26/142
第26話 じゃあ、またね
最後の授業が終わった後、僕は一方的に声を上げた。
「みんな、今までありがとう。今日で最後だけど、元気で」
ほとんどの生徒は無視して帰り支度をしている。これが現実だ。
そう思って樹に別れを告げようとすると数人の男女が寄って来た。
「大志、がんばれよな」
「大志くん、ごめんね。何もしてあげられなくて・・・」
「樹のことは任せておけ」
野球部主将の相川の言葉に、何だよ、それ、と樹は苦笑いする。
「大志、メールするよ」
「僕もするよ」
そう言ってもう一言添える。
「みんな、ありがとう」
不覚にも、涙が出そうになった。
その後、志成と2人で先生方に挨拶して職員室を出ると、学祭実行委員の3年生がずらっ、と並んでいた。
「大志、加ノ上さん。色々あると思うけど、がんばってな」
「元気でね」
みんな口々に僕たちに言葉を掛けてくれる。
あ、田中さん・・・
「2人とも、元気でね・・・・」
うん、と志成も笑顔で頷く。
「大志くん、わたしの気持ちは心のどこかで覚えててね」
「・・・うん」
少しだけ胸が痛むけれども、清々しい気持ちの方が、今は大きい。
「じゃあ、またね」
「またね」
さよなら。




