターはボクシングが結構好きで、世界戦が放映されると必ず観ているという。
「どうしよう?わたし、大志が居てくれたら諦めるかと思ったのに・・・・」
諦めるどころか、チケットを渡し、僕に宣戦布告をした、ってことになるのだろう。
「当然、またアプローチしてくるだろうね」
マスターも冷静に分析する。
「どうしよう・・・・」
「どうする?」
志成もマスターも僕に訊く。
「え、ちょっと待ってよ。僕は別に志成の彼氏、って訳でもないし・・・」
「でも彼は大志くんのことを志成ちゃんの恋人だと思い込んでるぞ」
「まあ、わたしたちがそう思うように仕組んだからだけど・・・」
はっきり言おう。僕は色恋沙汰の解決法についてはノーアイディアの人間だ。こう言うしかなかった。
「とりあえず、ばあちゃんに話そう」




